🔴【第1話から読む】「もし不倫したら、徹底的に追い詰める」不倫を憎む夫
夫が眠っている間、たまたま画面を見てしまった光里。それは夫が不倫をしているという、確実な証拠でした。彼を起こし問い詰めますが…。
夫が見せた間抜けな隙
それは、太郎が「不倫された親友」の話を持ち出したちょうど一週間後の夜のことでした。
深夜二時。綺羅里の激しい夜泣きで目を覚ました私は、意識が朦朧とする中で彼女を抱き上げました。授乳を終え、ようやく寝かしつけた後、寝室の片隅のサイドテーブルで、スマートフォンの淡い光が点滅しているのに気づきました。
太郎は、疲労のあまりスマートフォンの画面をロックせず、開きっぱなしにしたまま、深い眠りに落ちていました。大きないびきをかき、無防備に口を開けて寝ている彼の姿は、いつもなら「お疲れ様」と思える光景でしたが、その日はなぜか、言いようのない胸騒ぎが止まりませんでした。一週間前の、あの異様なまでの「不倫断罪」の態度。あれは正義感から出た言葉ではなく、自分の中にある後ろめたさを隠すための防衛本能だったのではないか……そんな疑念が、突然頭をもたげたのです。
吸い寄せられるように、私は彼のスマホを手に取りました。
画面に映っていたのは、メッセージアプリのトーク画面でした。
相手の名前は「夏菜子」。
スクロールする指が、恐怖と寒気で小刻みに震えます。
『太郎さん、昨日はありがとうございました。ホテルでの時間、まだ身体に残ってるみたい……。次はいつ会えますか?』
『俺も早く会いたい。仕事だって嘘ついて時間作るから。光里にはバレないようにうまくやるよ。愛してるよ、夏菜子』
『私も。奥さんにバレないように気をつけてくださいね(笑)。あんなに厳しく言ってるのに自分が不倫してるなんて、バレたら大変ですよ?』
頭の中が真っ白になり、心臓の音が耳元で爆音のように鳴り響きました。
めまいがして、その場にへたり込みそうになるのを必死で堪えました。「夏菜子」という女性。太郎の部下で、二十代だと以前聞いた覚えがあります。入社したばかりの頃、彼が「最近の若い子は……」と愚痴を言っていた相手です。
メッセージをさらに遡ると、二人の関係は去年の、ちょうど私が入院して綺羅里を出産した前後から始まっていたことが分かりました。私が分娩室で激痛に耐えていた時、彼が「急な残業で立ち会えない」と電話してきたあの日。彼はこの女と会っていた。私が産後の肥立ちが悪く、実家にも頼れず一人で泣きながら育児をしていた時も、彼は「出張」と偽って旅行に行っていた。
「……嘘でしょ。嘘だと言ってよ」
声になりませんでした。吐き気が込み上げます。一週間前、あんなに偉そうに不倫を断罪し、私を脅し、親友の不幸をダシに使って私を支配しようとしていた男が、自分は一年以上も前から家族を裏切り続けていた。その偽善、その卑劣さ、その厚顔無恥。
私は自分のスマホを取り出し、証拠となる画面を何枚も、何枚も撮影しました。
トーク履歴、共有カレンダーの予定、そして二人の自撮り写真。そこには、見たこともないほど幸せそうに微笑む太郎の顔がありました。私や子供たちの前では決して見せない、男としての悦びに浸った顔。
「絶対に逃がさない……」
間違っている「ヒーロー」
撮影を終えると、私は太郎の肩を、憎しみを込めて何度も叩き起こしました。
「起きて。ねえ、起きてよ!」
「……んぁ? なんだよ、夜中に。綺羅里がまた泣いてんのか?」
眠そうに目を擦る太郎の目の前に、私は証拠の画面を表示させた彼のスマホを突きつけました。
「これ、何? 夏菜子って誰? 説明してよ! 今すぐ!」
太郎の顔から、一瞬で血の気が引いていくのが分かりました。彼は飛び起き、奪い取るようにスマホを掴みましたが、もう手遅れです。
「これは……その、違うんだ、光里。遊びっていうか、魔が差しただけで……」
「遊び!? 出産前から今までずっと続いてて、ホテルに行ったり旅行に行ったりしてて、何が遊びなのよ! 立ち会えなかったあの日も、彼女といたのね!? 出張だって言ったあの日も!」
私は半狂乱で泣き叫びました。隣の部屋で子供たちが起きるかもしれないという配慮すら、今の私にはできませんでした。
「一週間前、なんて言った? 不倫したら追い詰める? クズ? 自分のことじゃない! よくもそんな口が叩けたわね! サトシさんの奥さんを笑える立場なの!? あなたこそが、この家で一番のクズよ!」
私は涙でぐしゃぐしゃになりながら、震える声で告げました。
「離婚してください。それが嫌なら、今すぐその女に慰謝料を請求する。どちらか選んで。もうあなたの顔を見るのも汚らわしい」
すると、太郎は信じられない言葉を口にしたのです。
「離婚は嫌だ。やり直したい……。でも、彼女を責めるのはやめてくれ。彼女は若いし、将来があるんだ。俺が無理やり誘ったんだ。彼女に危害を加えないでくれ。彼女は悪くないんだ! 全部俺の責任だから!」
自分の罪を認めるふりをして、不倫相手を必死に庇う夫。その姿に、私は殺意に近い絶望を覚えました。私の人生を壊しておきながら、まだその女の人生を心配するのか。
その「男気」を出す相手は、私ではないのか。
私は彼の顔に溜まった涙を投げつけるようにして、寝室を飛び出しました。
🔴【続きを読む】「パパにあいたい」子どもたちの気持ちと、自分の想い
あとがき:あなたは誰の味方なの?
「自分が言う人ほどやっている」をまさに体現したような内容でしたね。光里の怒りはごもっともですが、太郎への失望をどうやって制裁に変えるのか…見ものです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










