フィンランド教育ってどんな教育?
フィンランドの教育制度は、1920年代に従来の教育を転換する動きのオルタナティブ教育の流れを組み、1944年のフィンランドの深刻な不況から抜け出す為に“企業ではなく人に投資を”という教育改革のもとに、様々な教育思想の手法を自国に合うように上手にアレンジして取り入れて改革をして、2000年初めにPISA(OECDの学習到達度調査)で上位になったことで“フィンランド式教育”や“フィンランド・メソッド”と呼ばれ注目されています。
しかし、現地フィンランドでは“フィンランド・メソッド”というものはなく、それぞれの教師たちが子供が自ら学べるようにサポートしているだけと、どの先生に聞いても答えが返ってきます。またそれも興味深いですね。
教育方針
フィンランドの人々は以下の3点を、どこの学校でも学ぶことが出来ることを重要視しています。
- 学び方を学ぶ
- キャリア教育
- 自分の適性を知る
フィンランドでは子供が学んでいくことをサポートするのが教師の役割とされていて、子供に勉強を強制することはありません。勉強をしないのは子供自身の責任という方針がとられています。
教育手法
たくさん手法はあるのですが、日本と比較してみてみると以下の5点でも大きく取られている手法が違うのがわかると思います。
- テストや順位付けなどで勉強を強制しない
- 生徒の自主性や協調性が重視されている
- グループ学習が多く、テーマが与えられると教えあうことや話し合いながら学ぶ
- 学びが生活面としっかり結びついている
- 年齢や学年で学習内容が決められていないため落ちこぼれはいない
そんな中で、子供たちは自分と他人が比較されることなくのんびとした楽しい環境の中で学び、育っていくので差別とのも生まれにくいのも特徴なのかもしれませんね。
フィンランドという国の子供や教育へ取り組み
フィンランドでは“子供は私たちの国の子供でもあるので一緒に育てていきます!”という考えのもと、子育て支援が盛んに行われていて、世界で“お母さんに優しい国ランキング”では常に上位にいます。そんなフィンランドの取り組む、子供や教育への支援をご紹介致します。
各専門のエキスパートが連携を取る中で子供が成長する!
夫と共に、息子を保健センターのネウヴォラ(相談機関)に連れて行って、言語、体育、精神科の3分野の専門家に診てもらいました。
プライバシーの保護の為、保健センターでの検査結果は両親の許可なしに保育園に開示されることはありませんが、このような場合には両親が用紙にサインして保健センターと保育園で情報交換をします。
園での様子も、担任の先生によってレポートが書かれ、保健センターのエキスパート各位の手に届きました。 出典: www.sekainokosodate.com
こちらは、フィンランド在住で子育てをされていて本を出されたり、多面でライターとしてご活躍されている靴家さちこさんのブログから引用しています。
フィンランドでは、生まれる前から大人になり社会に出るまでプロ達の中で育っている!といっても過言ではないくらい、多くの専門家が連携を取り子育てを支援しています。
ネウボラ制度!
ネウボラとは、フィンランドの行政機関が運営する、「子育て全般に関する支援センター」のようなものです。妊娠が発覚した段階からフィンランドの夫婦はこういったサービスを活用しています。
不安なことがあるといつでも相談出来、自宅にもネウボラ職員が来て優しく心に寄り添ってくれます。こうした活動によって、幼児虐待や子育ての辛さによるうつ病等の社会的課題が少しずつ減っていっているそうです。 出典: mom-campus.com
こちらは、日本の自治体でも参考にされ取り入れられるようになってきているネウボラ制度。子供が生まれる前から、未就学までを保健師さんをはじめとしたチームが相談にのってくれる素晴らしい制度です。子供が出来たら、とにかく困ったときはまずここに相談をしています。
本質的な平等な教育が受けられる!
「落ちこぼれを作らない教育」というキャッチフレーズで日本にも紹介されているように、フィンランドは教育の機会だけではなく結果も平等にすることを目指しています。
つまり、「できる子」と「できない子」という差を作るのではなく、「みんなできるようになる」ようにしています。教育結果の平等を実現するため、フィンランドでは、生徒が勉強についていけなかったり、集団生活で問題があったりするときにサポートする「特殊教育」に力を入れています。
具体的には、通常のクラスとは別に少人数で補講を行ったり、生徒一人ひとりに合わせた学習計画を用意したりします。この場合、生徒の評価は、その生徒個人の学習計画に基づいて行われます。特殊教育を受けるのは何も例外的で恥ずかしいことではなく、2008-2009年度にはperuskouluの約3分の1の生徒がなんらかの特殊教育を受けています。
特殊教育は、生徒が苦手意識を持つ前にできるだけ早期にサポートすることを意図しています。また、peruskouluの5年生まではA、B、Cというようなランク付け形式の成績評価を行いません。このように、フィンランドの初等教育は、生徒が学校で「失敗」することがないように制度設計されています 出典: suomiyhteiskunta.blog.fc2.com
この取り組みは、本当にフィンランドらしい!といえるもので全員に同じことをするのが平等ではなく、一人一人に合わせるのが平等と考えられています。ここの“平等”という概念が日本とは違いますね。
子供ももその親も大切に出来るように制度が整っている!
夜の番組でフィンランドをやってた。子供を持つママの7割が仕事をしているけれど法律で子供が病気になったら3日会社は休める制度になってるらしい。 出典: ameblo.jp
日本だと、子供が病気をすると会社に申し訳ないと思いながらお休みしたり、逆にこの事を考え働きづらい、雇いづらいということで子供を持つ女性の雇用が進まなかったり、キャリアにつながらない原因になっています。
しかし、フィンランドでは親とし当然の権利として法律で決まっているので、親としては気持ちの負担が減りますね。この制度は父親も母親も子どもが病気をしたら3日休める権利として施行されています。
問題解決していける環境を作り出す!
この、いじめ対策プログラム「KiVa」 は、トゥルク大学の心理学部の教授が開発したもので、起こってしまったいじめに対する対策はもちろんだが、何よりも力を入れているのは、その前の段階で、いじめをストップさせること。芽も出る前に、摘み取ることだ。だから、「いじめ防止プログラム」と言った方が合うかもしれない。
いじめとは何かということを根本から、子どもたちと考え、自分の行う行為に自覚を持ち、いじめをしない、許さない心を育むための授業が、いじめがあるクラスもないクラスも、子どもたち全員を対象として行われている。 出典: ameblo.jp
このキバといういじめプログラムも1つの例ですが、問題があると、解決策をみんなで考えて取り組む社会というのもフィンランド社会の持つ良さだと思います。子供たちは疑問や問題があるとみんなで話し合います。
進行役は教師です。そして傍観者が1番良くないという考えから、傍観者も取り込み問題を解決していく事を子供のころから体感して育つ環境があります。
人として学ぶべきことが沢山ある!
フィンランドの教育いついてご紹介してきましたが、フィンランドには参考になる学びが沢山詰まっています。詰め込みしなくても自ら学ぶ子供たちが育っているのを見ると、いろんな学び方があることに気づけます。
もしうまくいかなくて悩んだり立ち止まったりしたときは、世界に目を向け、自分の子供に合った教育手法が見つかれば、身近に出来そうなことから真似してみるのはいかがでしょうか?
親自身が広い視野を持ち、もっと力を抜いて、子供と向き合えるきっかけになりますように。