私の送ったメッセージは、彼女には届いていなかった。いや、届いていても、彼女の心を動かすことはなかった…。そう突きつけられたような気がした。その瞬間、私の心の中で、何かがプツンと音を立てて切れた。
「もう、ムリだ…」
私は、アルバムをそっと閉じた。懐かしい思い出が、今の苦しい感情をさらに際立たせるようだった。リサの幸せを願う気持ちは本物だった。でも、それは、私自身の心を犠牲にしてまで、続けるべき関係ではない。
リサのSNSの投稿を見て、私の心は完全に冷めてしまった。あんなに悩んで、勇気を出して伝えた私の言葉は、彼女には何の影響も与えていなかった。むしろ、私の忠告をあざ笑うかのように、彼女は「最高の時間」を謳歌している。
私は、タケルの言葉を思い出した。
「大人になったら、ある程度の友人の整理も必要だよ」
まさに、今がその時なのかもしれない…。私は、長年築き上げてきたリサとの関係を、ここで終わらせることを決意した。 ※1
SNSに投稿された「不倫旅行」
既婚男性と付き合っているという、親友・リサ。シズカは心配しますが、リサは「もうすぐ離婚するから大丈夫」と、聞く耳を持ちません。シズカの言葉を無視し、ますます不倫にのめり込んでいる様子のリサ…。
シズカはついに、リサとの友人関係を断ち切ります。連絡先もSNSもブロック。もう、リサの近況を知る術はありません。シズカはリサから解放され、スッキリします。
ところが、リサとの共通の友人を通して、不倫の結末を知ることとなります…。
不倫をした親友の末路
「例の不倫男の奥さんに、リサのことバレちゃったみたいで。慰謝料請求されたんだって…」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓がドクンと大きく鳴った。やはり、こうなってしまったのか…。懸念していたことが、現実になってしまった。
「奥さん、リサに突撃してきてすごい剣幕で詰め寄ったらしいの。しかも、アイちゃんもその場にいたんだって。リサも最初は強気でいたみたいだけど…弁護士を立てられて、慰謝料請求書を突きつけられたら、さすがに観念したみたい」
自分でまいた種とはいえ、リサがそんな修羅場になるなんて…。幼いアイちゃんのことを想像すると、胸が締め付けられるような痛みを感じた。 ※2
リサの不倫騒動、結局は相手の妻にバレ、慰謝料を請求されたそうです。しかも、その場にはリサの幼い娘・アイちゃんもいました。大人の都合で修羅場に巻き込まれてしまったアイちゃんの心が、ただただ心配です。
その後、シズカの元に一本の電話がかかっています。相手は、リサ。不倫のことのてん末と、シズカが心配してくれたのに無視したことを謝罪されます。そして…。
不倫騒動の終結。一度壊れた友人関係は?
「また、前みたいに会えるかな…」
私は、何を言うべきか言葉を探した。以前のように、軽々しく「大丈夫だよ」とは言えなかった。しかし、彼女の反省の言葉は、私の心を大きく動かした。
静かに、しかしはっきりと、私は伝えた。
「リサが自分の足で本当の幸せを見つけたら、また会おう。それが、私とリサが、これからもいい関係でいられるための道だと思う」
電話口が静かになったあと、少し鼻をすするような音がした。
「うん…分かった。ありがとう、シズカ」
そう言って、リサは電話を切った。 ※3
リサがしてしまったこと、簡単に水に流すことにはできませんね。友人関係を復活させるかどうか悩みますが、今はそのときではありませんでした。リサは、本当の幸せを見つけることができるといいですね。
本作では、親友の不倫騒動に振り回され、心を痛めた様子が描かれています。誰かの不幸のうえに成り立つ幸せは、祝福できませんね。仲のいい友だちなら、なおさらです。大人になってからの友人関係について、考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










