男性は女性に比べ、妊活のスタートが遅くなりやすい
赤ちゃんをなかなか授からず、大きな悩みとなる不妊。原因はさまざまあり、男女どちらにも原因がある可能性があります。その確率は、だいたい男女50%ずつだといわれています。
メルクセローノ株式会社が全国の20代〜40代の男女26,689人に調査を行ったところ(※1)、約半数の男性44.5%、女性45.1%が「将来は子供が欲しい」と回答しました。男女で子供が欲しいと思う割合に、あまり違いはないようです。
しかし、妊活経験のある既婚男女600人に絞って調査を行うと(※2)、妊活を「自分が先に始めた」のは、男性は14.0%に対し、女性は60.0%と、圧倒的に女性が先に妊活を始めることが多いとわかります。
不妊治療の初診「女性が一人で」が69.7%
不妊治療で初めて受診するとき、女性は「一人で」受診すると答えた人が69.7%もいて、治療のスタートも女性だけが始めるケースが半数を超えるようです。
不妊治療をする女性に、男性にしてほしいサポートを聞くと、「関心を持ってほしい」(68.9%)、「話を聞いてほしい」(62.9%)という声が多くあがり、女性は男性に対し「協力をしてほしい」と考えていることがうかがえます。
※1 実施時期 2017年4月14日(金)〜4月15日(土) 、調査対象 全国の20代〜40代男女26,689人(男性13,619人、女性13,070人)
※2 実施時期 2017年4月15日(土)〜4月18日(火) 、調査対象 妊活経験のある既婚男女600人(男女各300人ずつ)
- 西山産婦人科「不妊症の原因」(http://www.nycl.jp/hajimete/index03.html,2017年8月22日最終閲覧)
- 男性不妊ドクターズ「男性不妊症の基礎知識」(http://www.mids.jp/basic,2017年8月22日最終閲覧)
不妊治療、夫が検査を受けたきっかけは?
妻に比べ、不妊治療の開始が遅くなりやすい夫。妻たちはどのようにして、夫の重い腰を上げさせているのでしょうか。実際に不妊治療を経験した方たちの体験談を集めました。
夫の性格や事情により、できる手段は変わってくると思いますが、参考としてみてください。
期限を決めて検査を受ける約束をした
夫婦で赤ちゃんを希望するにあたって、あらかじめ受診する期限を決めておくというアイデアです。さらに義両親の前でも話しているという徹底ぶり。これなら、夫もあとから「やっぱり行かない」とは言いにくいですよね。
いきなり「今週病院に…」と話すよりは、期限を決めておいた方が心の準備ができるかもしれません。
通院に抵抗があり、通院不要の検査からスタートした
不妊治療をする病院に足を運ぶことに抵抗を感じる夫はいるようです。その場合は、まず通院しなくてもよい検査から始めてみてはいかがでしょうか。万が一異常が見られた場合は、夫も不安になって検査に行くようになるかもしれません。
検査に問題がなければしばらく様子を見て、期限を決めて改めて受診の話をしてもよいですね。
検査結果をはっきり伝え、必要性をわかってもらった
このままだと子供はできないことを、検査結果や医師の見解を全て示して説明したことで、「自然に授かりたい」という希望を私が叩き壊したからです。
その時には私自身はすべての検査を終わらし、「私はステップアップに踏み切る覚悟を決めた」とはっきり伝え「あとはあなたの決断をまつ」と。
我が家は結局、人工授精から顕微授精まで進み4年目で妊娠に至りました。
口数の少ない主人に「あのとき決断してくれてありがとう。おまえは努力の天才だ。」と言われた時に報われました。
男性は理屈っぽい生き物です。「そろそろ」「なんとなく」でのステップでは、女性が本当に感じている緊迫感は伝わりにくいのかと思います。
夫も子供を望んでいるけれど「自然妊娠」にこだわっている場合、検査の結果をはっきりと見せることで、納得するケースがあるようです。このままでは自然にはできないと認識し「自分も一緒に頑張らなくては」と考えてくれたら良いですよね。
このご夫婦は不妊治療の末、お子さんを授かったとのこと。夫の「おまえは努力の天才」という言葉は、妻にとって本当にうれしい言葉でしょうね。
妻側が感じている治療の重要性は、言葉だけではなくデータや結果そのもので伝える方が、夫には伝わりやすかもしれません。
夫の小さな一歩が、妊娠出産への大きな一歩に
不妊の原因は男女ともにあり得るもの。夫が検査を受けることが、妊娠に結びつく場合があります。
とにかく夫が病院についてくるのを嫌がり、3年越しで何度か流産しながらその度にお願いして、やっと精液検査してもらったら夫の精液の中に活動している精子はありませんでした。
その結果、それまで私が1人で苦労してたのを他人事のように見ていた夫ですが、協力してくれて、初めての人工授精によって授かりました。
3年間、妻だけが不妊治療を受けていたそうですが、その後の検査で夫側に原因があることが判明。その事実がわかったことで治療につながり、人工授精ですぐに赤ちゃんを授かることができたそうです。
「他人事のように見ていた」とこの妻が言う通り、「俺には原因があるわけない」と思っている夫は意外と多いのかもしれません。しかし、実際にこうして夫が治療に踏み出すことで、妊娠への大きな一歩につながったケースがあることを、ぜひ知ってほしいですね。
夫婦で不妊治療について話す時間を
夫婦であってもデリケートな話題である「不妊治療」。なんとなく触れにくい話題になってしまい、夫婦の会話の中に出すことが難しくなっていることがあるかもしれませんね。
しかし、体験談を見て感じるように、不妊治療は夫婦の話であり、待ち望む赤ちゃんに会うための大切な手段です。心身ともに疲れてしまったり、不安になったりしますが、お互いに支え合っていきたいですね。
また、お互いの治療のデータや考え方はできるだけ共有して、話し合う時間があると良いでしょう。お互いの思いを尊重しつつ「新たな家族に会いたい」と考える2人にとって、前向きな時間になると良いですね。