1歳児の心と体の発達
1歳頃になると、それまで赤ちゃんをただかわいがることに注力していた育児の中に、「しつけ」という言葉を意識する方もいるでしょう。
0歳の頃とは違い、1歳前後は色々なことに興味関心を持ち始める時期。親の話に少しずつ耳を傾け始めたり、歩き始める子がいたりと成長を感じる場面もありますよね。自己主張も多くなってくるでしょう。
子供が歩き始めたり周囲への興味を持ち始めたりすると、行動範囲が広がってきます。日常生活の中で事故やケガなどに遭遇する可能性も増えます。子供がさまざまなことに興味を持ち始めたら「これはやってもよい」、「これは危険だからやめておこう」など家庭内でのルールを決めて、繰り返し伝えていく必要があります。
子供はやりたいことができないと泣いたりかんしゃくを起こしたりするかもしれませんが、決して大声で叱るのではなく、親が少しずつ物事の「よい」、「悪い」を教えてあげられるとよいですね。
1歳児の発達の特徴
1歳になると少しずつ親の言葉を理解し始めるようになってきて、早ければ歩き始める子供もいます。
そこで、1歳頃の体の発達、運動能力の発達、心の発達についてご紹介します。いずれも一般的にいわれている成長の特徴であり、この時期の成長には個人差があります。「うちの子は当てはまらない…」と思う項目があるかもしれませんが、あまり気にしすぎないようにしましょう。
体の発達
満1歳で体重は出生時の約3倍、身長は出生時の約1.5倍になります。運動量も増えるため、体重の増え方が落ち着いてきます。乳児期に比べて体が引き締まり、赤ちゃん体型から幼児体型へ変化していく時期です。
体格の差には個人差があるため「体が小さめ」、「発達がゆっくり…」といったことを心配し過ぎないようにしましょう。
運動能力の発達
1歳を過ぎると少しずつ歩き始める子供も出てきますが、1歳児がしっかり歩行できるようになるまでには、数ヶ月~半年程かかります。
歩き始めるまでに時間がかかってしまうと、他の子供と比べてしまったり、焦ってしまったりするかもしれません。しかし、この時期は歩くよりもはいはいする方が好きという子供もいます。また、慎重な性格の子供は、なかなか一歩を踏み出せないということもあるため、気にしすぎる必要はありません。
さらに1歳頃になると、小さなものを指でつまめるようになるため器用な動作ができるようになります。少しずつ歩き始めるようになったら、行動範囲が広がるためいたずらや転倒に気を付けましょう。
心の発達
1歳の頃は心の発達もめざましい時期です。親の愛情を確認するような行動を取るようになり、嫉妬心や独占欲を持つなど大人に近い感情を示す場面も出てきます。
自立心も芽生え、自分でやってみたいと思うことも増えてくるでしょう。まだできないことも多く、大人を困らせることがありますが、「やりたい」という気持ちを理解してあげることが大切です。
また徐々に言葉を理解して、親や周りの大人からの簡単な指示にも反応できるようになります。やってもよいことなのかを確認するようなしぐさをすることもあります。
子供の様子をみながら「これをやりたいんだね」、「やってみようか」など、一つ一つの動作に反応してあげるとよいでしょう。
1歳児の成長に合わせて教えたいこと
1歳前後ではどんな生活習慣を教えればよいのでしょうか。筆者の子供が1歳のとき、子育てに取り入れた内容をご紹介します。
1.生活リズムを整える
1~2歳になると、家族や身近な人のまねをしながら生活習慣を身に付けます。親の生活習慣が一番のお手本になるため、家族みんなで生活リズムを整えていくことも必要でしょう。
生活習慣を身につけるためにはまず睡眠が大切です。昼間はできるだけ日光を浴びて活発に過ごし、眠るときは暗くして寝ることを意識するとよいですね。
また、家族間で朝のあいさつを習慣付けるとよいかもしれません。言葉を理解し始める時期のため、あいさつは積極的に教えていくとよいでしょう。
初めのうちは我が子も「何やってるんだろう?」と筆者の顔を見てきょとんとしていましたが、しばらくするとはっきりと「おはよう」とはいえないものの、「あーあ」と声を出して朝のあいさつをしてくれるようになりました。
2.出したら片付けるを身につける
生活習慣は親が進んで行動して教えてあげることが大切です。何度も繰り返して教えてあげることで「今はこれをするときなんだな」とわかるようになります。親が模範となる行動を見せることが大切ですね。
我が家では、最初は片付けるということが理解できず、筆者が「一緒に片付けよう」といっておもちゃを箱にしまっている端から、子供が片付けたおもちゃをまた出して…の繰り返しでした。
筆者が根気よく「ご飯の時間だから片付ける」、「寝る時間だから片付ける」というように話しながら片付けることを続けたら、少しずつですが理解してきたかなという感じです。
今は筆者が片付け始めると、遅れてですが一緒に箱の中におもちゃなどを片付けてくれるようになりました。
- 熊本市子ども支援課「知りたい!Q&A」熊本市結婚子育て応援サイト(https://goo.gl/a3GiVB,2019年6月25日最終閲覧)
- 南條達也(編)「最新版らくらくあんしん育児」P134~135(学研プラス,2017年)
- 田原卓浩(他)「すくすく赤ちゃん 小児科医が贈るこころとからだをはぐくむ子育ての本」P33~34(保健同人社,2014年)
- ウイリアム・シアーズ、マーサ・シアーズ「新編 シアーズ博士夫妻のベビーブック」P454~505(主婦の友社,2013年)
1歳児にしつけをする際のポイント
1歳になると0歳のときとは異なり行動範囲が広がってくるとともに、自己主張をすることも増えてくる時期です。1歳台で子供に教えておきたいことをご説明します。
1歳のときに「やってよいこと」、「よくないこと」を伝えよう
1歳頃になると外の世界にどんどん興味を持ち始めますが、周りのものすべてが安全とは限りません。周囲を見て危ないものがあれば「それは危ないから触ってはだめ!」と叱りたくなりますよね。
しかし、子供は少しずつ歩き始めたりはいはいで動いたりと、どんどん行動範囲が広がっていきます。好奇心を持ってやってみたいと思うことも増えていきます。
行動範囲が広がってくる時期だからこそ、やってよいこと、よくないことを丁寧に根気よく教えていくことが大切です。自宅であれば、子供が移動する場所に危ないものを置かないようにする、外であれば移動するときは必ず手をつないで歩く、道路の端を歩くなどルールを決めて教えてあげるようにしてみてくださいね。
2.子供を叱るときはガミガミではなく、何度も繰り返し教えていく
1歳になると、親の話す言葉を少しずつ理解し始めます。ケガなど危ないことにつながることをしてしまったときは、「それは危ないからだめだよ」と繰り返して語り掛けましょう。
自我や感情が芽生える時期で、ときにはかんしゃくを起こすことがあるかもしれません。しかし、いけないことは「だめ」と伝えることも必要です。ただし、大きな声で叱るのではなく、親として「これはだめ」、「これはよい」の基準を決めて必要なときは根気よく伝えるようにしましょう。親自身が模範となることも大切です。
かんしゃくを起こしたときは「〇〇したかったね」など気持ちを代弁してあげながら、どうしたらよいのか教えてあげましょう。それでもかんしゃくがおさまらないときはしばらく見守ってあげたり、少し気分転換をしてあげたりするとよいですね。
我が家では、まだ「やってはいけないんだ」という理解にまでには至っておらず、やってはいけないことを教えても面白がって、時間が経つとまた同じことをしてしまいます。
「同じことの繰り返し…」と思うこともありますが、親としては叱るのではなく、子供に寄り添いながら根気よく伝えていこうと思っています。
- どんぐり発達クリニック「発達障害とは」どんぐり発達クリニック(http://donguri-clinic.com/developmental_disorder.html,2019年6月25日最終閲覧)
- 秋山こどもクリニック「発達のマイルストーン」秋山こどもクリニック(https://www.akcl.jp/colum/co30cat3.html,2019年6月25日最終閲覧)
- 田原卓浩(他)「すくすく赤ちゃん 小児科医が贈るこころとからだをはぐくむ子育ての本」P33~34(保健同人社,2014年)
- 南條達也(編)「最新版らくらくあんしん育児」P134~135(学研プラス,2017年)
- ウイリアム・シアーズ、マーサ・シアーズ「新編 シアーズ博士夫妻のベビーブック」P454~505(主婦の友社,2013年)
1歳児のしつけは子供の成長に合わせて焦らずに!
1歳になると言葉の理解が進み、自分で発する語彙(ごい)も少しずつ増えてきます。できないことでも「自分でやりたい」と頑張る場面も出てくるでしょう。いうことを聞かずに「いや!」と反抗されてしまうと、親としてはつい叱りたくなることがあるかもしれません。
物事を理解し始める時期に、しつけの一環としてだめなものはだめ、と叱る場面もあるかと思いますが、子供も気分が乗らないときがあるでしょう。ほめることや子供の気持ちを尊重することも大切です。焦らず子供の様子を見ながら、日々の成長を楽しめるとよいですね。
また、1歳をすぎると歩き始める子供もいて行動範囲が広くなるため、周囲に目を配り事故などには注意しましょう。
- ウイリアム・シアーズ、マーサ・シアーズ「新編 シアーズ博士夫妻のベビーブック」P454~505(主婦の友社,2013年)