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「今後、あなたが二度と私を裏切らないための担保として、GPSとスマホの暗証番号を共有してもらう」その言葉に、俊太は明らかに動揺しました。
「GPS…? スマホの暗証番号…? それは、ちょっと…」「何をためらうの? あなたは、私が妊娠中や産後という最もつらい時期に、他の女と関係を持っていたんだよね。私がどれだけ傷ついて苦しんだか、あなたはわかってる? これくらいは、当然の要求だと思う」私の厳しい口調に、俊太は何も言い返せなくなりました。彼は、自分の自由が制限されることに抵抗があるのでしょう。でも、私からすれば、これまで通りの行動では信用されないのは当然のことです。
「そして最後に、あなたが二度と不倫をしないという誓約書を書いてもらう」私は、あらかじめ弁護士の先生に作成してもらっていた誓約書を、俊太の前に差し出しました。そこには、以下の内容が明記されていました。
「今後一切、サダコを含む他の女性との不貞行為を行わないこと。違反した場合、私に別途慰謝料を支払うこと。GPS・スマホの暗証番号共有を継続すること」 ※1
不倫夫と再構築するための最低限の「担保」
ユイさんは、夫の不倫は許せませんが、娘のために再構築の道を選びます。そして、結婚生活を続けるために誓約書にサインさせたのです。
一度、裏切った代償は大きいですね。再び信頼を取り戻す日はくるのでしょうか?
胸がざわつく…不倫女からの申し出とは?
示談書を交わしてから数日後のことです。サダコから、弁護士の先生宛に連絡が入ったと、先生から電話がありました。「相手の女性から連絡がありました。慰謝料の件で、一度、ご主人を交えてお話ししたいとのことです」。私は、一瞬、戸惑いました。もう話はついたはずなのに、またあの軽薄な態度を見せられるのだろうか。不安がよぎりました。
弁護士:「ご心配には及びません。おそらく、慰謝料の支払いについて、不倫相手であるご主人にも協力を仰ぎたいということでしょう。念のため、私も同席しますのでご安心ください」
後日、再度、弁護士事務所の会議室で、俊太、サダコ、そして弁護士の先生と私の4人で顔を合わせることになりました。サダコは、前回とは打って変わって、憔悴しきった表情をしていました。俊太は、私の隣で、ただ黙って俯いています。サダコは、震える声で話し始めました。
サダコ:「まず、本当にごめんなさい…。私、200万円、すぐに用意できないんです…」
やはり、そう来たか、と私は思いました。パート勤めでは、簡単に用意できる金額ではないでしょう。減額交渉が始まるのか、と身構えました。しかし、彼女の口から出た言葉は、私の予想とは全く異なるものでした。
サダコ:「俊太さんにも協力をお願いできませんか。俊太さんも、ユイさんがいるのに不倫関係を続けていたことは事実だから…」
その言葉に、俊太が顔を上げ、サダコを見つめました。私もまた、驚きを隠せませんでした。サダコが、まさか俊太に支払いの協力を仰ぐとは。 ※2
パート勤めのサダコにとって、200万円という大金は、そう簡単に用意できる額ではありませんでした。減額交渉が始まるのかと身構えますが、まさか、俊太に協力を仰ぐなんて…。
その後夫は、協力金というカタチで100万円を支払うことに合意。サダコからも100万円が支払われ、合計200万円の慰謝料がユイさんの口座に振り込まれます。
こうして、やっと不倫騒動はいったんの幕を閉じます。そして、ここから夫婦の再構築という、長い道のりが始まります。
制裁をし、妻が得たものとは?
「ユイ、今日は俺が食事作るよ?」「ヒナのお風呂、俺が入れるよ。ユイはゆっくり休んでて」夫は以前よりも、さらに家事や育児に積極的に関わるようになりました。彼の言動の一つ一つに、以前のような疑念を抱くことはもうありません。私を裏切った過去の罪は消えませんが、彼なりに償おうと努力していることは伝わってきます。
彼の顔に、時折、私の顔色をうかがうような表情が浮かぶのを見るたびに、私の心には冷たい満足感が広がります。本来ならこんな関係ではなく、安心しきって家族でいられるのが一番です。でも今は、こうでもしてくれないと安心することはできません。この状況も彼自身の行動の結果なのです。
私は彼に与えたペナルティーが、私たち夫婦が再び信頼関係を築くための「保険」として機能することを願っています。ヒナのためにも、もし今後何かあれば、迷いなく彼を切れるようにひっそり準備をするつもりです。
そして、サダコ。彼女からの連絡は一切ありません。最後に会った場でも、彼女は不倫行為について詫びなかった。その本性には、今も吐き気を覚えます。きっと彼女の家庭にも亀裂が入っているのではないかと思います。100万円という大金が消えて、夫が気づかないわけがないと思うので。 ※3
再構築の道を選んだユイさん。夫は反省しているようですが、ユイさんが感じるのは「冷たい満足感」だけ。いかに、この選択が苦渋の決断だったのかを物語っています。
その後、サダコの家庭がどうなったのかはわかりませんが、きっと向こうの家庭も大変な騒ぎになっているに違いありません。自分がしたことの重さ、味わってほしいものです。
夫の裏切りを経験したユイさんは、離婚をしても・しなくても、ツラかったに違いありません。ただ「自分とわが子のために、したたかに生きていく」と、つづっています。母として、とても強いユイさんへ、エールを送りたくなる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










