Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】3歳娘が「お友達の上靴を…」信じられない報告に、胸がざわついた日|わが子が上履きを隠した理由
なつきに上靴を隠した理由を問いかけるあさみ。なかなか口を開かないなつきだったが「あやなちゃんと遊びたかったから」と、その小さな声で打ち明けます。そして、さらに深く尋ねると、なつきは「さみしかったから」と、胸を締め付ける本当の理由を教えてくれた。
本当に上履きを隠したの?
翌朝、私はなつきと向かい合って座った。朝食を終え、保育園に行く準備をする前の、いつもの時間。夫はもう出勤していて、リビングには私となつきだけ。少し緊張している私の気配を察したのか、なつきはいつもより少しだけ大人しく、お気に入りの絵本を眺めている。
「なっちゃん」
私が優しく呼びかけると、なつきは絵本から顔を上げた。
「昨日ね、先生から電話があったの」
そう切り出すと、なつきの表情が少しだけ曇ったように見えた。
「上靴のこと。知ってる?」
私がそう言うと、なつきは黙って頷いた。小さな体に、どれだけの罪悪感がのしかかっているのだろう。私は決してなつきを怒鳴ったり、責め立てたりするつもりはなかった。ただ、どうしてそんなことをしてしまったのか、その本当の理由を知りたかった。
仲良しだと思っていたのに、なぜ…
「どうしてそんなことしたの?」
もう一度、静かに尋ねた。なつきは絵本をぎゅっと握りしめ、床を見つめている。なかなか言葉が出てこない。無理に問い詰めるのはやめようか、そう思った時だった。
「…あやなちゃんと、あそびたかったの」
か細い声が、私の耳に届いた。
「あやなちゃん…?」
先生は、相手の名前を伏せてくれていた。けれど、なつきの口から出たその名前に、私はやはりという気持ちと、どうしてという気持ちが入り混じった。
「あやなちゃんと、よく遊んでいるって先生が言ってたね」
そう言うと、なつきは小さく頷いた。
「この前、玄関で会った時も、あやなちゃんママと、お話したばっかりだったよね」
「うん…」
保育園の玄関で、あやなちゃん親子と会った日のことが脳裏に蘇る。
あの日は、なつきとあやなちゃんが楽しそうに話しているのを、私とあやなちゃんママが笑顔で見守っていた。
「なっちゃん、こんにちは!」
あやなちゃんママが、なつきに満面の笑みでそう声をかけてくれた。その優しさが、私にはとてもうれしかった。自分の娘をかわいがってくれる人がいるというのは、母親として、本当にありがたいことだ。そして、その日の別れ際、あやなちゃんはなつきに言った。
「なっちゃん、また明日ね!バイバイ!」
「うん、また明日ね!」
わが子の本心に衝撃を受ける
二人は、本当の姉妹のように仲が良かった。そんな、優しくて大好きなお姉さんの靴を、なぜ隠してしまったのだろうか。
「なっちゃん、あやなちゃんと遊ぶのが、そんなに楽しかった?」
「うん…だいすき」
なつきはそう言って、再び床を見つめた。
「でも、あやなちゃんの上靴を隠したら、あやなちゃんが困っちゃうよ。悲しい気持ちになっちゃうよ」
私の言葉に、なつきは何も言わない。ただ、肩を小さく震わせている。
「なつきは、どうしてあやなちゃんの靴を隠したのかな…?」
この問いかけに、なつきが本当の気持ちを話してくれるのかどうか、私は不安でいっぱいだった。でも、このままうやむやにしてはいけない。そう思って、私はなつきの小さな肩にそっと手を置いた。
その日の保育園での出来事、そして先生からの電話。あやなちゃん親子との温かい交流。それらすべてが頭の中でぐるぐると回り、私は何が正解なのか、わからなくなっていた。
「どうしてだろう…」
私がそう呟くと、なつきは小さな声で、私に答えをくれた。
「…さみしかったから」
その言葉に、私はハッとした。胸が締め付けられるような、切ない気持ちが込み上げてきた。なつきの「さみしい」という言葉に、私は心当たりがあったのだ。
🔴【続きを読む】母が何気なく伝えた言葉が“上履き隠し”のきっかけに…3歳娘が語る真相|わが子が上履きを隠した理由
あとがき:小さな心の声
「さみしかったから」…その一言に、思わず胸が締め付けられましたね。きっと、なつきちゃんは大好きなお姉さんとの別れを、幼いなりにどうしたらいいか分からなかったのでしょう。そんな小さな子の複雑な気持ちを、あさみさんが優しく受け止めようとする姿に、同じ母親として深く共感します。子どもの行動の裏にある、純粋で繊細な心を感じ取ることの大切さを改めて教えてくれる一話でした。










