妊娠初期の流産の確率と原因
流産とは、妊娠の途中で妊娠継続ができなくなることを指します。全妊娠の約15%に起こるとされていますが、そのうち約13.3%が、妊娠12週未満で起こる早期流産です。
早期流産は、胎児側に原因があることがほとんどで、その中でも染色体異常が原因で起こる流産が大半をしめています。また、妊婦の年齢が高いほど増加する傾向があります。
- 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4,2018年11月22日最終閲覧)
- 井上裕美(監)「病気がみえるvol.10産科」P86-87(メディックメディア,2015年)
- 岡井崇(編)他「標準産科婦人科学」P325-326(医学書院,2014年)
妊娠初期に起こる流産の兆候
早期流産は、出血や腹痛などの兆候がある場合と、何の前触れもない場合があります。流産によっては出血や激しい痛みを伴うものもあるため、流産の兆候を見逃さないためにも、何かおかしいなと感じたら病院を受診しましょう。
出血
出血は、早期流産に限らず妊娠中の体の異変に気づかせてくれる症状の一つです。妊娠初期に出血があった場合、色や出血量、出血が続く期間をしっかりチェックしましょう。
出血はピンク色や茶色のものから、おりもの状のものや真っ赤な鮮血までさまざまですが、特に気をつけたいのが真っ赤な鮮血です。
子宮からの出血が続いている可能性があるため、早急に病院を受診しましょう。
下腹部痛
妊娠初期に起こる下腹部の痛みは、流産の兆候であることがあります。おなかが引っ張られるような痛みは、妊娠によって子宮が大きくなろうとする痛みで、痛みが一時的なものであればあまり心配はいりません。
しかし、ギューッと締めつけられるような痛みやズキズキと激しい痛みを感じる場合は、決して自己判断せず早めに病院に行きましょう。
- 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4,2018年11月22日最終閲覧)
- 荻田和秀(監)「らくらくあんしん妊娠・出産」P36-37(学研プラス,2017年)
妊娠初期に起こる流産の分類と症状
流産は出血や腹痛を伴う症状をイメージしやすいですが、実際は自覚症状を伴わないものもあります。妊娠初期に起こる流産は以下のように分類され、超音波検査によって診断されます。
また、妊娠検査薬で陽性反応が出ても、超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できないことがあります。これは「生化学妊娠(化学的流産)」と呼ばれ、医学的には妊娠回数、流産回数に含まれません。
切迫流産
切迫流産は、流産を疑う兆候がある状態ですが、超音波検査で胎児の心拍が確認できていて妊娠継続が可能な状態のことを指します。
少量の性器出血や軽い下腹部痛があり、腰痛が出ることもあります。妊娠初期は有効な治療法がありませんが、医師の判断で入院や自宅での安静を指示されることがあります。
稽留流産
稽留流産は、胎児(または胎芽)の心拍が確認できず、子宮内にとどまっている状態のことを指します。
基本的に母体には自覚症状がなく、まれに少量の性器出血があります。胎児の心拍が確認できないため妊娠継続は難しくなります。
進行流産
進行流産は、子宮内の胎児(胎芽)が外に出てきて、今まさに流産が進行している状態のことを指します。多量の性器出血と激しい下腹部痛が起こることが特徴で、超音波検査では子宮内の胎児(胎芽)は認められても心拍の確認はできず、流産の進行を止めることはできません。
不全流産
不全流産は、進行流産の一種ですが、流産する際に胎児(胎芽)や胎盤などが完全に排出されず、一部が子宮内に残ってしまっている状態のことを指します。
出血や下腹部痛が続き、子宮内に胎児(胎芽)が認められても心拍動は確認できません。
完全流産
完全流産は進行流産の一種で、子宮内の胎児(胎芽)が完全に排出された状態のことを指します。超音波検査では胎児(胎芽)は確認ができず、腹痛や性器出血といった症状が軽くなる、もしくは完全になくなります。
子宮口が閉鎖し自然に子宮収縮や子宮復古が進むため、流産手術は必要ありません。
- Askaレディースクリニック「流産とは」(https://aska-cl.com/miscarriage/,2018年11月22日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4,2018年11月22日最終閲覧)
- 荻田和秀(監)「らくらくあんしん妊娠・出産」P36-37(学研プラス,2017年)
- 井上裕美(監)「病気がみえるvol.10産科」P86-87(メディックメディア,2015年)
流産と診断されたら手術が必要?
早期流産と診断されると、妊娠継続が不可能とされる稽留流産、進行流産、不全流産の場合は子宮内に残された内容物を体外に排出する必要があります。
流産手術は、自然に排出を待つ「待機療法」、鉗子(かんし)などの器具を用いて行う「子宮内容除去術(しきゅうないようじょきょじゅつ)」の二種類があります。待機療法は、手術を受けなくてもよい、費用がかからないなどメリットがある一方で、自然に排出されるまでに定期的な診察を受ける必要ある点や出血が起こることで緊急手術となることもあります。
子宮内に内容物が残ったままだと、不正性器出血や子宮内感染を起こす可能性があり、次の妊娠に影響が出ることもあるため、一般的には子宮内容除去術を行います。
流産手術を行う場合は、病院によって流れが異なることがあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
わたしはお腹によく話しかけてました。手術は嫌だよ怖いよ、自分のちからであなたを産みたいよ、痛いのは平気だよなどなど。あとは後悔のないよう、お腹にいるうちに外の世界の楽しさを話したり、遊びにいったり好きに過ごしました。
あと、夫に陣痛の来るツボを押してもらってました。
1週間前に始まったなら、そろそろかなとは思います◎
腹痛が酷くて歩けないほどだったのでたまたま主人が休みだったことが救いでした。
手術をしなかったので一回生理が来たら妊活していいですよと先生に言われたので、手術だったらもっと間あけなきゃいけないのかな?と思いました。
私は今回も流産の可能性があるので、もし決定したらすぐに手術してもらおうと決めてます。
自然流産の時の腹痛はできれば味わいたくないので...
しました。私は8週4日でした。
自然排出は、なかなか排出されない
場合を考えると子宮に長く残しとく
のは良くないと言われました。
掻爬すると子宮が綺麗になるから
その後の妊娠もしやすいと
聞きました!
自然排出か手術、どちらを選択するかは医師の判断によっても異なります。どちらにもメリットとデメリットはありますが、医師に体の状態を確認しながら、体に負担がかかりすぎない選択ができるとよいですね。
- 志馬クリニック四条烏丸「流産手術(吸引手術)」(http://www.shime.biz/05-03-07-04-ryuzanshujutsu.html,2018年11月22日最終閲覧)
- 佐野産婦人科医院「流産について」(http://www.sanolc.com/blog/2017/12/post-144-551244.html,2018年11月22日最終閲覧)
- 上のレディースクリニック「婦人科手術・流産手術について」(https://www.ueno-ladies.jp/operation/,2018年11月22日最終閲覧)
- 亀田総合病院「流産手術」(http://www.kameda.com/patient/diagnostic/art/c03/index.html,2018年11月22日最終閲覧)
早期流産となっても自分を責めないで
妊娠初期は体調が不安定になりやすく、胎児の心拍が確認できるまでは不安になりますよね。早期流産は原因のほとんどが胎児の染色体異常であるとされています。
早期流産の中には自覚症状が出ず、超音波検査で初めて知ることもあるでしょう。「もっと注意深く過ごしていればよかった」と自分を責めてしまう人もいるかもしれませんが、決して自分を責める必要はありません。
流産と診断された場合は、医師と相談して適切な処置をするとともに、心のケアができるとよいですね。