🔴【第1話から読む】中3娘の"友人トラブル"で「志望校変更」はあり?母の葛藤
「美奈子ちゃんと同じ高校はこわい」と訴える湊。親友だったはずの相手との、歪な関係…。麻美は、夫に相談するも答えは出ない。子のメンタルを守るべきか、将来の可能性を優先すべきか…親としての葛藤は深まっていく。
モヤモヤはおさまらず…
里佳子とのランチを終えて帰宅しても、私の心は晴れませんでした。
湊が中3の夏から塾に通い始め、志望校に向けて必死に机に向かっていた姿を思い出すと、涙が出そうになります。
湊が目指しているのは、「がんばって成績を上げて、挑戦してみる?」というレベルの公立高校。
一方、トラブルの相手である「美奈子ちゃん」は、小学校のころから進学塾に通っていて、その高校なら余裕で受かる実力があるそうです。
「ただいま……」
夜、湊が塾から帰ってきました。
顔色はどんよりと暗く、カバンを置く音もおも苦しい。
「志望校を変えたい」という娘
「湊、お疲れさま。何か食べる?」
「いらない。お母さん……あのさ、やっぱり私、志望校変えようかな」
キッチンで作業をしていた私の手が止まりました。
「……ランクを下げるってこと?」
「美奈子ちゃんと同じ高校に行くの、やっぱりこわい。もし、同じクラスになったら、また、今日みたいに教室にいられなくなる。それなら、最初から、もっと入りやすい別の学校にして、美奈子ちゃんが絶対に来ないようなところにした方がいいかなって」
湊の言い分も分かります。15歳の子にとって、教室の空気は世界のすべてに近い。でも、親としては……。
「湊…美奈子ちゃんとは、小学校からの仲じゃない。年末だって一緒に過ごしたし、親同士も知り合いでしょ? 今のケンカだって、一時的なものかもしれないよ?」
「お母さんは分かってない!」
湊が声をあらげました。
「あの子、キゲンがわるいと私をムシするの。他の子と仲良くしてると、イヤな顔をするの。私は、美奈子ちゃんが好きだけど、一緒にいると息が詰まるんだよ。高校でもこれが続くなんて、耐えられない!」
湊は部屋にかけ込み、ドアを閉めてしまいました。
私は台所に立ち尽くしました。あの子なりに、必死で耐えてきた結果の言葉だったのでしょう。
親として尊重すべきポイントは?
夜、仕事から帰ってきた夫の正光に、昼間の里佳子との話と、湊の様子を伝えました。
「正光さん、どう思う? 湊の意見を尊重して、志望校を下げるべきかな。でも、あの子の努力を思うと…どうしてもふん切りがつかなくて」
正光はウデを組んで考え込みました。
「……友だち関係を基準に進路を決めるのは、危ういな。でも、今の湊に"がんばれ"と言うのが正しいのかも分からない。湊がこわれてしまったら元も子もないしな」
私たちは、親として最大の難問にぶつかっていました。
子どものメンタルを守るのか、将来の可能性を守るのか。 里佳子が言っていた言葉が頭の中でリフレインします。
「私だったら、娘の将来だけを考えた高校を選ぶわ」
でも、今の私には、その言葉を湊にぶつける勇気がありませんでした。
翌朝、湊は目をはらして起きてきました。
学校へ行く準備をしながら、一言も発しません。このままでは、受験以前に湊の心が折れてしまう。私は意を決して、もう一度、里佳子に電話をかけることにしました。
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あとがき:正解のない選択肢
「いやな子から逃げたい」という、切実な願いを否定するのは、親としても胸が痛むものです。
しかし、一時の感情で努力をムゲにしていいのかという迷い。夫の正光が放った「湊がこわれてしまったら……」という懸念は、全親が抱く、恐怖そのものです。親子で共有しているようで、実はズレている、受験への温度差。寄り添いたいけれど導かなければならない…親としての責任のおもさが際立ちます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










