Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】まさかのPTA役員選出…くじ引いて「えっ…私が?」地獄の1年の始まり
1年間のPTA活動の間、同じく役員のママたち3人から陰湿な無視をされていたはるか。役員会の任期が終わるころ、打ち上げの誘いが来ますが意を決して断ります。しかし、そのLINEにすら反応はありません。最後まで彼女たちからないがしろにされたはるかは、友人に助けを求めます。友人の言葉に、はるかは救われるのでした…。
いい加減にして…私はいつまで透明なの?
3人からの、完全な無視。PTA活動の打ち上げを断った私のメッセージには、既読すらつかない。その事実を突きつけられた時、最初は、やはり胸の奥がズキリと痛みました。最後の最後まで、これなのか、と。やっと解放されたはずなのに、なぜまだこんな嫌な思いをしなければならないのだろう…。
でも、その時、私の心の中に、違う感情が芽生えていることに気づきました。それは、悲しみや悔しさだけでなく、もっと強い、「怒り」と「呆れ」、そして「解放感」でした。
「もう、いい加減にして」
声には出さなかったけれど、心の中で、私はそう叫んでいました。
暇な主婦たち。友人の一言で救われた
溜まりに溜まった感情を吐き出したくて、私は親友の美咲に電話をかけました。私の震える声に、美咲はすぐに異変を察知してくれました。私は、この一年間の幼稚園役員での疎外感から、最後の打ち上げを断った後の冷酷な「フル無視」まで、全てを涙ながらに打ち明けました。
美咲は私の話をじっと聞き、私が泣き止むのを待ってから、優しくもはっきりとした口調で言ってくれました。
「はるか、辛かったね。本当によく耐えたよ。でもね、もう終わったんだよ。そんな奴らのこと、考えるだけ時間の無駄だよ」。
その言葉に、私の涙はさらにあふれました。やっと「つらかったね」と言ってもらえた。その安堵感で、体が震えました。美咲は続けて言いました。
「ついに誘いを断ったんでしょ? なら、それで正解! あとは放っておけばいいんだよ。その人たちってさ、結局、はるかを仲間はずれにしたり、無視したりすることでしか、自分たちの優越感とか、ちっぽけなプライドを保てない、可哀想で『暇な主婦たち』なんだよ」
その言葉が、私の心にストンと落ちました。彼女たちは、誰かをターゲットにして優位に立つことでしか、自分の価値を見出せない人たち。そんな人たちに、私が心をすり減らす必要はないと気づきました。
美咲はさらに、「はるかは何も悪くない。悪いのは100%そいつらだから。LINEグループはさっさと退会しちゃいな!繋がってる意味、ないでしょ?」と、私の心を縛っていた最後の呪縛を解き放ってくれました。
電話を切った後、私は迷うことなく役員グループLINEを退会しました。グループチャットのリストからその名前が消えた瞬間、まるで体の中から重い鉛が取り除かれたかのように、心がすーっと軽くなるのを感じました。
私は透明じゃない。ここにいる
それから、数週間が経ちました。私は、少しずつですが、平穏な日常を取り戻しつつありました。幼稚園の送り迎えでAさんたちの姿を見かけても、意識的に視線を外し、関わらないように徹しました。彼女たちからも直接的な接触はありませんでした。
そんなある日、幼稚園の門の前で、同じクラスのママさんの一人、Dさんに声をかけられました。
Dさん:「山中さん、こんにちは。ちょっと耳にしたんだけど…Aさんたち、なんだか大変みたいよ」
はるか:「え…? 大変って、何がですか?」
Dさん:「詳しいことは分からないんだけど、なんでも、次の役員決めの時に、自分たちが推薦した人が選ばれなかったとか、バザーの売上金の計算で揉めたとか…些細なことがきっかけだって。AさんがBさんとCさんを責めて、BさんとCさんが結託してAさんをハブる、みたいな噂よ」
私は、言葉を失いました。あの強固に見えた3人の絆が、そんなことで崩れてしまうなんて。
Dさんの言葉に対して驚きと同時に、深い納得感が広がっていました。「やっぱりな」…私も、そう思いました。誰かを犠牲にしなければ保てない関係なんて、脆くて、不毛だ。彼女たちは、これからもずっと、そんな風に誰かを傷つけ、そして自分たちも傷つけ合っていくのかもしれない。
私は、彼女たちとは違う世界で、自分の幸せを大切に生きていけばいいんだ。そう思うと、本当に心が晴れやかになりました。
これからは、誰かの顔色を伺うのではなく、自分の心に正直に生きよう。誰かに認められるためではなく、自分と、大切な家族のために、笑顔でいよう。娘の里奈のためにも、私はもっと強く、そして幸せな母親になるんだ。
透明にされていた、私。でも、もう違う。私は、ここにいる。ちゃんと、感情を持って、自分の足で立っている。
「大人な対応」ができない人にどう立ち向かう?
この作品は、ママリユーザーの体験談から再編した作品です。はるかさんは、幼稚園で役員をやることになり、そこで人間関係のトラブルに巻き込まれます。
役員のメンバーははるかさんに対して、露骨な仲間外れや無視をしていました。はるかさんは役員会のメンバーに対して、不信感を抱くように…。大人になってからの仲間外れや無視は、関係性が複雑になります。誰に相談すればよいか、どんな対処が必要か、わからなくなってしまうことがあるかもしれません。
本作でははるかさんのさまざまな体験を通じ、いわゆる大人の対応の大切さを感じるとともに、大人の対応ができない人と、どう付き合っていくべきかを考えさせられます。「自分ならどうするか」考えつつ、はるかさんを応援したくなる体験談です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん










