©ママリ
千里は、娘のみちるが、親友のリナ・ななかと公園で遊んでいる最中に、大切な「シール帳」を紛失したことを知る。周囲には、3人しかいなかったはずなのに、ママ友に連絡しても「知らない」の一点張りで……。
「シール交換」は友情の証
「ママ!見て、このぷっくりシール。リナちゃんとななかちゃんと交換したんだよ!」
6歳の娘、みちるが目をかがかせて差し出したのは、パンパンにふくらんだシール帳。
最近の小学生女子にとって、これはただの「文房具」じゃありません。"友情の証"であり、自分のアイデンティティーそのもの。
私は千里、29歳。夫の雅也と、好奇心旺盛な娘・みちるの3人で暮らしています。
「わあ、かわいい!これ、パパとこないだ買ったやつも入ってるね」
「うん、大切なんだー。世界にひとつだけの、みちるの宝物なの」
そう言って笑う娘を見て、私もしあわせな気持ちになっていました。
大事なシール帳をなくしてしまった娘
みちるには、いつも一緒に遊んでいる、「リナちゃん」と「ななかちゃん」という親友がいます。
下校中も、休日も、3人はいつも一緒。
私も、リナちゃんのママ、ななかちゃんのママとは「ママ友」として、良好な関係を築いている……そう信じていました。
平和な日常に亀裂が入ったのは、一か月前のこと。
「ママ、シール帳がないの」
夕食前、みちるが泣きそうな顔で部屋から出てきました。
「えっ…いつものリュックの中は? 習いごとのバッグは?」
家中をひっくり返して探しましたが、どこにもありません。
「今日、リナちゃんとななかちゃんと公園で遊んだとき……ベンチにおいたまま、鬼ごっこしちゃったの…。気づいたときには、なくなってた」
シール帳の行方に胸がざわつく
胸の奥が、つめたい風に吹かれたようにザワつきました。
「そのとき、周りに他に人はいた?」
「ううん……3人だけだったよ」
みちるは、ポロポロと涙をこぼしました。私はすぐに2人のママにLINEをしました。
「みちるのシール帳が見当たらないんだけど、何かの拍子にまぎれ込んでいたりしないかな?」
返信はすぐに来ました。
「えーっ!大変!リナに聞いたけど見てないって。見つかるといいね」
「ななかも知らないって言ってるよ。だれかに持っていかれちゃったのかな……」
2人の返信は、どこか他人ごとのように感じられました。
もちろん、私の思い過ごしかもしれません。でも、あの公園には3人しかいなかった…。だれかが目をはなしたスキに、持ち去ることは容易だったはず。
「……信じたいけど、なんだかイヤな予感がするの」
夜、帰宅した雅也に相談すると、彼はまゆをひそめました。
「子どものすることだ、どこかにおき忘れただけかもしれない。でも……もし、確信があるなら、もう少し様子を見てみよう」
うしなわれたシール帳。みちるの悲しそうな横顔を見るたび、私の中の「違和感」という名の種は、少しずつ芽を出し始めていたのです。
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あとがき:ママ友という「危うい均衡」の上に立って
「ただのシール」と言ってしまえばそれまで。けれど、親にとって、わが子が目をかがやかせて集めた宝物は、何物にも代えがたいものです。
それをうしなった娘の涙を見たとき、胸がしめ付けられるような痛みを感じるママも多いはず。「仲良し」だと思っていたママ友からの、どこか他人ごとな返事。その一言に潜む違和感が、平穏な日常につめたい風を吹き込みます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










