毎週金曜、夜10時から放送中の『透明なゆりかご』とは?
ドラマ『透明なゆりかご』の原作はコミックスで、現在7巻まで発売されています。筆者である沖田×華(おきたばっか)さんが看護学科3年のとき、母親のすすめで産婦人科院の見習い看護師として働くことになり、その実体験をもとに描かれています。
中絶の現場やその後処置を体験し、一時は辞めそうになりなりますが、出産の現場に立ち会い生まれる命の力強さに感動し、仕事を続けていく決意をします。作者が描く産婦人科院での体験は目が離せず、読者から「多くの人に教えたい、読んでほしい」という声が上がっているほどの話題作です。
ドラマでは主演の清原果耶さん演じるアオイを中心に、妊婦と真剣に向き合う産婦人科の院長・由比役の瀬戸康史さん、厳しいが頼りになる先輩・紗也子役の水川あさみさんなど豪華キャストが勢ぞろい。
毎週のドラマでは、涙を流さずには見られないような深い内容が放送され、見るたびに命の大切さについて考えさせられます。
- NHK「透明なゆりかご」ドラマのみどころ(https://www.nhk.or.jp/drama10/yurikago/html_yurikago_midokoro.html,2018年8月14日最終閲覧)
- Amazon「透明なゆりかご」(https://www.amazon.co.jp/透明なゆりかご-KC-KISS-沖田-×華/dp/4063409570,2018年8月14日最終閲覧)
8月17日(金)夜10時から放送、第5話のテーマは「14歳の妊娠」
©沖田×華
注目の『透明なゆりかご』第5話は、8月17日(金)夜10時から放送されます。第5話のテーマは「14歳の妊娠」。
後ろをぴったりくっついて歩き、由比産婦人科へ行くのだと言う男の子に気づいたアオイ。一方、由比産婦人科では、由比が榊に「これからの分娩は大きな病院に任せるべきかも知れない」と打ち明けており、その言葉で2人の脳裏にはかつて自分たちが担当し、14歳で妊娠した少女・真理と母・弘子の姿がよみがえります。
真理は14歳で妊娠し、親の説得を拒否して出産を決意。しかし、パパである彼氏には逃げられてしまっており、真理の母親である弘子は娘の妊娠に戸惑い、由比と話し合いを重ねていきます。
母親である弘子は真理とどう向き合っていくのでしょうか。また、真理は妊娠を通してどう成長していくのか、母と娘の結末から目が離せない内容となっています。
- NHK「透明なゆりかご」次回予告(https://www.nhk.or.jp/drama10/yurikago/html_yurikago_story.html,2018年8月14日最終閲覧)
未成年における中絶の実態を知る
実際に起きている未成年の妊娠、中絶の実態はどの程度なのでしょうか。
厚生労働省の資料によると、平成24年から平成28年にかけ、15歳未満~19歳までの未成年による中絶件数は年々減少している傾向にあります。
しかし、未成年が中絶をしているという実態はゼロではありません。減少傾向にある平成28年には、未成年全体で人工中絶が14,666件実施されています。最も多いのは19歳ですが、15歳未満の子供たちで220件中絶もの記録が残されています。ドラマの世界ではなく、14歳の妊娠は現実に起こっていることなのです。
年齢層別にみても、未成年の中絶は40歳~44歳と同じぐらいの割合で行われており、決して少なくありません。未成年の妊娠や中絶は体力、精神的につらい経験となってしまいます。そのため、妊娠についての正しい知識をきちんと学び、「望まない妊娠をしない」ことがとても大切だと感じずにはいられません。
- 厚生労働省「人工妊娠中絶件数及び実施率の年次推移」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/16/dl/kekka6.pdf,2018年8月14日最終閲覧)
未成年の妊娠は風当たりが強いのが実情。ママリに寄せられた投稿を紹介します。
現実に起こっている、未成年の妊娠。しかし、数値だけではなかなか信じられないという方もいるかもしれませんね。しかし「ママリ」に投稿された質問の中にも、未成年の方の妊娠・出産に関するものがあります。一部ご紹介します。
2週間ほど前に生理予定日を過ぎても生理がこなくて妊娠検査薬を使って検査をしたところ陽性反応でした。
ネットで色々調べたりして病院に行くタイミングなど彼氏と話して決めたりしました。
私はお腹にいる子を産んで育てたいと思っています。
両親が思っていたより妊娠したのは確かに早いし言いにくい環境だというのもあり、中々両親に妊娠しているかもしれないことを言い出せずにいます。
それ以前に彼氏は1つ下の16歳でまだ結婚できる歳ではありません。
でもお互い産みたいという気持ちはあって2人の間では意見があっています。
言わなきゃないことだというのも分かってるし反対される覚悟はできているのですがうまく説得できるか不安です。
こういった時どういった説明を両親にしたらいいでしょうか??
うちは経済的にも産むのは無理と言われました。やっぱり諦めたほうがいいんですか?
でも産まれてくる子に罪はないので産みたいんですけど、どうすればいいですか?
まだ、未成年の学生です。
どちらも未成年からの投稿です。どの投稿も初めての妊娠に戸惑い、ひどく悩んでいる様子が感じられます。産みたいけれども、親や先生から反対されたり、なかなか親に相談できなかったりする投稿者の皆さん。
やはり、未成年の妊娠、出産は風当たりが強く、どちらの投稿にも応援する声もありましたが、その一方で厳しい声もありました。
未成年の妊娠による問題は、妊娠そのもののリスクだけでなく、経済面や子育てに関する知識が浅いこと、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまうこと、そして判断を間違えて後悔する結果になりやすいことなどがあげられます。ママリに投稿された未成年の妊婦たちはわらをもすがる思いで、ママリに投稿したのではないでしょうか。
しかし、妊娠は一人の問題ではありません。ただ責めるのではなく、未成年の妊娠がよりよい選択や結果に結び付くように、周りの大人がしっかりサポートしていく必要があります。それと同時に、そもそも未成年の妊娠を未然に防ぐための、性に対する正しい知識を、今の子供たちに伝えていくべきでもあるでしょう。
「思いがけない妊娠」を支えてくれる人はいます
「思いがけない妊娠」のサポートについては家族だけでなく、自治体でもさまざまな制度があります。
愛知県では「特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託」を30年近く実施しています。こちらの制度は、妊娠中から相談に応じながら、里親を紹介するもの。妊娠中から対応してくれるので、安心して出産することができます。また里親の方も赤ちゃんの頃から育児をすることができるので、自然と親子関係を築きやすい環境となっています。
また、思いがけない妊娠をしてしまった方専用の「にんしんSOS」という相談窓口もあります。大阪母子医療センターが運営しています。
この窓口は、電話かメールで相談をすることができ、状況に合った手厚いサポートを受けられます。プロが相談に乗ってくれて、正しい知識まで教えてもらえるそう。未成年からするととても心強く感じますよね。
- 厚生労働省「新生児里親委託の実際について(愛知県)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011cpd-att/2r98520000011dif.pdf,2018年8月14日最終閲覧)
- 大阪府「にんしんSOSとは」(https://www.ninshinsos.com/sos.html,2018年8月14日最終閲覧)
未成年の妊娠は必ずしも諦めなければならないものではありません
未成年の妊娠は風当たりが強いということを紹介してきましたが、中には応援してくれる先輩ママたちもいますし、同じ経験をし、頑張っているというママもいます。実際にママリに投稿された、応援するママたちの声や共感の声を紹介します。
そりゃまだまだ知らないこともいっぱいだし
若いからこそいろんなこと言われるしつらいことあるけど、それはこれからの行動でしめしていけばいいし、何歳でも初めての子供はみんな初めてのママだし
おまるさんの赤ちゃんはおまるさんだけがお母さんなので子供と一緒に成長していけばいいと思います
わたしもすっごいいろんなことあって、いろんな思いして、何回泣いただろ。でもここまで来ました
なれない家事もがんばって何とかやってます
何とかなります😊
一緒に頑張りましょう💪
でと若いから運動会とかまだまだ、元気に参加できますよ笑
妊娠して子どもを産めば親です。
責任はそんな軽いものではありません。
それを1番分かってるのは自分の親御さんです。
産みたいって簡単に言葉では言えますが
お金は?住む場所は?結婚は?
いっぱい色々問題があります。
結婚は簡単ですが
出産子育ては簡単ではありません…
しっかりお互い話し合って
自分の気持ちを伝えるのが1番と思います!
頑張ってください!!
確かに年齢に関係なく、初めての妊娠は誰もが不安になるものです。経済的な面、精神的な面、さまざまな不安がたくさんあります。
先輩ママたちは何度も泣き、苦しい思いをしつつ、今があると言います。しかし、なんとかなるという強い言葉を投げかけているママもいました。
確かに、未成年の妊娠はしないように知識を身につけ、身を守ることが大切です。しかし、妊娠してしまったらからといって悲観的になる必要はなく、応援してくれる人もたくさんいます。
一人で抱え込まず相談し、納得いく結論を自分たちの力で導いてほしいと思います。
未成年の妊娠について『透明なゆりかご』をきっかけに考えてみませんか
実際に起こっている未成年の妊娠。自分には関係ないと思っていたママも、より身近に感じたのではないでしょうか。
そんな未成年の妊娠について放送される『透明なゆりかご』第5話。アオイは何を考え、娘・真理と母・弘子はどう決意し、どのような結末を迎えるのか気になりますよね。
ママだけでなく、子供たちとも一緒に考えていきたいテーマである未成年の妊娠。ぜひドラマを通して、妊娠、出産、育児について考え、子供たちに正しい知識を大人として教えていきたいです。