マタニティーマークってそもそもどんなもの?
突然ですが、皆さんはマタニティーマークについてこれまで何か考えたことはありますか?妊娠中の人や、経験者の方は思うところがたくさんあるのではないかと思います。
それ以外の方も、電車や街中でマークをつけている妊婦さんを見ることもあり、また世間で話題になっているニュースを見聞きして様々な意見を持っているのではないでしょうか。
かくいう筆者も現在初めての妊娠中で、複雑な思いを抱えています。マタニティマークをつけている妊婦さんが嫌がらせや危険な思いをしていると聞くと、とても心が痛みます。喜ばしいことであるはずの妊娠出産にネガティブイメージがついてまわることが、残念でなりません。
今回マタニティマークについて考えるにあたり、まず厚生労働省が定めている定義と世間の声、当事者である妊婦さんたちの反応から見ていきましょう。
マタニティーマークの目的とは?
マタニティマークは、厚労省が作成し2006年より運用開始されているもの。その目的はふたつあり、妊産婦に安全性と快適さを与えることのできるような環境づくりのためのものです。
妊娠初期の頃は特に体調を崩しやすいですが、外見からは妊娠していることがわからないため、交通機関等を利用するときに身につけることで周囲に妊婦であることを示すことができます。電車で席に座れるように譲ったり、たばこの煙がいかないように離れたところで吸ってもらったりするなどの配慮をしてもらうためです。
事故や事件に遭ってしまうなどの緊急時においては「妊婦であること」を周囲に示すことで、的確な対応を素早く行うことができるという目的もあります。
交通機関や職場でポスターでマタニティマークの掲示をすることで、妊婦さんにやさしい環境づくりを推進するという目的でも使われています。
妊娠初期は、赤ちゃんの成長はもちろん、お母さんの健康を維持するためにもとても大切な時期です。しかし、外見からは見分けがつかないため、「電車で席に座れない」、「たばこの煙が気になる」など妊婦さんにはさまざまな苦労があります。
国民運動計画「健やか親子21」推進検討会において、妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保を目指し、「マタニティマーク」を発表しました。マークは、妊婦さんが交通機関等を利用する際に身につけ、周囲に妊婦であることを示しやすくするものです。また、交通機関、職場、飲食店等が、呼びかけ文を添えてポスターなどとして掲示し、妊産婦さんにやさしい環境づくりを推進するものです。 出典: www.mhlw.go.jp
マタニティマークは世間からどう見られている?
妊婦だから優先されて当たり前っていう免罪符とカンチガイしてる人がいるのがいけない」って趣旨のコメに、結構支持が集まってて頭抱えた。優先して当然じゃないのか? 出典: twitter.com
世の中妊娠したくても子供のできない夫婦や独身がたくさんいるんで、マタニティマークで優遇しろと言われても、ムカつくのは分かるなあ。年賀ハガキに子供だけの写真つけたりするのも良くないしね。 出典: twitter.com
妊婦以外の人の意見を見てみると、特に電車やバスなど交通機関でのコメントを多く目にしました。妊婦が満員電車に乗ることの是非や、席を譲ることに対する戸惑いの声も。
また、マタニティマークが「幸せアピール」に見えて不妊に悩む方への配慮に欠けるとの意見もチラホラ。
マタニティマークをつけない妊婦たちの複雑な心境
マタニティマークつけてると自慢しているみたいだと言う意見をネットで見た。それを聞いて妊娠中はつけなかった・・・誰もが赤ちゃんウエルカムではないって思う。 出典: twitter.com
マタニティマーク付けて仕事通っていたけど、優しい心遣いしてくれた方は1人だったなぁ。意味ないとは聞いていたけど。。。仕事行くだけで疲れてたもんなぁ。 出典: twitter.com
私はもらいましたがつけませんでした。
席を譲ってもらえた時はありがたく受けますが、マークをつけることで「譲って」アピールに見えてイヤな思いをするかもしれない人がいる以上はなるべく自分で席のあいてる所を見つける、混雑してる時間帯は乗らない。などの自己防衛した方がマシだと思ったので。 出典: okwave.jp
当事者である妊婦さんたちの声を聞いてみると、マタニティマークをつけなかったという人が意外にも多くいました。マークをつけることで起こりうる危険から身を守るためのようです。中には、TPOをわきまえて、付けたり隠したりする人も。
「安定期に入るまではつけなかった」という声もあり、外見では妊娠が分かりにくい初期だからこそ必要とされるのでは?と、その方の気持ちを考えると少し切なくなるような意見もありました。
- 厚生労働省「マタニティマークについて 」厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/maternity_mark.html)
- 厚生労働省「マタニティマーク使用規程」厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/maternity_mark_riyou/dl/shiyoukitei.pdf)
マタニティーマークは危険?
悲しいことに、マタニティマークを付けている妊婦さんが危険に遭う事例も度々報告され、ネットやニュースで物議をかもしています。実際には、どんなことが起こっているのでしょうか。
お腹を蹴られる・暴言を吐かれるなど悲しい目に…
『妊婦が電車なんかのんなよ!タクレばいい』スーツ着てるサラリーマンがドア横の手すりにつかまっていたときに吐いたセリフです 出典: twitter.com
「故意に足をかけられて転けました。
30ぐらいの女性が足かけたのですが『でき婚のくせに!』って言われました」
「ホームで電車待ってたら見たこともない年上の女性に、『若いくせに!この変態!』とか怒鳴られて、突き落とされた事あります」 出典: d.hatena.ne.jp
マタニティマークをつけていた友人が、電車の中でいきなり40歳半ば~後半くらいと思われる女性に睨まれて、なんで睨まれてるのかなぁ。。。と不安に思っていたら、お腹を殴られたそうです。 出典: okwave.jp
日常的ではないものの、「妊婦は電車になんか乗るな!」と罵倒された、睨まれた、お腹を蹴られたなどの報告は数多く存在します。こんなことを聞いたら、マークをつけたがらない妊婦が出てくるのにもうなずけます。
これらは氷山の一角、そして極端な例かもしれませんが、見て見ぬ振りをされたり無視されたり、肩身の狭い思いをしている妊婦さんはたくさんいると思います。
それにしても、同じ女性から心無い言動がなされるのはなんとも悲しいこと。同性だからこそ、思いやりの気持ちをもって欲しいものです。
メディアではとりあげられないハッピーエピソードも
ネガティブイメージばかりが注目されがちなマタニティマーク。でも、メリットはもちろんあります。通勤中の電車で、駅のホームで、心づかいをしてもらったという声がたくさんあるのもまた事実。
筆者も、マタニティマークをつけていなかったら気づかなかった人の優しさを感じている毎日です。朝の満員電車で誰もが居眠りやスマホに忙しくする中、少し遠くから席を譲ってくれるサラリーマンの方に泣きそうになったこともありました。つわり中に青白い顔をしていると、「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる女子高生もいました。
妊婦さん以外もマタニティマークを考える社会を
私も付き合い方に戸惑うことがしばしばあるマタニティマーク。特に妊娠初期は、つけたり外したり隠してみたりしていました。世の中は思っているほど妊婦もマークも気にしていないとは思いつつ、必要以上に臆病になっていました。
きっとそのような思いを抱えている妊婦さんは多いですよね。この記事を通じマタニティマークの本当の意味や目的、世間の声を聞いてみてもなお、その戸惑いは拭いきれません。
ただ、妊娠中は急な体調不良など予測不可なことが起こり得るし、周囲の助けが必要。妊婦当事者にならないと、マタニティマークの意味さえ分からないこともあるけれど、これを読んでいる皆さんがもしマークを目にしたら、とっさの感情で動かず少しだけ立ち止まって考えてみてください。
このマタニティマークから、もっとハッピーなエピソードがたくさん聞こえる社会になることを願って。