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テレ朝『リエゾン』第4話に見た思春期「お母さんは友達じゃない」親の関わり方は?

毎週金曜よる11:15~0:15(※一部地域で放送時間が異なります)放送のテレビ朝日系・金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』。今回は、摂食障害を発症した思春期女子の話題や、発達障害のカミングアウトなどさまざまな側面のある放送回でした。皆さんは何を感じましたか?この記事は、5歳でADHD・広汎性発達障害と診断された息子との12年間を発信しているインスタグラム「発達障害と共に生きる」家族のコミュニティ「そらあい」のSHI-・ママに寄り添う発達凸凹育児アドバイザー(so_ra_ai_)が、感想をつづります。

PIXTA

幼少期とは違う、思春期の親子の関わり方

リエゾン第4話は、摂食障害と向き合う思春期の女子のケースをはじめ、発達障害に関するさまざまなことが含まれた放送回でした。今回も「発達障害と向き合っている親」としての観点から感想をお話しします。

思春期 PIXTA

今回、さやま・こどもクリニックを訪れたのは、摂食障害でやせたい気持ちをコントロールできなくなった、高校1年生の朱里と母親。友人関係に悩む中、SNSで自分のダイエット記録を投稿した結果、「いいね」をもらえたり、友人ができたりしたことをきっかけに、やせることにのめりこんでいきます。

印象的だったのは佐山先生の「幼少期の関わりは家族が主体ですが、次第に家族外の人とつながり人間関係が増えることで、生きづらさが症状として現れることがある」というセリフ。わが家に照らし合わせるとまさにそうで、障害の有無に関わらず、小学校へ入学するころから、親が知らないこと・見えないことが増えました。友人関係や1日の過ごし方についても、情報は「わが子から」と「連絡帳」の情報のみ。親の知らないところで息子もいろいろ苦労したのではないかと思います。

親だって思い返せば、学生時代の人間関係では悩んだのではないでしょうか。親になってみると余計に、この「親が介入できない世界」に対して怖さを感じます。作中の娘・朱里ちゃんが発していた言葉「だって、お母さんは友達じゃない!」はグサッと心に刺さりました。「助けたい」「支えたい」と思う親心に対し、作中の娘が求めているのは「親」ではなく「友達」。思春期の関わり方の難しさが、この言葉に詰まっているように感じました。

また、母親が摂食障害について調べ「原因は幼少期の親の関り方」という一言にショックを受ける姿にも非常に共感しました。悩む母親に対する佐山先生の「親の愛情は届いてます」というセリフには心が救われましたが、自分を責めてしまう親は少なくないのかもしれません。

SNSの外にいた「本当の理解者」

SNS  PIXTA

今回のドラマでの鍵の1つはSNSだったと思います。朱里は自分を無価値だと感じながら始めたSNSで「やせたら友達ができた」「ダイエットしたら承認された」という思いを重ねていきます。SNSでは、いいね数やフォロワー数に反応し、自分の中の承認欲求が満たされる感覚を得ることがあるようです。誰かとつながっていると感じる環境で「ここが私の居場所」と感じる。上手に使えば楽しめるのかもしれませんが、朱里のように、やせたい衝動をコントロールできなくなるのは危険です。

危うく「やせていないと友達ができない」と思いこむ状況にまで陥っていた朱里ですが、学校のトイレでおう吐してしまった際、近くにいた友人に自分の病気のことを初めて話し、病気の自分をまるごと受け入れてもらう経験をしたことで、思いに大きな変化が現れます。たった1人にでも、つらさをわかってもらえることの尊さ。今回は「友達」「家族」それぞれの思いやつながりが複雑に見え隠れする展開でしたね。

遠野先生の「カミングアウト」への感想

不安 PIXTA

第4話では「発達障害のカミングアウト」も描かれました。私自身、子どもの発達障害に関して①子どもへのカミングアウト②知り合いへのカミングアウトを経験しています。当事者としては今後、息子のそばで一緒に考えていくのだろうと思っています。

今回のドラマの感想でフォロワーさんからは以下のような声があがりました。

・「ただ知って欲しかっただけ」ってまさにそうでした
・カミングアウトの結果は「拒絶か同情か」なんです
・「みんなと同じ悩みに見られるのがつらい」に共感しました

カミングアウトは聞く人によって「うまくいかないのを発達障害のせいにしている」「言いわけをしている」と考えられてしまうこともあるようです。しかし、発達障害の当事者は他の人より何倍もの時間をかけて、いわゆる「普通の人」と同じようにふるまえることがあります。それでも「メモをしたのにそのメモを見るのを忘れる」など、やりきれない思いを抱えている人もいます。

作中のように、発達障害をカミングアウトした人に対し「大丈夫」「そう見えない」「みんな同じ」「多かれ少なかれ誰もが得意不得意がある」そんな言葉をかけたことはありませんか?振り返ると、私は息子にも同じような声掛けをしてきたことがあります。

近くにいるとどうしても、彼が「頑張っている」という部分を忘れ「当たり前にできている」に見えてきてしまいます。カミングアウトの場面は、そんな自分にハッとしたシーンでした。

佐山先生のセリフにあるように「経験がないからこそ、分からない。その痛みを理解するのは難しい」その通りだと感じました。親であっても「寄り添い」とは思っている以上に難しいものだと感じます。

足りない部分は「助けてもらう」でいい

握手 PIXTA

私と夫は、息子と話をするときに話すことがあります。「わからないことや助けて欲しいときは『助けて』って言っていい」「困った時は頼っていい」「いつまでも味方だよ」ということです。これは息子が小さいころから伝えています。障害の有無に関わらず、人に頼ることが苦手な人はたくさんいます。学校の授業でも「わからないのに聞けない」といったシーンはありませんでしたか?そんなときに、聞ける大人がいるかどうかがとても大切ですよね。

勉強だけではなく、生活面でも「わからないので教えてください」そう言えること、頼れることは、大切なスキルだと思っています。作中でもあった発達障害に関しての言葉「全体を見てのアンバランスさが日常の生きづらさにつながるけれど、足りない部分は他人に頼る、助けてもらうで補っていけばいい」が、このことを物語っていると思いました。

発達障害があっても息子が「自分で」生きていくために、たくさんの人の支えは不可欠なはず。そうした助けを借りながら、家族は彼にいつでも寄り添っていきたいと思っています。

SHI-・ママに寄り添う発達凸凹育児アドバイザー(_so_ra_ai_)のInstagram

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