妊婦さんはどうやってお風呂に入ったらいいの?
妊娠初期は、体型も目立った変化がないのでお風呂に対する疑問などは少ないかもしれません。でもお腹が大きくなくても、お腹には大切な命が宿っています。
妊婦さんがお風呂に入る際、注意すべきことは妊娠初期だけではなく妊娠中はずっと変わらず共通認識でいましょう。何か起こってからではなく、何事もなく出産の日を迎えられるよう、事前に防止できることはしっかりと防止していきましょう。
妊婦さんのお風呂の入り方のポイント
妊娠中でも、これまでと変わらずお風呂に入ることができますが、妊娠中のお風呂の入り方について、以下のポイントを押さえておくと安心です。
入浴時間はなるべく家族がいる時間帯に
お仕事を続けている妊婦さん、お仕事を退職して1人の時間が多くある妊婦さん、さまざまだと思います。
「明日の朝早いから…」「いつも1人でいるから」と言って、家に1人しかいない状況でお風呂に入っていませんか?妊娠中はどんなにご自身が気を配っていても、いつ何が起こるかわかりません。できれば、家族の人が家にいる時間帯に入浴しましょう。
また妊娠中、とくに妊娠後期にかけては血圧が下がりやすくなり、動悸が起こりやすくなっています。長時間の入浴は動悸を引き起こしやすくなるため避け、短めの入浴時間としましょう。
お風呂や脱衣所を安全に
妊娠していると、転んだりお腹に衝撃を与えたりするのは怖いものです。浴室や脱衣所は安全ですか?動けるうちに安全を確保しておきましょう。経験上、思いつく具体的な注意点は以下の3つです。
- 浴室の床には滑り止めつきマットを敷いて転倒を防ぐ
- 浴室の床にシャンプーやボディソープが残っていると滑りやすいので注意
- 入浴剤も転倒の原因になる可能性があるので注意する
入浴剤は香りや肌がすべすべになるなどの効果が謳われたものがあり、つい使いたくなりますが、中には「床にこぼすとすべりやすくなります」などの表記があるものも。入浴剤が付着していると、浴室の床や浴槽の床面を滑りやすくする可能性があり、転倒を防止する観点から使わないほうが無難です。
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お風呂の温度と洗い方
妊娠中は肌がいつもより敏感になっています。お風呂の温度は普段よりぬるめ、38~39度が目安です。高温のお風呂では、皮膚を守っている皮脂まで落としすぎてしまい、皮膚に刺激になってしまいます。
ボディソープで身体を洗う時には、ナイロンタオルでゴシゴシとこするのは避け、手でソフトに洗うとよいでしょう。
- タグチIVF レディースクリニック「妊娠中の動悸」タグチIVF レディースクリニック(http://taguchi-ivf.or.jp/?p=1172,2017年5月19日最終閲覧)
- 東京都生活文化スポーツ局消費生活部 東京くらしウェブ「浴室等に潜む危険に関するヒヤリ・ハット調査」(https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/hiyarihat/bath.html,2024年4月4日最終閲覧)
- 桜台マタニティクリニック「vol.4 妊娠中の旅行について」桜台マタニティクリニック(http://www.sakuradai-mc.com/sakumata.php?v=4,2017年5月19日最終閲覧)
お風呂の前後は水分補給をしよう
妊娠中は体温が高めになり、おなかの中で赤ちゃんを育てるために通常より水分が必要になるため、脱水症状を引き起こしやすくなっています。
また、つわりで嘔吐することが増えると、水分の摂取量が減って血液がドロドロになり、血栓症になるリスクも高まってしまいます。
妊娠中にお風呂に入る際は、のどがかわいていなくても入浴前と入浴後はもちろん、長湯をするのなら入浴中にも水を飲むなどして、ふだんよりもしっかり水分補給をするようにしてください。
- 南町田レディースクリニック(メディモ)「実は女性に多い熱中症。妊婦さんは更にご注意を!」(https://gbp.minamimachida-grandberrypark.com/shoptopics/detail/?cd=012037&scd=000039,2024年4月4日最終閲覧)
- 世田谷区の産婦人科「つわりの症状がある妊婦さんは、脱水による血栓症に注意しましょう」(https://www.fuyukilc.or.jp/column/つわりの症状がある妊婦さんは、脱水による血栓/,2024年4月4日最終閲覧)
入浴後はたっぷり保湿
妊娠中は、ママの体の水分は羊水や赤ちゃんの肌を作るために優先して使われるので、妊婦さんの肌はいつも以上に乾燥しやすい状態になっています。
入浴後は、ふだんから肌の乾燥を防ぐために保湿ローションやクリームなどを塗っている方もいるかと思いますが、妊娠中は特に乾燥しないように注意し、お風呂から出たら素早くタオルでしっかり拭いて保湿をたっぷりするようにしましょう。
つわりがひどいときは、保湿ローションのにおいなどでも気分が悪くなることもあるので、無香料で低刺激のものがおすすめです。
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妊娠時期によっては注意したほうがいいこと
では次に、妊娠時期が進むにつれて特に気をつけなくてはいけないことをご紹介します。
妊娠初期
妊娠初期に出血があり、切迫流産と診断された場合には安静にするよう指導されることがあります。入浴が可能かどうか、必ず主治医に確認をするようにしましょう。
妊娠中期
安定期に入り「温泉旅行に行きたい」という妊婦さんもいるのでは?妊娠中に温泉に入っても赤ちゃんやママに直接危険はありません。しかし、温泉の成分は塩分や銅・鉄・硫黄など特殊な成分が含まれ、肌には刺激が強い可能性があります。かゆみや異常を感じたらすぐにあがりましょう。
また、長時間の入浴によって体調が悪くなることも。短い時間にサッと済ませるようにしましょう。
温泉の成分や入浴上の注意を定めた温泉法では、入浴を避けるべき「禁忌症」の中に「妊娠中」という記載もありましたが、2014年には環境省によって「妊娠中」は削除されています。このことから、妊娠中も温泉に入ることには問題ないことがわかりますね。
ただ、妊娠初期と後期は体調の変化が起こりやすいので、温泉のために旅行に行くなら、比較的体調が安定している妊娠中期が安心です。
その場合も、高い温度のお湯やサウナは血圧が急変動して体に負担がかかるので、安定しているからといって油断は禁物。温泉に入る際は熱すぎるお湯や水風呂などは避けるようにしましょう。
温泉は自宅のお風呂と違っていろいろな人が利用しますので、清潔で安全性が確保された施設を選び、万が一体調が悪くなったときのために、母子手帳を持ち歩くようにしてください。
- 環境省「【温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意に掲示等に関する新旧対照表 】」(https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-5_p_13.pdf,2024年4月4日最終閲覧)
- 桜台マタニティクリニック「vol.4 妊娠中の旅行について」(https://www.sakuradai-mc.com/sakumata.php?v=4,2024年4月4日最終閲覧)
妊娠後期
妊娠後期はお腹の赤ちゃんが大きく成長し、それとともにお腹が大きくなり、バランスをとるのが難しくなってきます。また、大きなお腹で足元が見えにくくなるため、浴室での転倒には十分に気を付けましょう。
お風呂用の洗剤のぬめりや石鹸のヌルヌルが残らないように注意し、できる限り足元には転ぶ原因になるものを置かないことが肝心です。
- 日本産婦人科医会「医療と医業(H22-02)」日本産婦人科医会(http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/TAISAKU/kaihou/H22/H22-02.htm,2024年4月4日最終閲覧)
- いしかわ産婦人科「よくある質問」いしかわ産婦人科(http://www.ishikawa-sanfujinka.com/qa.html,2024年4月4日最終閲覧)
- 中西ウィメンズクリニック「妊婦健診でよくある質問」(http://www.n-w-c.jp/faq,2024年4月4日最終閲覧)
妊娠を機にお風呂のまわりを見直してみて
妊娠中は、体型や体調の変化があるため、無防備になるお風呂で何かあったらと不安になってしまいますよね。でも、ゆったりお湯に浸かることは汚れを落とすためだけではなく、体を温めてリラックスするためでもあるので、妊娠中の入浴は心身にとっても良いことがたくさんあります。
妊娠初期はつわりや体調の変化などで不安を感じることもあるかと思いますが、清潔で安全な施設でしたら温泉を楽しむこともできます。ただ、お湯の温度や浴室の安全性には十分注意し、水分補給や保湿などもこれまで以上に気を配ってくださいね。
赤ちゃんが生まれると、夫婦でゆっくりお風呂に入ることもなかなかできなくなります。これを機に夫婦でのんびり入浴タイムを過ごすのもよいかもしれませんね。