🔴【第1話から読む】階下の住民の態度に【異変】→子持ちに理解を示していた老夫婦が気になる|分譲マンションで騒音トラブル
模様替え中のわずかな音が引き金となり、階下のご主人がついに苦情に訪れる。「足音がひどい」という本音をぶつけられ、千鶴は愕然。家の中で忍び足の生活が始まって―――。
模様替え中のできごと
「……あ、ちょっと待って。そこ、バスタオルを噛ませて」
ある週末、私たち夫婦はリビングの模様替えをしていました。引っ越してきてしばらく経ち、家具の配置で納得がいかない部分が出てきたのです。とはいえ大規模な模様替えではなく、重いチェストを数メートルだけ移動させるだけ。夫・篤郎と一緒に、床を傷つけないよう、音を立てないよう、細心の注意を払って家具を動かしていました。
そのときです。
【ピンポーン】
インターホンのモニターに映っていたのは、下の階のご主人でした。
「……はい、今開けます」
ドアを開けると、少し困惑したような表情のご主人が立っていました。
「あ、すみませんね。……何か、重いものを引きずっておられますか?」
「申し訳ありません…今、少し家具を動かしておりまして。バスタオルを敷いていたのですが、響いてしまったんですね」
私は何度も頭を下げました。
「そうなんですね。すぐ終わるならいいんですよ。ただね、この際だから言わせてもらうけど……」
ご主人が言葉を濁しながら続けました。
「ここ最近、お子さんの足音がちょっと……ひどいんです。私たちももう年でしょう。突き上げるような音が毎日続くと、少し参ってしまいましてね…」
ついに直接釘を刺されてしまった…
血の気が引くのが分かりました。
「元気なのが一番」と言ってくれていたはずのご主人の口から出た、苦言。
「本当に、申し訳ございません。もっと気をつけさせます」
「ええ、お願いしますよ」
ご主人が去った後、私は膝から崩れ落ちそうになりました。
「聞いた?『ひどい』って言われちゃった……」
「……ああ。思ったより音が響くみたいだな、困ったもんだな…」
自分たちなりの配慮は届いていなかった…
それからの数日間、わが家はお通夜のような静けさになりました。
俊也は動きたい盛りですが、できるだけ公園に連れて行って発散させて、家の中では静かに過ごせるように絵本やDVD・動画に頼りがちになりました。少しでも走ると「ダメ!」ときつく注意することになり、俊也が機嫌を損ねることもしばしば。
でも、一番のショックはその後でした。マンションのゴミ捨て場で下の階の奥さんに会い、こちらははっきりあいさつをしたのですが、明らかに無視をされてしまったのです。明らかな敵意があるのだと感じました。
「もう気にするなよ」と篤郎は慰めてくれましたが、私にとっては大ショックです。それからは自宅の中で常に忍び足で歩き、下の階の気配に怯える生活が始まってしまいました。
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あとがき:崩れ去った「理想の隣人関係」
ついに表面化してしまった騒音問題。あんなに優しかったご主人の困惑した顔や、奥様の拒絶反応は、千鶴にとって刃物のように突き刺さったはずです。どんなに対策をしても、一度「騒音」と認識されてしまえば、生活音すべてが攻撃に聞こえてしまう悲しいすれ違い。
家という安らげるはずの場所が、一瞬にして針のむしろへと変わっていく恐怖と絶望が伝わってきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










