Ⓒママリ
主人公・あさみは夫と3歳の娘・なつきと穏やかな日々を送っていました。しかしある日、保育園の先生から電話があり、なつきが仲の良い年長のお友達の上靴を隠してしまったことが判明。平和な日常に突然の波紋が広がります。
わが子の大事なお友だち
「なっちゃん、もう上靴履くよ」
私の声に、3歳の娘、なつきは「やだー!」と体をくねらせた。夫と私、そしてこの小さな怪獣と三人で暮らす私の名前はあさみ。31歳。夫も同い年の31歳だ。娘が産まれてからというもの、私の世界はなつきを中心に回っている。
毎日が賑やかで、時に疲れ果てることもあるけれど、小さな手が私の指をぎゅっと握るたびに、この上ない幸せを感じるのだ。
なつきが通っているのは、自宅から歩いて10分ほどのところにある保育園。この保育園は縦割り保育を導入していて、年少さんから年長さんまでが一緒に過ごす時間が多い。おかげでなつきは、自分よりも年上のお姉さんやお兄さんと遊ぶのが大好きだ。
特に最近、よく名前を聞くようになったのが、年長さんの「あやなちゃん」。なつきが3歳だから、あやなちゃんは5歳。二つしか違わないのに、なつきにとっては、まるで雲の上の存在のようだ。
優しいお姉ちゃんが大好き
「今日、あやなちゃんとね、おままごとしたの!」
夕食の食卓で、なつきがうれしそうに報告してくれる。あやなちゃんは年長さんの中でもひときわ優しくて、いつもなつきのことを気にかけてくれるらしい。
その話を聞くたびに、私はあやなちゃんに直接会ったことがなくても、きっと優しい子なんだろうな、と勝手に想像を膨らませていた。そして、そんなあやなちゃんを育てたママも、とても素敵な人なんだろうと思うようになった。
幸いにも、あやなちゃんママとは何度か顔を合わせたことがある。保育園の玄関でばったり会ったとき、「なっちゃん、こんにちは!」と、なつきにいつも笑顔で声をかけてくれた。控えめだけど、とても感じのいい方で、私から見ても「ああ、いい人だな」と感じるママだった。
そんな平和で、小さな幸せに満ちた日々が、まさかあんな形で崩れ去るなんて、このときは夢にも思わなかった。
突然の電話に動揺
あの日、夕食の準備をしている私の携帯が鳴った。保育園の先生からだった。
「お忙しいところすみません。保育園の田中です。実は、今日お迎えの際に、年長さんのお子さんの上靴が見つからなくて…」
先生の声はいつもより少し硬かった。私は、一瞬嫌な予感がしたものの、まさかうちの子が、なんて考えもしなかった。
「はい、うちの子が何か…」
「実は、なつきちゃんがお友達の上靴を隠してしまったようで…」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓は止まった。頭の中が真っ白になる。
「……え、なつきが…ですか?」
震える声で尋ねる私に、先生は申し訳なさそうに続けた。
「はい。なつきちゃんの様子がいつもと違って、どこかそわそわしていたので、思い切って、こっそりどこ隠しちゃったの?と聞くと、玄関の下駄箱の、一番下に入れてしまったと教えてくれました。」
先生は、相手のお子さんの名前は伏せてくれた。しかし、私が次に先生から聞いたのは、私の胸を締め付ける、あまりにも予想外な言葉だった。
「その、なつきちゃんが隠してしまった上靴の持ち主は、普段からなつきちゃんと仲良くしてくれているお友達のようです…」
その日の夜、私はなかなか眠ることができなかった。なつきが靴を隠した相手が、いつもかわいがってくれている年長さんだと知って、胸が苦しくて仕方なかった。
そして翌日、なつきにどうしてそんなことをしたのか尋ねようと決心した私は、小さな決意とともに朝を迎えたのだった。
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あとがき:母の戸惑い、子の心
穏やかな日常に、突然の電話。まさか、うちの子が…?と誰もが思ってしまう状況ですよね。大好きなあやなちゃんの上靴を隠してしまったなつきちゃん。その裏には、どんな小さな心が隠されているのでしょうか。母親として、あさみさんがこれからどう向き合っていくのか、胸が締め付けられます。この小さな出来事が、親子の関係にどんな変化をもたらすのか、見守っていきたいですね。










