🔴【第1話から読む】はじめての違和感|もう誘いたくないママ友
ことあるごとに家に来たがるママ友・里奈に対して、初めて「断る」という選択肢を現実的に考え始めた真由。嫌われたくない気持ちから無理を重ねてきた自分に気づき、関係のあり方を見直そうとしていた。
「市民プールに行きませんか」代案を試す
「遊ぶ約束をしていた日が雨だけど、どうする?」
里奈さんの言葉に対して、どうするか考えていた。梅雨の雨予報はなかなか変わらないし、様子を見てもきっと雨だろう。でも、家に呼ぶのはもうやめたい。
真由は一度スマホを置き、深呼吸をした。ここで曖昧に返せば、また同じことの繰り返しになる。それは、もう嫌だった。
少し迷ってから、意を決して文字を打つ。
「里奈さんのおうちはどうですか?うちはちょっと難しいです」
送信ボタンを押した瞬間、心臓がどくんと大きく鳴った。それでも、逃げずに伝えた自分に、ほんの少し誇らしさもあった。
すぐに、返信が来る。
「うちはちょっと狭くて……子どもはプールをやりたがってるんだよね。小雨ならビニールプールとか…」
予想通りの反応だった。里奈さんは否定はするけれど、代案は出さないし、暗にわが家で遊ぼうとしている。
真由は画面を見つめながら、もう一度、ゆっくり考えた。ここで引いたら、また元通りだ。
「そうなんですね。じゃあ、市民プールはどうですか?」
自分でも驚くほど、落ち着いた文面だった。謝罪も、遠慮も、余計な言い訳も入れなかった。しばらくして届いた里奈さんの返事は、少し歯切れが悪かった。
「市民プール、行ったことないんですけど…」
「あそこ、広いし温水で室内だからいいですよ。幼児用もあるし」
結局、その週末は、近くのプールへ行くことに。集合時間も場所も、きっちり決めて、持ち物も各自で用意することに。
当日、プールで遊ぶ子どもたちは楽しそうだった。陽向も結菜も、水しぶきを上げながら笑っている。里奈さんは相変わらずよく喋っていたけれど、子どもをそれぞれ見守りながらなので節度があるように思えた。
時間が来れば、自然に解散できて、家を片づける必要もない。帰宅後、ソファに座ってみると、いつもと違う疲れ方をしている自分に気づいた。
(体は疲れたけど……嫌じゃないかも)
それは、大きな発見だった。
無理をしない距離がくれた安心感
それ以降も、里奈さんからの誘いがなくなったわけではないし、家に来たがることも多い。
でも真由は、その度に自分の気持ちを確認するようになった。
気が重い時は、無理をしない。
自宅に呼びたくない時は、外で会う提案をする。
自分を大事にする態度を取るようになった結果、里奈さんが遊びにくることは減っていった。
園で会えば挨拶をし、たまに立ち話をする程度の、ちょうどいい距離感が保たれるようになった。べったりと仲が良いわけでもないけれど、消耗する関係でもない。
(これで、よかったんだ)
真由は、そう思えた。
「嫌われたくない」
「角を立てたくない」
その気持ちは、今でもゼロではない。けれど、それよりも大切なのは、自分が無理をし過ぎないことだと、今は分かる。ママ友は、家族でも、親友でもない。だからこそ、距離感は自分で選んでいい。
そう気づけてからは、少し肩の力を抜いてママ友付き合いができている。母になればいろいろな人間関係が増えていくけれど、今後も自分の気持ちを無視せずに適度な人付き合いをしたいと思う。
あとがき:距離を選ぶことは、逃げじゃない
最終話で真由が選んだのは、「仲良くするか、縁を切るか」の二択ではありませんでした。自分の気持ちを大切にしながら、無理のない距離を保つこと。それは冷たい選択でも、わがままでもありません。
ママ友は、生活の一部を共有する存在だからこそ、距離感がとても大切です。
「自分が疲れない関わり方を選んでいい」
真由の気づきは、同じ悩みを抱える誰かの背中を、そっと押すものになるはずです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










