チック障害とは?
チック障害とは、幼児期から学童期にみられる、突発的で反復性のある運動または発声のことをさします。子供の10~20パーセントにチックがみられ、まれな疾患ではありません。
ほとんどが一過性で、成長とともに症状がなくなるか、軽くなっていきます。発症のピークは6、7歳と言われており、男子に多い傾向にあります。
チックは、症状の出方から以下の4つの分類があります。
- 一過性チック障害
- 慢性運動性チック障害
- 慢性音声性チック障害
- トゥレット障害
一過性チック障害は、運動チックと音声チックのどちらかあるいは両方を伴い、1年未満で症状が消失します。
運動チックと音声チックの症状がそれぞれ1年以上持続する場合、慢性運動性チック障害または慢性音声性チック障害と診断されます。
トゥレット障害は、多彩な運動チックと音声チック双方の症状が1年以上続く場合をいいます。
- メンタルクリニックいたばし「チック症(チック障害)」(http://www.mental-clinic.net/medical/tic-disorder.html,2017年9月11日最終閲覧)
- やないクリニック「チック障害」(https://www.yanaiclinic.com/archives/18,2017年9月11日最終閲覧)
- 塚田こども医院「チック症」(http://www.kodomo-iin.com/HL/HL503.html,2017年9月11日最終閲覧)
- 内山聖(監)「標準小児科学 第8版」702(医学書院,2015)
チック障害の原因
複数の遺伝子と環境要因とが関与する多因子遺伝が想定されています。親の育て方を始めとする心理社会的因子はチックに影響することがありますが、根本的な原因ではありません。
- 新宿溝口クリニック「チック(トゥレット障害)」(http://www.shinjuku-clinic.jp/trouble/595.html,2017年9月12日最終閲覧)
- メンタルクリニックいたばし「チック症(チック障害)」(http://www.mental-clinic.net/medical/tic-disorder.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 前田クリニック「チック症」(http://www.dr-maedaclinic.jp/dp110.html,2017年9月12日最終閲覧)
チック障害の症状
チック障害の症状は、運動チックと音声チックで異なります。軽度で目立たない症状であれば周りからも気づかれないこともありますが、症状が重いと学校などでからかわれるなどによって本人が精神的に苦痛に感じることがあります。
一過性のチックであれば1年未満で治まりますが、トゥレット障害を含めて1年以上持続する場合、チックは変動しながら10歳〜10歳代半ば頃をピークとして軽快に転じることが多いです。
緊張が高まる時、緊張がほぐれた時、興奮した時などに増加しやすく、集中して作業している時に減少しやすいです。また、睡眠中にはほとんどみられません。
運動チック
- まばたき
- 顔をしかめる
- 首を振る
- 肩をすくめる
単純チックでは、上記のような動きを頻繁に繰り返すなどの特徴があります。一方、複雑運動チックでは、自分をたたくなどの症状をきたします。
音声チック
- 咳払い
- 鼻をクンクン鳴らす
- 吠えるような声
これらは単純音声チックという分類の症状です。一方、複雑音声チックでは、汚言症(わいせつな言葉を使う)や反復言語(音声や単語の発声を繰り返す)などの症状がでてきます。
音声チックは、運動チックに比べて周囲の注目を集めやすく、本人がそのことを気にして外出しにくくなるなどの問題が出てくることがあります。
- 新宿溝口クリニック「チック(トゥレット障害)」(http://www.shinjuku-clinic.jp/trouble/595.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 前田クリニック「チック症」(http://www.dr-maedaclinic.jp/dp110.html,2017年9月12日最終閲覧)
- メンタルクリニックいたばし「チック症(チック障害)」(http://www.mental-clinic.net/medical/tic-disorder.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 内山聖(監)「標準小児科学 第8版」702(医学書院,2015)
- ハートクリニック「チック障害」(http://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/tic01.html,2017年9月12日最終閲覧)
- さくら病院「チック・トゥーレット症候群外来」(http://sinai-sakura.com/medical/atic.html,2017年9月12日最終閲覧)
チック障害の治療法
子供のチックは珍しいことではなく、必ずしも治療が必要とは限りません。多くのチック障害は一過性で、家族や周囲の理解によって症状が軽減したり消失したりすることが珍しくありません。
自宅でできる対策としては、チックが出てもなるべく気にしないようにして、お子さんを緊張させない配慮が必要です。本人が気にせず過ごせるような環境作りをしてあげるとよいですね。
子供自身や家族の不安が強い場合には、カウンセリングなどの心理療法が行われることもあり、症状が持続して子供の日常生活や学習に影響がある場合には、薬物療法による治療も行われます。
- 前田クリニック「チック症」前田クリニック(http://www.dr-maedaclinic.jp/dp110.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 塚田こども医院「チック症」塚田こども医院(http://www.kodomo-iin.com/HL/HL503.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 池下やすらぎクリニック「診療案内」池下やすらぎクリニック(http://ikeshitay.jp/treatment/チック/,2017年9月12日最終閲覧)
- メンタルクリニックいたばし「チック症(チック障害)」メンタルクリニックいたばし(http://www.mental-clinic.net/medical/tic-disorder.html,2017年9月12日最終閲覧)
- ハートクリニック「チック障害」(http://www.e-heartclinic.com/kokoro/senmon/tic01.html,2017年9月12日最終閲覧)
- 道玄坂しもやまクリニック「診療内容: チック障害(トゥレット症候群)」(http://www.e556e556.com/contents/kodomoShikkan03.html,2017年9月12日最終閲覧)
子供がチック障害にかかった方の体験談
子供がチック障害にかかると、子供自身はもちろん、ママにとっても周りの目が気になるなどで精神的に負担がかかることがあるかもしれません。
チック障害にかかった子供がいるママは、どのように子供に接しているのでしょうか。
チック障害のことには一切触れない
下の子が寝付いてからも耳もとでそれをします!
怒鳴り散らしたくなりますが、がまん。一過性のものだと信じてとにかく言わないようにしています。
その口をパッ!と鳴らす前は、夜寝る前に大声を出したくなると言ってたまに大声を出していましたが、それはすぐ止みました。
でも大声の時は、息子も苦しそうにしていました。大声出したいけど出したらいけないと思い、布団にくるまって我慢しているんです!
それ見たら、わかってるけどやらずにはいられない、そうしないと気がすまない…そんな感じがよく分かりました、見ていて辛かったです。
子供がチック障害にかかっている場合、その症状を注意したり口に出したりすることで余計に気になってしまい、症状が出続けてしまうことがあります。
子供のチックは気になって仕方がないと思いますが、そのことには触れずに子供へかかるストレスを軽減することから始めましょう。
ストレスとなる原因から離れる
その時旦那と毎日喧嘩で
次男も生まれたばっかりだったので
余計にストレスでチック症に
なったのだと思います。
(中略)
引っ越してからはスパッと
治ってしまいました。
こちらの方は、赤ちゃんが生まれたばかりの時期に、夫婦げんかが絶えないという状況があったそう。赤ちゃんが生まれたことによるストレスと、両親のけんかがストレスとなって症状が悪化していたのかもしれません。
環境の変化によって、症状が軽快することがあるのですね。
プレッシャーを感じないように見守る
それも数ヶ月して落ち着いて、また始まっては治まって卒園まで繰り返していました。
うちの子は、運動会や発表会、お遊戯会など、何かイベントがあると必ずチックがでました。
きっとプレッシャーを感じていたんだと思います。
だから、家ではあまりガミガミ怒らずにチックも注意せずに見守ってました。
幼稚園は、たくさんのイベントがありますよね。大勢の前で発表するなどがプレッシャーとなり、イベント前にチックが出るという場合もあるようです。
こういったイベントがきっかけでチック障害を発症する場合、大人はなるべく緊張をほぐしてあげられるような声掛けができるとよいですね。
チック障害は、周囲の人が見守ることが大切
チックは、ただのクセと判断がつきにくい場合があり、症状にも幅があります。もしも子供がチック障害かもしれないと思っても、まずはしばらく様子をみてみましょう。
症状によって日常生活に支障がでたり、本人がつらい思いをしていたりする場合は、かかりつけの医師に相談してみることが大切です。
チック障害のほとんどは一過性で、長く続くものではありません。周りの人がきちんと理解し、子供が円滑に日常生活をおくれるように見守ってあげましょう。