「修平を追い詰めるようなことをするなんて…かわいそうだとは思わないの?」
義母の声が、次第に尖りはじめた。
(かわいそう? 暴力をふるった息子が? )
「追い詰めているわけではありません。二度と過ちをくり返さないための、私たちなりの『覚悟』です。それを信じてはいただけないでしょうか?」
「信じるとか…信じないとかの問題じゃないわ。職をうしなうかもしれない、世間に知られるかもしれない。その恐怖があなたに分かる?」
「それって…修平さんがまた暴力をふるう子だって、そう思うんですか?」
電話口で、義母の声が詰まる様子が伝わってきた。
「お義母さんたちは修平を信じていない。そして、修平が変わるためのサポートをする気もない。ただ、ご自分たちが傷つきたくないだけですよね?」 ※1
再構築を阻む義実家と、直接対決!
警察沙汰の大ゲンカを引き起こしてしまったことは、友梨佳も修平も大いに反省すべき点です。そして友梨佳は、「もしも再び通報されたら、夫を逮捕してください」と警察へお願いしていたのです。
義母は、どうやらこのことを不満に感じている様子。息子が逮捕されてしまったら、「犯罪者の家族」として世間から見られることに、恐怖を抱いているようです。本心を見抜かれた義母は観念。最終的には「好きにしなさい」と捨て台詞を吐き、電話を終えます。
夫の両親の本性が露呈
電話を切った後、修平は呆然としていた。
「母さんがあんなにかんたんに引き下がるなんて……」
「引き下がったんじゃないよ。関わりたくないだけ。自分の息子がかわいくて守りたいんじゃなくて、自分の生活を守るため…息子を切りはなしたかっただけなんだよ、お義母さんは」
修平は深くうなだれた。
自分の両親が、何を最も大切にしていたのか…その残酷な真実を突きつけられたのだ。
「ごめん、友梨佳。俺、今まで親の言うことが正しいと思ってた部分があった。でも、ちがったんだな。俺が守るべきなのは、友梨佳と充なんだ」
修平の目に、初めて本当の意味での「後悔」と「決意」が宿ったように見えた。 ※2
実の両親から、「問題を起こす可能性がある」という理由だけで、切り捨てられてしまった修平。同情してしまいます…。
ですが、これでハッキリとわかったことがあります。今後、何よりも大切にしなければいけないのは、妻と息子です。
心を入れ替えた2人の再構築
私たちは、ふたたび同じ屋根の下でくらしはじめた。家の中は、以前よりもずっとしずかだ。
でも、それはひえ切ったしずけさではなく、おたがいに言葉を慎重にえらび、相手を思いやろうとする「努力」がもたらす「しずけさ」だった。
「充…パパだよ。さびしかったよね」
帰宅した修平に抱き上げられ、充ははじけるような笑顔を見せた。
その笑顔を守ることが、私たちの最優先事項。今回のできごとは、それを再確認するための代償だった。
私たちは離婚をせずに、再構築をえらんだ。 カウンセリングに通い、アンガーマネジメントを学んだ。どろくさい努力の毎日。
そして、私たちは「誓約書」を作成した。
「暴力をふるわないこと。もし、暴力をふるった場合、警察に被害届を提出する」
その「誓約書」は、おたがいにとって誠意の証…そして、自分を律するための「お守り」なのだ。 ※3
2人でたくさん話し合い、どろくさい努力を続けている友梨佳と修平。一度の過ちで、家族が壊れかけてしまいましたが、お互いの努力で立て直しをはかっている最中です。
手が出てしまった大げんかは、たしかに反省しなければいけません。ですが、今回のできごとがきっかけで、夫の両親の本音が露呈しました。大きな事件が起きたときほど、人間の本性があらわになるものですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










