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被害後、オキエイコさんは周囲に自分の体験をフランクに話すようにしていたとのこと。周囲の人にわざと笑ってもらえるように話すことで「大したことがなかった」と思いたい側面があったのかもしれません。
目立った心的外傷を感じることもなく「トラウマにならなくてよかった」と思っていたオキエイコさんでしたが、心に残ってしまった傷はそう簡単に跡形もなく消えるものではなかったようです。
犯人はまだ心の中にいた
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犯人が逮捕されないまま過ぎていった1年。「トラウマが残らず良かった」と思っていたオキエイコさんでしたが、夜道で男性に声をかけられ、声も出せないほど硬直して逃げてしまうというフラッシュバックが起こりました。
命の危機や性暴力の場面に直面すると「なんでもない」と思っていても、実は無意識下で根深いトラウマが形成されることがあるのかもしれません。
「自分の中にまだ犯人がいる」という言葉からも、性犯罪は女性に根深い感情を植え付けていることがこの漫画から伝わってきます。心の奥底でつらい気持ちを抱えている女性は、実は身近な場所にもいるのかもしれません。
オキエイコさんが直面したような犯罪にあう方がいなくなること、またトラウマを抱えている方の苦しみが早く癒えることを祈らずにはいられなくなる作品でした。
『知らない人が家に入ってきた話』の著者であるオキエイコさんは、この漫画にこめた思いについて以下のようにコメントしています。
「お恥ずかしながらあの事件の1秒前までは、自分がこんな事件に巻き込まれるなんて考えた事もありませんでした。
でもそれはきっと、この文を読んでくださっている皆さんの多くにとってもそうだと思います。まさに1秒後、あなたのその後ろの窓から変質者が入ってくるなんて、想像できますか?そのくらい『事件』は突然やってきました。
性被害は人に相談しにくく、相談された側もどう応えていいのか回答が難しい。『なかったこと』にされることも少なくないと思います。
だからこそ、声をあげてもいいことを伝えたくてこの漫画を描きました。人に伝えたい、というより、自分自身に言い聞かせたいという側面が強かったです。
老若男女関係なく、被害者にも加害者にもなってしまう可能性がある性被害。なので誰が読んでも読みやすく重くなりすぎず、でも伝えたいことが伝わる漫画を心がけました。性被害に興味のない層の方にも読んでいただき、社会全体でアンテナを張っていただけたらと思い描かせていただきました。」
この漫画は犯罪被害体験談を紹介したものです。このような被害に遭っている、あるいは遭った経験のある方のために、内閣府の男女共同参画局では『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター』を設置しています。
自治体によってはこのほかにも犯罪被害者支援センターを設けている場合があります。必要に応じて相談をご検討ください。










