🔴【第1話から読む】「親の貢献度が全て」女王が支配する"スポ少地獄"。標的にされた親子の悲劇
体調不良の春子に理不尽な怒りをぶつけた、秋乃。そんな秋乃を、桃太は撃退します。その結果、チームや桃太の未来が大きく変わったようです。
チームの崩壊
それから一か月後。私たちは、正式に「ライジング・スターズ」を退団した。
おどろいたことに、あの日を境にチーム内では、かつてない「反乱」が起きたそうだ。
桃太のメッセージを聞いた保護者たちが、「子どもにあそこまで言わせるなんて」「秋乃さんは異常」「自分の子どもに、あんな風にだれかを傷つける大人になってほしくない」と、次々に声を上げ始めたという。
秋乃さんに媚を売っていたママたちも、世間の目と批判をおそれ、一斉に彼女からはなれていった。
孤立した秋乃さんは、「次期会長」の座を辞退せざるを得なくなり、コーチもまた「指導力不足」を問われ、チームの立て直しを迫られたそうだ。
退団者は今も増えつづけ、かつての「名門チーム」は風前の灯火だという。
けれど、今の私にとって、それはもうとおい世界のできごとだった。
見つけた、あたらしい場所
桃太は今、家から自転車で15分の場所にある、「サッカークラブ」にかよっている。
どうやら、元々友人から誘われていたらしい。話を聞くと、親ではなく「地域のボランティア」が、チームをサポートしているそうだ。それが私にとっても「いいのかも」と思えた決定打だった。
そこはおどろくほど合理的で、風通しの良い場所だった。
「送迎は各自の責任」「親が来られない時は自転車、または公共交通機関を使うこと」「それが自立への第一歩」という方針を徹底していた。
ボランティアさんのおかげで、保護者の当番制度もなく、必要な連絡はすべて公式アプリで完結。練習中の親の待機も自由で、秋乃さんのような「女王」が生まれるスキなど、どこにもなかった。
みにくい計算はもういらない
「今日はシュート練習なんだ!」
玄関で元気よくクツをはき、自転車にまたがって風を切っていく桃太の背中。それを見おくる私の胸には、かつて味わったことのないような、はれやかな解放感が広がっていた。
週末、グラウンドに顔を出しても、交わすのは「こんにちは」「今日はひえますね」というさわやかで、適度な距離感のあいさつだけ。
だれが上で、だれが下か…だれに気に入られるべきか。
そんな、みにくい計算をする必要はもうない。
派閥やメンツ…そして、親としてのプライド…。大人の欲望に子どもを巻き込み、純粋なよろこびをうばうことが、どれほど罪深いことか…私は、この一年で痛いほど学んだ。
澄みわたる青空の下、芝生をかけ回る桃太の姿。ミスをしても、仲間と笑い合い、また前を向くその瞳。
(大切なのは、だれかの顔色をうかがうことではなく、自分の足で立ち、自分の心でたのしむこと)
あたりまえのようでいて、いちばんむずかしかったその答えに、ようやくたどり着いた。もう、胃の痛みも、くらい不安もない。
私と桃太のあたらしい季節が、今、ようやく始まったのだ。
🔴【1話から読む】「親の貢献度が全て」女王が支配する"スポ少地獄"。標的にされた親子の悲劇
あとがき:子どもの思いを守りたい
あたらしい道も見つかり、笑顔をとりもどした、春子親子。親の見栄やプライドで、子どもの夢や純すいな思いを汚すようなことをしてはいけない…。そんな、最も大切なことを考えさせられるエピソードでしたね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










