「それぞれの保障の金額自体は小さいのですが、幅広い保障を月900円で受けられるという意味では、共済がとても優秀です」と鈴木さんはいいます。
特に鈴木さんがポイントとしているのは、入院保障の日数上限。民間の保険会社が60~120日に対し、こくみん共済では365日。その他の都民共済、コープ共済では360日としています。入院日数の上限は、一度退院してもすぐにリセットされず、同じ病気で180日以内に入院した場合はどんどん積算されていくのだそうです。
同じ病気で細切れ入院する場合には、保障日数が長い方がよいといいます。子供の入院では、少しでも退院に不安があるうちは医師の近くにいてほしいという思いから、入院が長引いてしまうことがありそうですね。その場合には、保障日数が長い共済に助けられるかもしれません。
また、子供向けの共済は、子供が18歳~20歳になったときには大人向けの保険に自動移行されます。移行までは保険料が上がらないまま継続できるのがうれしいですね。
学資保険の医療特約に注意、保険と貯蓄は分けること
子供の医療保険以外に、学資保険に医療特約を付ける形でも、子供の医療に対する保障をつけることが可能です。
しかし、鈴木さんは「できれば『保険』と『貯蓄』は分けるべきです」といいます。その理由は、医療特約を付けることにより、貯蓄のためのはずだった学資保険が元本割れしてしまい、何のために学資保険にお金を払っているのかを見失ってしまう可能性があるからだそう。
鈴木さん自身も、お子さんが小さかった頃、あまりよく考えず、広告のキャラクターに惹かれて学資保険を契約し、医療特約をつけていたそう。しかし、後々お金についてきちんと考えたところ、医療特約の保障を受けたことはないのに、貯蓄として契約した学資保険が元本割れしていることに気づき、特約はすべて外したといいます。
ご自身の経験からも、貯蓄と保険は分け、何が必要で何が不要か、一つ一つ考えて契約することが大切だとアドバイスをしてくれました。
基本的には自治体の助成で十分、不安にはできるだけ負担のない「安心」を
鈴木さんによるはじめのアドバイス通り、子供の医療費は、基本的には自治体の助成制度を利用していれば十分に補助され、家計を圧迫するほどではないでしょう。その上で、健康保険外の出費に不安がある場合や、自治体の助成を受けられない、もしくは充実していないと感じるときには、医療保険を検討してもよいかもしれません。
もし医療保険を検討する場合には、子供の生活の中で負担する可能性がある医療費部分について、広く保障してくれ、できる限り家計の負担にならないものを選択するようにしましょう。
まずは自治体の助成制度を確認し、家庭では医療保険に加入する必要があるかを考える機会を設けても良いかもしれませんね。
鈴木さや子さんプロフィール
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP(R)・キャリアカウンセラー。家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、主に女性向けに、セミナーやコラム記事などを通じて情報発信。保険などの商品を一切販売しないFPとして活動中。
専門は教育費・保険・住宅ローン・マネー&キャリア教育、確定拠出年金。女性の心に寄り添う個人相談にも力を入れている。企業講演の他、小・中学校や地域コミュニティなどでの講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行う。中学生・小学生の母。
また、女性に特化して相談・講演を行う「みらい女性倶楽部」も運営。同団体での活動は、加入サポートや相談など主にiDeCoに関する情報発信をしている。





