子どもはどうして手が出てしまうの?
言語発達が未熟な乳幼児期の子どもは、自分の気持ちを的確に言葉で表現できません。そのため、「本当はこう言いたい」という気持ちがあったとしても、その気持ちをうまく言葉にできず、相手に伝わらないと手が出てしまうことがあります。
子どもの「ものを投げる・たたく」への対処法
子どもの育ちを支える大人として、次のような向き合い方を意識してみましょう。
まずは行動をやめさせる
子どもが人をたたいたり、物を投げたりして自分の気持ちを表現している時は、まずはその危険な行動をやめさせます。
その時の声掛けのポイントは、「行動の注意」になっていることです。例えば、「たたいたら痛いから、たたかないでね」「投げたら危ないよ。やめようね」などです。
ここで気をつけたいのは、あいまいな注意と人格の否定にならないことです。
「だめ!」や「そんなことしない!」などの注意は、何がだめなのか、どんなことをしてはいけないのか、あいまいな注意になっていて分かりにくいですよね。具体的に「たたかないよ」「投げないよ」など、行動に対して注意をすることがポイントです。
また、「たたくなんて悪い子ね!」といった注意は行動に対する注意ではなく、人格の否定になってしまっています。たたいたことが悪いことなのであって、人格を否定する必要はありません。
次に子どもの気持ちを代弁する
次に、手を出したり物を投げたりした子どもは、なぜそのような行動をしたのか…その時に言葉で伝えられることがあるとしたら何だったのか、状況を整理して理解します。
そして、子どもが感じていた気持ちに共感しながら、伝えたかったことを言葉にして代弁します。
例えば「このおもちゃで遊びたかったんだよね」や「おもちゃを取られて嫌だったね」などです。
このように、子どもが嫌だと感じて手が出てしまった時の気持ちを言葉で表現することを続けていると、「今感じたこの気持ちは、悲しいという気持ちなんだな」などのように、子どもは徐々に気持ちを言語化していくことができます。
それにより、次に悲しみや怒りを感じた時に、手を出すことではなく言葉で伝えることができたり、してほしかったことを伝えられるようになったりしていきます。
最後に望ましい行動を伝える
たたくのはいけない行動だと注意しても、「じゃあどうすればよかったのか」が伝わっていないと、何度注意しても行動が変わらないということが起こってしまいます。
例えば「おもちゃを貸して、と言えばいいよ」「困ったらたたかないでママを呼んでね」など、たたく代わりに望ましい行動を子どもに伝えるようにしましょう。
どうすればたたかなくても自分の気持ちを伝えるコミュニケーションが取れるのか、地道に伝え続けて教えていくことが大切です。
そして伝える時は、見本を見せたり、具体的に伝えたり、子どもが再現できるように分かりやすく伝えることを意識してみてくださいね。
子どもの成長に寄り添いながら声かけを続けよう
©️保育士ごんちゃん
いかがでしたか?今回は子どもが暴力的な行動を取った時の対処法について解説しました。
また、嫌な思いをしているわけでもなく、お友達とけんかしたわけでもないのに、癖のように物を投げることが続いている場合、「投げる」という行動を試してみたい成長段階にいる可能性があります。
そんな時は、思いっきり外でボールを投げる遊びをする機会を作ったり、家の中では投げても大丈夫なやわらかいものを投げて遊んだりして、子どもの好奇心を尊重しながらできることを提案してみてくださいね。