伝え方が難しい?挨拶や貸し借りなどの、人と関わる生活習慣
大人になるまでに身につけておきたい挨拶などの生活習慣。人と関わって生きていく上ではぜひ身につけておきたい習慣は色々あるものですが、いつから、どのように伝えると良いのか悩みますね。
年齢的にもしょうがないかなと思いますが、毎回イヤイヤと絶叫しおもちゃも取り上げてしまうので、お友達と遊ぶ時や支援センターへ行った日は、親の私がどっと疲れます…(^_^;)笑
順番よ、とか、〇〇ちゃん(娘)もおもちゃをとられたら悲しいよね〜?とか話していますが全く響いてないようです。。
赤ちゃんは初めはみんな自分の世界だけ生きているものですが、成長していくにつれて集団のルールに従ったり、マナーを守ったりすることを覚えていきます。
赤ちゃんの様子を見ていると「これで大きくなった時にわがままにならないかしら」、「対人関係のルールはどうやって教えるべきなのかな」と心配になることがありますが、ルールを教えようと気構えるのではなく、普段の生活の中でコツコツと根気よく、良い習慣をつけていくことが大切です。
ベテラン保育士に聞いた、身につけさせたい良い習慣の伝え方
子供に教えたい「良い習慣」の身につけ方について、親子カフェで働くベテラン保育士のトマトさんにお話を聞きました。
「挨拶」「順番」「物の貸し借り」そして「相手に何かを頼む」という四つの力について、伝え始めるタイミングや伝え方をご紹介します。子供がこれから社会で生きていく力をつけていくために、参考にしてみてください。
「挨拶」はママやパパが生まれた時からお手本に
近所の人や幼稚園、保育園の先生にきちんと挨拶ができると良いものですよね。恥ずかしがってなかなか一言が出ないことがありますが、自然に挨拶ができるようになるにはどのような方法があるのでしょうか。
トマトさんによると「挨拶」は生活習慣であって、教えられる年齢が来たら教えるものではないとのこと。毎朝ママやパパがお互いに「おはよう」と言い合うことや、近所の人には「こんにちは」と声をかける様子を見て、子供は自然に「挨拶」を学んでいきます。
挨拶ができるようになってほしい時期になって急に「ほら、こんにちはでしょ」と声を掛けても、子供が急に挨拶ができるようになるわけではありません。普段のパパやママの挨拶の習慣から見直し、子供のお手本になるように心がけましょう。
「順番」は他者の存在がわかる1歳半~2歳ごろから、遊びの中で教える
公園の遊具など、多くの場面で必要になる「順番」。すぐに遊びたい遊具でも、今使っている人や待っている人が居れば自分も待つ習慣はつけておきたいものですね。
トマトさんによると、子供は初めから他者の存在に気付いているのではなく、日々の生活の中でだんだん他者を意識するようになるようです。それは1歳半~2歳くらいの頃。自分以外にも他者がいることを学びます。この頃になったら「今はお友達が使っている(待っている)から、自分の順番になったら使おう」と根気強く言われると従うことができるようになってきます。
なかなか思うように待つことができない場合もありますが、個人差があるため焦らずに見守りましょう。また「相手の気持ちを考えて、自分も待つ」というのはまだ先の話で、この段階ではただ単に「並んで待つ」という習慣をつけることが目的だそうです。相手を思いやることができるのはまだ先ですが、待つ習慣をつけておくと子供同士のトラブルも少なくなり、円満に遊べるようになりますね。
「貸して」「どうぞ」は、わが子の気持ちを大切に
おままごと道具や工作用品など、一つしかないものを使うときに必要なのは貸し借りをする力ですね。「貸して」「どうぞ」という言葉を教えたいママは多いようですが、トマトさんが注意してほしいと話すのは「どうぞ」ばかりさせないということです。
児童館や公園の砂場など、物を貸し借りしなくてはないけない場面は多いものですが、ママたちはついお友だちやそのママの手前、借りるより貸す方を優先させやすいようです。わが子が遊んでいるものを他の子が横から取ろうとしても、つい「どうぞして」と言ってしまったり、他の子が遊んでいるものを欲しがっても「まだ待っていて」と言ったりしていませんか?
「貸して」「どうぞ」はみんなが気持ちよくおもちゃを共有するための言葉ですが、それが子供にとって「相手ばかり優先される言葉」になってしまうと、嫌になってしまいます。
他のママの前ではなかなかわが子を優先しにくいものですが、他の子に使っていたおもちゃを取られてしまったら「嫌だったよね」と小声で声をかけてあげたり、「貸したくない」という気持ちに共感してあげたりしましょう。また、借りたいおもちゃを一緒に借りてあげるなど、「借りる」「貸す」の両方をすることを「気持ちよい」と感じられるように手助けしてあげることが大切だそうです。
また、まだ他者を意識できていない1歳半ごろまでの時期に「貸し借り」は難しいようです。可能であれば似たおもちゃをそれぞれに持たせたり、他のものに関心を向けさせたりして、無理のないようにしましょう。
「やって」を言えるまで手を出さない場面をつくる
人に優しくしたり何かを与えたりする力も必要ですが、生きていく力という意味では「人に頼る」というのもぜひ身につけたい能力です。ママとずっと一緒にいるときには、子供が困った場面では何も言わなくてもママが気づき、助けてあげていたでしょう。しかし、しだいに子供が社会に出ていくようになると、困ったときは誰かに頼る必要が出てきます。
いつもママやパパに先回りで助けてもらっていた子供は、なかなか人に対して「お願いする」ということができません。子供が言葉で「ちょうだい」などを言えるようになってきたら、何かを人に頼みたいとき「やって」「おねがい」と頼むことを伝えていきましょう。
トマトさんによると、子供が困っている場面ですぐに手を出すのではなく、しばらくチャレンジするところを見守り、難しそうなら「何かしてほしい?」と、自分から頼めるように促すと良いそうです。
性格によってすぐに頼める子とそうではない子がいますが、本人が頑張る姿を見守ることと、困った場面で「やって」と声を出すことができたら、そっと助けてあげることを大切にしていきましょう。
本人の「できるようになる力」を大切に、根気よく伝えよう
子供に伝えたい習慣やルールはいろいろあるものですが、急に1度で教え込もうとしても簡単に身につくものではありません。大切な習慣だからこそ、日々の積み重ねでじっくり伝えているとトマトさんはいいます。
保育園では日々の暮らしの中で、お友達との遊びを通して集団のルールや習慣を身につけます。家庭でもパパやママ、きょうだいとの関わりの中で、自然によい習慣をつけていきたいですね。
取材協力:親子カフェHedgehog the Rainbow見守りスタッフ トマトさん
公立保育園に15年間勤める保育士。保育士をする傍ら、アロマセラピストやボディケアの仕事もする中で「もっとママたちを癒やし、子供に関わる仕事がしたい」と感じ、親子カフェの見守りスタッフを始める。日々頑張るママたちがホッとする時間を作ることが、仕事のやりがい。