🔴【第1話から読む】男手ひとつで育ててくれた父。誕生日を祝いたいのに夫が非協力的で...
父に対して暴言を吐いて出て行った夫。しかしなんと反省して戻ってきました。そんな夫を、父の元へ導いた由真。父と夫は一体何を話すのでしょうか?
夫と父の和解
リビングでは、いつの間にか起きていた父が静かに白湯を飲んでいました。
拓也が入ってくると、父はカップを置き、厳しい視線を向けました。
拓也は父の前に進み出ると、そのまま床に膝をつき、両手を突いて深く頭を下げました。
「お義父さん、昨日は本当に、申し訳ありませんでした。あんな恩知らずで、酷いことを言って……僕は、父親としても、夫としても、人間としても最低でした」
沈黙が流れます。重苦しい空気の中で、拓也の震える肩だけが動いていました。 父はしばらくの間、黙って拓也の姿をじっと見つめていましたが、やがて長く、重い溜息をつきました。
「……拓也くん、顔を上げなさい。そんなところで謝られても困る」
拓也がゆっくりと顔を上げると、そこには怒りではなく、どこか哀しみを湛えた、穏やかな父の目がありました。
「君の今の言葉が、本心であることを信じよう。私はね、君を屈服させたくて怒ったわけじゃないんだ。ただ、君にしか守れない家族を、君自身の手で大切にしてほしかっただけなんだよ」
「はい……本当に、自分の親父からも厳しく言われました。自分がいかに未熟で、お義父さんの寛大さに甘えていたか、一晩中、自分の醜さを考えました。もう二度と、あんなことはしません」
父はゆっくりと立ち上がり、拓也の肩にそっと手を置きました。
「わかってくれればいいんだ。人間、誰しも間違いはある。だが、それを正すチャンスを逃してはいけない。やり直そう。由真と子どもたちのために。私のことはいい、娘と孫を幸せにしてやってくれ」
「ありがとうございます……本当に、ありがとうございます!」
拓也の目から、大粒の涙がこぼれ落ちました。二人はぎこちなく、しかし昨日とは全く違う温度で、和解の握手を交わしました。
あれから変わった夫
それからの拓也は、まるで憑き物が落ちたように変わりました。 休日にソファでスマホをいじり続ける時間は目に見えて減り、「今日は公園に行こうか。追いかけっこするぞ」と自分から子どもたちを誘うようになりました。
父の家に行けば庭で三輪車に乗る将希を腰をかがめて後ろから支え、公園に行けば優希の逆上がりの練習に何度も何度も付き合う。
その姿は、紛れもなく私がずっと望んでいた「父親」の姿でした。
私の父に対しても、以前のような遠慮や傲慢さは消え、心からの敬意を持って接しているのが伝わってきます。実家を訪れるたびに、父に仕事の近況を報告したり、「これ、お義父さんの好きな銘柄ですよね」と酒を贈ったり、庭の手入れや重い荷物の運搬を率先して引き受けるようになりました。父も、そんな拓也を微笑ましく見守り、二人は時折、晩酌をしながら人生について語り合う仲になりました。
もちろん、長年積み重なった不信感が、たった一度の事件で完全に消え去るわけではありません。
ふとした瞬間に、「もしまた仕事で大きなストレスがかかったら、前の彼に戻ってしまうのではないか」という不安が、影のように頭をよぎることもあります。 でも、夕食の後に、拓也が子どもたちと床に転がって笑い合いながらおもちゃを片付けている光景を見ていると、少しずつ、本当に少しずつですが、私の心の奥底にあった氷も溶け始めているのを感じます。
「ママ、パパとじいじ、最近とっても仲良しだね!なんだか楽しいね!」
優希が夕食の片付けを手伝いながら、嬉しそうに言いました。
「そうだね。みんなで仲良く、笑顔でいられるのが一番だね」
私は優希の頭を撫でながら、リビングのソファで将希を抱っこしながら父とテレビを見ている拓也の背中を見つめました。
完璧な人間なんていないし、完璧な家族なんてどこにもないのかもしれません。 きっとこれからも、小さな衝突や、言い合いはあるでしょう。
でも、間違いに気づき、他人の言葉に耳を傾け、それを正そうとする意志がある限り、私たちは本当の意味での「家族」という形を、これから作り直していけるのではないか。 私はまだ、彼の変化を完全に信用したわけではなく、慎重に見届けようと思っています。
でも、今日作る夕食は、拓也が一番好きなハンバーグに、彼が大好きなデミグラスソースをたっぷりかけようと思います。そんなささやかな歩み寄りが、今の私にできる精一杯の、そして確かな未来への一歩でした。窓から見える夜空には、昨日の嵐が嘘のような、綺麗な月が浮かんでいました。
あとがき:結婚とは、相手の家族も大切にするということ
無事円満に収まったようで、本当によかったですね。
お互いの実家も思い遣ってこそ、平穏な結婚生活につながる…そういった学びをえるっことのできるお話でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










