NHKで放送中のドラマ、『透明なゆりかご』とは?
『透明なゆりかご』とは累計325万部を超える大ヒットで、とくに20~30代の女性を中心に圧倒的な共感を呼んでいる、沖田×華さんの実体験を元にした漫画です。漫画広告で一度は見たことがある方もいるのではないでしょうか。
看護学科の高校3年生の青田アオイが母親の勧めで、産婦人科の見習い看護師として働くことから、物語がスタートします。幸せな出産を心から祝福する一方で、中絶や死産に直面して、アオイは一時やめそうになってしまいます。
しかし、出産の現場に立ち会い、生まれる命の力強さに感動し、アオイは仕事を続けることを決意します。そんなアオイを取り巻く環境に、読者からは「多くの人に教えたい、読んでほしい」と反響を呼んでいます。
ドラマでは、初主演となる清原果耶さんを中心に、時に明るく、そして切なく、命への思いをつむいでいきます。見ていてほっこりとした気分になる一方で、心の底まで深く印象に残るドラマに仕上がっています。
- NHK「ドラマ10透明なゆりかご」(https://www.nhk.or.jp/drama10/yurikago/html_yurikago_midokoro.html,2018年8月7日最終閲覧)
- amazon「透明なゆりかご(1) 」(https://www.amazon.co.jp/透明なゆりかご-KC-KISS-沖田-×華/dp/4063409570,2018年8月7日最終閲覧)
第4話のテーマ「産科危機」のあらすじを紹介
第4話では「癒着胎盤剥離による出血性ショック」についての話が放送されます。
無事に女の子を出産した真知子でしたが、出血がなかなか止まらず、意識が低下してしまう。真知子の体調の異変にいち早く気づいていた由比は榊、紗也子らと必死の処置をする中、大学病院への搬送を決意します。
主人公のアオイは救急車で運ばれてゆく真知子をただ見送ることしかできず…。真知子はその後一体どうなってしまうのでしょうか。続きが気になって仕方がありません。
- NHK「ドラマ10透明なゆりかご 次回予告」(https://www.nhk.or.jp/drama10/yurikago/html_yurikago_story_04.html,2018年8月7日最終閲覧)
第4話のポイント「癒着胎盤剥離」とは?
赤ちゃんとママをつなぐ胎盤は、子宮内で「床脱落膜」と呼ばれる膜をはさんで形成されます。出産時には、床脱落膜があることで胎盤は子宮からスムーズにはがれ落ちることができるのです。
しかし、一部の妊婦さんの中では、この「床脱落膜」がうまく形成されずに、子宮と胎盤が直接くっついてしまうことがあります。これを「癒着胎盤」と言います。
癒着胎盤の状態で胎盤剥離が起こると、くっついている子宮から胎盤を無理やりはがすような状態になるため、多数の切れた血管から一気に血液が漏れ出し、多量出血を起こしやすくなるのです。
癒着胎盤は、子宮口を塞ぐように胎盤が形成されてしまう「前置胎盤」で起こりやすいといわれていますが、正常な妊娠の場合も起きてしまうことがあります。
発生の割合は極めてまれではあるものの、子宮と胎盤が「癒着胎盤」かどうかは、妊娠中の判断がとても難しいとされています。そのため出産後の対応が遅れてしまいやすく、多量出血が原因で妊産婦死亡に至りやすいのです。
出産というと幸せに満ちた出来事というイメージがありますが、死と隣り合わせでもあると改めて思い知らされますね。
- 日産婦誌61巻 3 号「10.異常分娩の管理と処置」(http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6103-062.pdf,2018年8月7日最終閲覧)
産科における「出血性ショック」とは?
一般的な「出血性ショック」とは、ケガなどによって一度に大量の血液が体外に流れ出てしまうことで、血液の循環が急激に悪くなり、臓器や組織へ酸素などが送り込まれず、多臓器不全を起こしてしまうことを言います。最悪の場合は、死に至ることも。
産科における「出血性ショック」は「産科ショック」と呼ばれるものの一つで、妊娠中もしくは出産後に起きた出血性ショックのことを指します。産科での出血性ショックが起こる主な原因は、前置胎盤や常位胎盤早期剝離、弛緩出血、子宮破裂、産道裂傷、癒着胎盤などがあげられます。
大量に出血してしまう事象は事故などを想像する方もいると思いますが、出産もまた、このような事象が起こりうるものだということを知っておかなければいけませんね。
- 日本産科婦人科学会雑誌第65巻第4号「産科ショックへの対応」(http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=65/4/06504N0013.pdf,2018年8月7日最終閲覧)
- 一般社団法人日本血液製剤協会「出血性ショック」(http://www.ketsukyo.or.jp/disease/decrease/dec_03.html,2018年8月7日最終閲覧)
死と隣り合わせ。今回も『透明なゆりかご』から目が離せない
『透明なゆりかご』第4話でテーマとして扱われる、「癒着胎盤剥離による出血性ショック」。病気のことを知り、真知子のその後がさらに気になったママもいるのではないでしょうか。
そして、真知子のその後を知ったアオイはどのような反応をするのか、目が離せませんね。出産というと幸せなものを想像しがちです。
しかし、出産は命の危険と隣り合わせだということを改めて考えさせられる『透明なゆりかご』第4話。ぜひママだけでなく、家族みんなで出産のことを知り、命の大切さ、儚さ、そして今生きていることの喜びを考えていきたいですね。