窮地の麻美を救ったのは、先輩ママ・里佳子の助言だった。「高校は通過点に過ぎない」と説く彼女は、環境が変われば、人間関係も希薄になると教える。勇気をもらった麻美は、一人で抱え込まずに担任への相談を決意する。
再び友人に相談することに
「麻美、落ち着いて。一度、私の家に来ない?」
電話越しに聞こえる里佳子の声は、とてもおだやかでした。
私はすがるような思いで、その日の午後、里佳子の家をたずねました。 里佳子の娘、華ちゃんは、現在、高校2年生。彼女も中学時代、いろいろと苦労したと聞いています。
「 麻美。今の湊ちゃんには、世界が"中学校"と"美奈子ちゃん"しか見えていないのよ。でもね、高校って、全然ちがう」
里佳子はあたたかい紅茶をいれてくれました。
「クラスの数も多いし、学科が分かれることもある。何より、いろんな中学校から、あたしい子たちが集まってくる。中学までの人間関係なんて、入学して一か月もすれば、おどろくほど希薄になるわよ」
「でも…美奈子ちゃんと同じ学校だと、また依存されたり、ふり回されたりするんじゃ……」
私が不安を口にすると、里佳子は首をふりました。
「高校生になると、みんな自分の興味があることに進む。部活だったり、趣味だったり。あたらしい友だちがすぐにできる。湊ちゃんだって、美奈子ちゃん以外の世界があるって知れば、自然と距離を置けるようになるはずよ」
高校はあくまで「通過点」
里佳子は自分の経験も話してくれました。
「実は私もね、華の受験の時に、担任の先生に何度も相談したの。三者面談だけじゃなくて、電話でも個別に時間を作ってもらって…。親の不安も、娘の今の状態も、全部、正直に話したわ。そうしたら、先生が、華にぴったりの…私たちが考えてもみなかった、ランクが上の学校を提案してくれたの」
「ランクが上の学校?」
「ええ。そこは華の個性を伸ばしてくれるカリキュラムがあって、結局、中学のころの友だちとは、誰ともかぶらなかった。あの時、妥協して志望校を下げなくて本当に良かったと思ってる。友だち基準で選んでいたら、華は、今の充実した生活を送れていなかったでしょうね」
里佳子の言葉は、私の心のもやを少しずつ晴らしてくれました。
「麻美…娘さんの将来だけを考えてみて。友だちは"今"の要素だけど、学歴や環境は"一生"に関わることもある。湊ちゃんに、高校はあくまで"通過点"だってこと、教えてあげて」
担任の先生との面談を決意
帰り道、私は里佳子の言葉を反芻(はんすう)しました。
確かに、今の湊は、"美奈子ちゃん"というせまいおりの中に閉じ込められている。親である私が、外の世界の広さを教えてあげなくてどうするんだ…。
私はスマホを取り出し、中学校の担任の先生に連絡を入れました。
「おいそがしいところ申し訳ありません。湊の進路のことで、至急ご相談したいことがあるのですが……」
担任の先生は、快く「明日の放課後、お話ししましょう」と言ってくれました。
一人で抱え込まず、プロに相談する。
里佳子が教えてくれた一歩を、私はふみ出しました。
🔴【続きを読む】「別の道もある」三者面談で起きた変化。自分の価値を知った娘が、再び前を向いた!
あとがき:「孤独な育児」を救う、第三者の視点
どん詰まりの状態にある時、経験者の言葉は、何よりのクスリになります。
里佳子の「高校は中学とはちがう」という力強い言葉は、麻美だけでなく、読者の皆さんの心にもひびいたのではないでしょうか。
親の視野がせまくなると、子もまた苦しくなります。まずは、親が外の世界に目を向け、専門家である先生をたよる。そんな一歩を踏み出す麻美の変化を通じ、周囲に助けを求めることの大切さが伝わるエピソードです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










