3児の父、料理家・コウケンテツさん。
テレビや雑誌などで活躍されている料理家のコウケンテツさんは、小学2年生になる長男と、5歳の長女、そして生後3ヶ月の赤ちゃんを育てる3児の父。こども向けの食事のレシピや書籍も出されており、こども達への愛情が料理を通してひしひしと伝わってきます。「我が家では何よりも食事を大切にする」と語るコウさんが教えてくれたのは、ずばり、食に関わる3つのルールでした。
ルール1:朝食と夕食の時間を決める。
食事の時間って、こどもの世話に合わせて決めがちですよね。我が家では、朝食は7:15から、夕食は18:30からと決めています。これは何があっても動かしません。「どんなに忙しくても、みんなそろってこの時間に食べる」と決めてしまえば、この時間までに仕事を切り上げるようになります。
僕は自宅が仕事場で、妻も一緒に働いていますので、協力してテキパキと動くようになるんです。さらに我が家では、こどもも一緒になって料理を作ります。昨日は、長女にはきゅうりやセロリを切ってもらって、ピクルスを作りました。お手伝いというよりか、もはや戦力ですね(笑)。
僕は、食がど真ん中にある家庭で育ったんです。食事の時間がずれると父の機嫌が悪くなるし、おかわりをしたら母に褒められた。食べ物を残したり、食べながら遊んだりしたらすごく怒られて。そのくらい食事の時間を大切にしてきたんです。
けれど、そんな我が家にも悩みが…。最近の学校って宿題が多くないですか?夕食の時間までに終わらせるのが大変で…。僕がこどもの頃は、やった覚えがないんですけど。なんとか免除できないでしょうか(笑)。食事の時間をきちんと確保したいですから。
ルール2:食事は1時間かけて、ゆっくり食べる。
我が家の食事の時間は、それぞれが話をぶちまける時間です。
各自がその日にあったことを話し、思ったことを溜め込まずに吐き出してもらう。貴重なコミュニケーションの時間ですね。ですので、食事の時間は1時間くらいたっぷり取ります。「おしゃべりはいいから、ご飯食べようね」と僕が言うくらい、こども達もたくさん話します。
でも、こどもって気分屋で、日によってはあまり話さないことってありますよね。そういう日は、僕から話を振るんです。「今日は誰と遊んだの?」とか「鉄棒はどうだった?」とか。「学校はどうだった?」と抽象的な聞き方するよりも、なるべく具体的なトピックを投げかけてあげると、こどもも返しやすいみたいです。
中でも鉄板のネタは給食トーク。「今日の給食は何食べたの?」という質問から、話は広がります。おいしかったものに関しては、その料理をうちでも作って欲しいと言われることも。先日はシチューを作りました。
我が家のは食べないくせに、給食のはおいしいと言うんですよ。最近の給食ってレシピをもらえて、それを見るとすごく良くできてるんですよね!うちの子は、「量が少ない!」っていう苦情を言ってますが(笑)、そのくらいおいしいみたいです。
ルール3:2週間に1度は、外食を。
僕は、“手作り料理を食べさせよう”、といった活動もしているのですが、外食をしに出かける日もあります。2週間に1度くらいでしょうか。実は、もっと多くてもいいかもしれないとも思っています。
というのは、僕たち親も、日々の家事から解放される日を作ったほうがいいからです。手作り料理が義務となって、負担になったら楽しくないですから。出前やお惣菜を買うことも、僕はいいと思います。
よく外食に行く場所は、居酒屋です。こう言うと「えー、家族で!?」と驚く人もいるかもしれませんが(笑)。うちの子は和食が好きで、特に出汁を使った料理が好きみたいで。いわしの梅煮とか、大好きです!枝豆は食べるし、刺身も好き。こうなると、行き先はファミレスではなく、居酒屋になるんですよね。
実は僕、世の中の“お子さまランチ”に不満があって。なんで洋食しかないんだろう。和食をベースにしたものがあってもいいのになって。うちの子のように、洋食があまり好きではないお子さんがいたら、居酒屋も選択肢のひとつに入れると、外食の機会も広がるし、お父さんやお母さんも、よりラクになれるかもしれませんね。
コウケンテツ/料理研究家
大阪府出身。旬の素材を生かした簡単でヘルシーなメニューを提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍。プライベートでは3児の父親として日々子育てに奮闘中。著書は、『今日なに食べたい?』(新潮社)、『おやつめし』(クレヨンハウス)、『弁当』(講談社)、『コウケンテツのおやこ食堂』(白泉社)など多数。