Ⓒママリ/画像の生成にAIを使用しています
小1の優也がこぼした「意地悪されてる」の一言。母・仁美は葛藤しながらも、見えない問題と向き合おうとするーー。小さなSOSに耳を澄ませる家族の物語。
春の日の、しあわせ3人家族
私は仁美。34歳の主婦で、同い年の夫と7歳の息子・優也の3人家族です。優也はこの春小学校に上がったばかりです。ほんのこの間まで赤ちゃんだったのに、もう1年生だなんて・・・。感慨深く、またうれしいようなさみしいような複雑な感情があります。
とはいえ、近所の幼なじみの翔くんと楽しそうに学校へ行く姿に私は安心して優也を送り出せています。翔くんは優也の幼稚園からの幼馴染。しっかり者で、大人しくて引っ込み思案な優也をリードしてくれて、とても頼もしい男の子です。玄関の外から「行くよー!」と呼ぶ声に、優也もうれしそうに飛び出して行きます。
「今日の給食、何かな?」
「僕、カレーがいい!」
「俺も!」
2人のかわいいやりとりに、私はとても癒やされているのです。
音もなくこぼれた小さなSOS
ところが最近、優也が浮かない顔をしていることが増えました。学校生活や勉強にまだ慣れなくて疲れているのかも?と思っていましたが、おやつも食べずにボーッとしていることが増え、心配になり聞いてみると、優也は少し言いよどんで、つっかえながら小さな声で
「となりの席の子が意地悪するの…」
と、絞り出すようにつぶやきました。私は耳を疑いました。
「えっ…」
と言ったきり、二の句が出ずにいると、
優也の目はみるみるうちに潤み、ぽろぽろと泣き出しました。私は驚きながらも優也に尋ねました。
「優也の話し方に、何か言われたの?」
優也は黙って首を振り、唇を噛み締めていました。実は、優也には生まれつき発音に不明瞭なところと、吃音があるのです。幼稚園から療育を行い、今は放課後デイに通ってやっと落ち着いてきたところでした。
私は冷静に
「優也は何かした?」
と聞くと、
「僕、なんにもしてないよ…」
と首を振り、うつむく優也の背中をさすることしかできませんでした。
「信じたい、でも確かめたい」母の葛藤
夜、帰宅した主人に話すと
「優也の話だけじゃ、なんとも。男の子同士だしな。」
と難しい顔で言いました。
「嘘はついてないと思うけど、優也の言う事だけ信じたらだめよね」
「様子を見るしかないな。優也はちょっと幼いところがあるからな」
いじめ?ちょっとからかわれただけ?主人の言うとおり、優也にはちょっと真面目すぎるところがあります。壁を作ってしまうというか、翔くんとは時間をかけて仲良くなったから、他の子のことは怖いのかもしれません。明日、先生に確認してみよう。
優也の言い分だけじゃわからない。…これってモンペなのかな?1年生になったばかりだし、まだ黙っていた方がいいのかな?でも、いじめだったら…?考えても考えても答えは出ず、その夜はよく眠れませんでした。
翌朝、のそのそと支度をしていた優也でしたが、迎えに来た翔くんの姿にうれしそうにしていました。
私が
「今日はハンバーグ作るよ。行ってらっしゃい」
と声をかけると
「行ってきます!」
と出かけていきました。何もないといいな、そう思うばかりでした。
🔴【続きを読む】「自分でなんとかしてみろ」意地悪された小1息子に父が発言→真意を聞いた母が納得した理由|小さなSOS
あとがき:子どもの声に耳を澄ますということ
家庭では明るく振る舞っていた優也くんが打ち明けたのは、隣の席の子が意地悪するという一言でした。お話の苦手な優也くんにとって、学校生活は決して平坦なものではありません。
子どもの言葉をどこまで信じるべきか——。葛藤しながらも、母としてできることを考え続けた仁美さんの姿は、多くの親にとってのテーマでもあります。子どもが発したさなサインを、見逃さないこと。その大切さを、あらためて感じさせられるお話でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










