hCG注射とは?
hCGとは、妊娠が成立すると分泌されるようになる糖タンパク質のことで、絨毛性性腺刺激ホルモンとも呼ばれています。
このhCGは、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があるため、hCG注射は不妊治療の際などに有効として使われます。
排卵の誘発
排卵の誘発にはいくつかの方法があります。卵胞は育つけれどうまく排卵しない場合には、排卵を誘発して妊娠の可能性を高めるためにhCG注射が使用されます。卵胞の発育そのものが悪い場合は、卵胞を育てる内服薬や注射と併せて使用することもあります。
hCG注射には卵胞を育てる作用はありませんが、育った卵胞から確実に卵子が出るようにします。
- 神谷レディースクリニック「治療周期」(https://kamiyaclinic.com/flow/art/term1/,2017年12月26日最終閲覧)
- レディースクリニック北浜「タイミング療法について」(http://www.lc-kitahama.jp/treatment/timing.html,2017年12月26日最終閲覧)
- はらメディカルクリニック「妊娠判定(早期妊娠診断とhCG値の関係)」(https://www.haramedical.or.jp/content/vitro/000152-2,2018年1月9日最終閲覧)
- 六本木レディースクリニック「体外受精で下痢や体調不良が起きるのはなぜ?」(https://www.sbc-ladies.com/column/taigaijyusei/176.html,2018年1月9日最終閲覧)
黄体ホルモン(プロゲステロン)の補充
もう一つの役割は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を補うことです。黄体機能不全など黄体ホルモンの分泌に異常がある場合、受精卵が着床してもはがれやすく、妊娠継続が難しい場合があります。そのため、人工的にhCG注射で黄体ホルモンを補います。
補充がうまくできているか、採血をするなどして定期的に確認をします。ホルモンの補充は、妊娠判定までの期間と妊娠成立後も継続して行われます。医療機関によっては、黄体ホルモンの補充の際には、同時に卵胞ホルモンの補充を行う場合があります。
- レディースクリニック北浜「タイミング療法について」(http://www.lc-kitahama.jp/treatment/timing.html,2017年12月26日最終閲覧)
- 聖マリアンナ医科大学産婦人科学「不妊でお悩みの方」(https://www.marianna-u.ac.jp/newobgyn/patient/007588.html,2017年12月26日最終閲覧)
- 井上レディースクリニック「不妊治療の概要」(http://www.inoue-ladies.jp/infertility/treatment/,2018年1月9日最終閲覧)
- はるねクリニック銀座「不妊治療」(https://haruneclinic.com/funin,2018年1月9日最終閲覧)
- 木場公園クリニック「不妊治療成功のポイント」(http://kiba-park.jp/infertility06s/details6-8/,2018年1月9日最終閲覧)
妊娠の可能性が高まるのはいつ?
hCGを注射すると排卵が促され、24時間から36時間後に排卵が起きます。そのため、hCGを注射する前日と注射した当日~翌日に夫婦生活を送ると、受精する可能性があるといわれています。
一般的に経口の排卵誘発剤では、卵胞は育ちますが排卵刺激が出にくくなるため、多くの場合確実に排卵させるためにhCGが併用されます。
- ほりたレディースクリニック「不妊治療について」(http://www.horita-ladies-clinic.com/guide/hunin.html,2017年12月26日最終閲覧)
- セキールレディースクリニック「タイミング」(http://sekiel.com/infertility_timing,2017年12月26日最終閲覧)
hCG注射の副作用
hCG注射は、排卵を促したりホルモンを補充することにより、妊娠する可能性があるといわれていますが、少なからず副作用がみられることが問題視されています。
起こる可能性があるとされている副作用についてご説明します。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
経口の排卵誘発剤や注射で卵胞を育てる治療により、卵胞が複数育ちすぎてしまった場合、その状態でhCG注射を使用することで起こる副作用の一つに、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)が挙げられます。
この副作用は、排卵誘発剤の使用時に強い刺激を受けることで、卵巣が大きく腫れることをいいます。腹部の膨満感や呼吸困難などの症状が出ます。
重症化すると卵巣内の腫れや腹水がみられ、さまざまな合併症を起こす可能性があります。この症状は、PCO(多嚢胞性卵巣症候群)の人が起こりやすいといわれています。
通常は、hCGを注射する前に超音波検査で卵胞が育ちすぎていないか、卵巣が腫れていないか、などを確認して、リスクがあると予測された場合はhCGの注射を中止します。
- ほりたレディースクリニック「不妊治療について」(http://www.horita-ladies-clinic.com/guide/hunin.html,2017年12月26日最終閲覧)
- 京野アートクリニック高輪「女性不妊について」(http://ivf-kyono.com/medical/womensfactor.html,2017年12月26日最終閲覧)
- 山口レディスクリニック「卵巣刺激症候群」(http://y-lc.net/topix1/,2017年12月26日最終閲覧)
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1r01.pdf,2017年12月26日最終閲覧)
多胎妊娠
hCG注射は強い作用があるため、排卵誘発剤によって卵胞が複数育っている状態でhCGを使うと、一度に複数の排卵が起こることも多く、双子や三つ子などの多胎妊娠の割合が自然な妊娠よりも高くなります。
多胎妊娠は、早産や妊娠高血圧症候群等のリスクがあるとされているため、排卵誘発剤を使用には工夫が必要です。
- ほりたレディースクリニック「不妊治療について」(http://www.horita-ladies-clinic.com/guide/hunin.html,2018年1月9日最終閲覧)
- 井上裕美(監)他「病気がみえる vo.9 婦人科・乳腺外科」P252(メディックメディア,2015年)
hCG注射で妊娠しました!~体験談~
hCG注射による排卵誘発を行った方、排卵後に黄体ホルモンを補充する目的で注射をした方、それぞれの体験談をご紹介します。
hCG注射による排卵誘発の体験談
排卵してなくて、もう一度打ってようやく排卵しました。
私の様に一回のhcgで排卵しない場合もあるので、排卵確認してもらえるのなら
安心かなーって思います。
私は、多嚢胞性でクロミッド+hcgで治療してましたが、妊娠できず
クロミッドをやめてhmg+hcgの注射治療に変えた周期に妊娠しました!
妊娠できたのも、hcg後の細かい排卵確認でタイミングが取りやすかった
おかげかなと思ってます!
私の場合は生理予定日に来てと言われたんですが、
病院によっては◯日までに生理が来なかったら又は、生理が来たら病院に来てね。
って言ってもらえると思うのでその通りに行けば大丈夫ですよ。
1回のhCGでは排卵しない場合があるようです。2回に渡って試したところ排卵の確認ができ、治療の方法を変えたら妊娠したというママも。hCG後の排卵確認は大切なようです。
黄体ホルモン補充の体験談
最初の半年はクロミッドで、その後HMG-HCGに切り替えました。注射は5クールほどしたと思いますが、4回で済んだ時もあれば8回射った時もありましたよ。
なかなか卵胞が育たずリセットした月もありましたが、人工授精4回目で妊娠しました。HMG-HCGを始めて5回目でした。
治療する過程で、治療内容に変更があったり注射も人によって回数が異なったりする場合があるようです。人と回数が異なるからといって、必要以上に不安になることはありません。
気になる場合は、医師に相談して納得した上で治療を進められるとよいですね。
メリット、デメリットを理解した上で選択を!
hCG注射は、効果が高いというメリットの一方で、副作用が出やすいというデメリットも併せ持つ治療法です。hCG注射を受ける前に、まずは主治医に治療内容を聞いてみるなどして、メリットデメリットを理解しましょう。
そして、夫婦でもよく話し合い、お互いの気持ちを確認してから慎重に治療を進めていってくださいね。