妊娠中に離婚 一人で出産へ
私は20歳の時に結婚をし、21歳の時に子供を出産しました。しかし、結婚して間もなく、東日本大震災が起きました。その時私は妊娠7ヶ月。東日本大震災の約10日後に私たちは結婚式を挙げることを予定していました。
節電で挙げられない状況になり、結婚式は延期に。そこから私たち夫婦の人生は狂い始めました。
旦那さんは仕事を辞め、お酒に走り、妊婦である私に暴力をふるってきました。収入は私のパート代のみ。お金が無くて妊婦健診にも行くことが出来ない、赤ちゃんの出産準備品も買うことが出来ない。それなのに私の財布からは毎日お金が抜かれ、ビール代にタバコ代にと消えていきます。
そんな状況に耐えることが出来ず、身の危険を感じ、結婚して1年もたたないうちに離婚を決意しました。
離婚したのは妊娠9ヶ月のころ。大きなお腹を抱えて実家に身をよせました。幸せになれると信じていた娘が一人で大きなお腹で帰ってきた姿をみた親はどう思ったのでしょうか。計り知れない思いがあったと思います。
妊娠34週5日ぎりぎりまで働き、行っていなかった妊婦健診にも父と母の援助もあってやっと通えるようになり、赤ちゃんの誕生を心待ちにしていました。
初めての出産 戸籍の問題
初めての出産は23時間の陣痛の上、3500gオーバーで生まれたかわいいかわいい女の子でした。
そして初めての子育て。離婚後300日以内に生まれた赤ちゃんは、親権はお母さんになりますが、旦那さんの戸籍に入ってしまいます。苗字も旦那さんの苗字、それを変更するには家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。
私はいち早く子供の戸籍を移したくて、真夏の炎天下の中、産後すぐ家庭裁判所に出向きました。
出生届もその後発行された書類も全て元旦那さんの苗字になってしまったことが悔しくて仕方ありませんでした。戸籍に関する仕組みの変更と、せめて市町村は苗字を臨機応変に変更してくれるシステムをとってくれるくらいママに優しくても良いのではないかと強く感じたことを今でも忘れません。
パパがいなくても大丈夫?自分の気持ちとの葛藤やジレンマ
パパのいない状況で始まった私の初めての育児。パパがいなくても大丈夫と思っていましたが、パパがいなくて辛いことも沢山ありました。どこへ行っても夫婦&赤ちゃんが仲良く歩いている姿を見るだけで、なんだかやきもちのような気持ちを抱いてしまい、「私も夫婦で毎日かわいくて仕方がない子供の成長を喜び合いたい」「パパ、ママって呼ばれたい」そんな風に感じました。
まだ若かった私は、「この子にパパという存在を作ってあげなければならないのでは…?」と思い始めました。
でもやっぱり子供が一番。子供にとっていつが再婚するならタイミングが良いのだろう…?と考え、私がその時出した結論は「子供に物心がつく前」か「子供が大きくなってママ結婚して良いよ」と言ってくれてからかどちらかではないかと感じていました。
パパとの出会い
そんな時ある男性と知り合い、そしてその人には2歳の娘さんがいたのです。そうです、彼はシングルファーザーでした。
私と娘、彼と彼の娘さんと4人で会う機会が増え仲良くなりました。そしてしばらく一緒に過ごしたのちに結婚しようと言われ、正直悩みました。
この子のママになる事ができるのだろうか、この人は娘のパパとして相応しいのか…
でも悩みに悩んで、「今の私と娘の生活に彼と彼の娘がいなくなったらどう思うか?」ということを自問自答して「いなくなるのは嫌だ」という結論を出しました。
そこから4人で過ごす生活が始まったのです。
ステップファミリーとして始まった生活
再婚した時、娘は1歳、彼の娘は3歳になったばかりでした。そんな彼は娘のことをとても可愛がってくれました。娘も言葉を覚えた時には彼のことを「パパ」と呼び、彼の娘も私のことを「ママ」と呼んでいました。
娘は彼の娘のことを「ネェネ」と呼び、2人で仲良く遊んでいる姿も何度も見られました。
私も娘のことも彼の娘のこともとても大切に思っていました。
そしてそんな時、私に妊娠が判明!赤ちゃんの誕生を娘たちは心待ちにしていました。
「結」という漢字に込めた思い
生まれた赤ちゃんは女の子で、ステップファミリーである家族みんなの想いを繋いでくれるという思いを込めて、名前に「結」という漢字を使いました。彼の娘、私の娘、彼と私の娘、血の繋がりはないけど心が繋がっていました。
生まれてきた赤ちゃんをみんなで可愛がり、みんなで楽しく生活をしていました。
そこで私が思ったこと、大事なのは血の繋がりではないのだということです。血が繋がっていなくても、パパとしてママとして子供が認めていて、姉として妹としてそれぞれがお互いを支え合ったり可愛がったりしていれば、それで何も問題はなくて。血の繋がりよりも大切な心の繋がりというものを知ることが出来ました。
その人のことが大切で、その人と一緒にいたくて、その人じゃなきゃダメで。そう思ったらもう家族なのです。大切な人を大切にすることが一番大切なことで、それ以上のなにものでもないということです。
自分と葛藤した日々
もちろん葛藤もありました。
自分がお腹を痛めて産んだ子供と、旦那の連れ子ちゃん。みんな可愛いにもちろん変わりはないのですが、やはり自分の子供の方が可愛いと思ってしまう自分がいて、そんな自分が嫌で嫌で仕方なくて。
でも、それってとっても自然な事なのです。ママは10ヶ月間お腹の中で赤ちゃんを大切に育てて、陣痛という計り知れない痛みを伴って出産しているのですから。
だから「自分の子供の方が可愛い」と思うのは当然の事なのです。無理にそう思わないように努力するのではなく、「自分の子供も彼の子供もみんなかわいい」と思うことにしました。
そうすることで自分の逃げ道を作っていただけなのかもしれませんが、そう思うことで子育てに対する気持ちが少し救われ、笑顔で子育てをすることが出来ました。
子供にとってママの笑顔は一番の元気の源です。ママが笑っていると子供も笑う。それが一番良い連鎖なのです。
血の繋がりより大切なのは心の繋がり
子連れで再婚を考えているママ、相手に子供がいるからとためらっている人に是非伝えたいのは、「本当にその人が自分にとってかけがえのない存在ですか?」「大切な存在ですか?」ということです。
その答えがYESであるのならばきっと幸せになれます。血の繋がりより大切なのは心の繋がりです。
血が繋がっていなくても心が繋がっていればそれはもうファミリーの一員です。
もちろん、一概には言えない悩みや解決しにくい問題など、綺麗事ですますことが出来ないことも沢山あると思いますが、それも大切な人が側にいてくれるのであれば、きっと解決できると思います。
「あなたの目の前にいる人は笑っていますか?」
みんなが笑顔でいられること。それが一番大切なことです。