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🔴【第1話から読む】小学1年生・吃音がある息子がいじめに?「意地悪するの…」幸せな毎日に“不穏な証言”|小さなSOS
優也に「やめてね」と伝えさせる日。迷う仁美は、頼れる先輩ママ・ユキに相談。信じる強さと親の役目を教えられ、先生への連絡を決意する。
朝の誓い、まだ揺れる心
翌朝、朝食を食べている優也に夫が言いました。
「優也、今日は言うんだぞ。怒らないで、優しく『やめてね』って言うんだ」
「うん…。やめてくれるかな?」
と、不安そうな優也に夫が
「大丈夫だよ。なんで嫌かを言えばやめてくれるよ」
と答えると、
「それでもやめてくれなかったら?」
と夫の目をまっすぐに見つめて聞く優也に、
「その時はパパとママの出番だよ。がんばれ。大丈夫だから」
そう言って出勤して行きました。考え込んでいる優也に、私も
「パパの言うとおりだよ。大丈夫だよ。翔くんもいるでしょ?」
と、声をかけると
「うーん…。うん!」
と頷いてご飯をかき込んでランドセルを背負う優也。どちらかというとランドセルが歩いているような、まだこんなに小さい子に一人で解決なんて荷が重すぎない…?親が出てもいいんじゃないの…?でも、それじゃモンペかもしれない。でも、初動をミスして大変なことになったら…。考えたくもありません。今日、翔くんママに電話して打ち明けることにしました。
助けて、ユキさん
翔くんママ、ユキさんは中学生から年中さんまで、5人の子どもがいる先輩ママです。ユキさんと初めて話したのは、入園説明会の時。
「うちの子、4人目なんですよ~」
と笑いながら言ったユキさんに、私は思わず
「えっ、すごいですね!」
と声をあげてしまった。
末の娘さんを片手に抱き、もう一方の手で翔くんの荷物を持ちつつ、
「大丈夫です、慣れてますから~」
とさらっと言ったその姿が忘れられません。そんな人だから、今、ユキさんの声が聞きたい。出るべきか、見守るべきか。迷う私の、この気持ちを聞いてほしい。甘いかもしれないけど、私達親子の初めての試練に立ち向かう勇気がほしい。私は藁にもがる思いで、電話をしてみました。
「仁美ちゃんどーしたー?」
いつもの明るく元気な声に私は涙が出そうになり、詰まってしまった私に彼女は
「健太くんのことかな?」
と静かに言いました。一瞬、声が出ませんでした。驚きと、安心からです。そして、「やっぱり」とも。翔くんはユキさんに話していたんだ。
気づいて、見守ってくれていた
私は
「実は優也が…」
と打ち明けました。ユキさんによると、翔くんは優也の気持ちに気づいてユキさんに相談したそうです。ユキさんは、当人同士でまず話す方がいいと判断し、よく優也を見ていてやれとアドバイスしたそうです。私に報告しなかったのは、育児に仕事にいっぱいいっぱいの私に、負担をかけまいという思いからだったそうです。そのかわり、優也と一緒にいろと言ってくれていたそうなのです。
モヤモヤがほどけていく
実は、優也が意地悪された時、翔くんはどうしていたのか気になっていたのです。健太くんの話の時、翔くんの話があまり出なかったので不思議に思い、「翔くんはやめろって言わないの?」と聞くと、
「言わない。でも、あとで気にすんなって」
と。どうして…?とモヤモヤしていましたが、すべて腑に落ちました。
ユキさんは私たちを見守ってくれていたのです。私はひとりじゃなかった…
「仁美ちゃんはよくやってるよ。家庭に仕事に優也くんの療育も」
と優しく励ましてくれました。私は堰を切ったように泣いてしまい、優也のことを信じてはいるが相手の子に何かしたのではないか。今出ていったらモンペにならないか。自分の行動で優也の今後に支障が出ないか、何より優也が意地悪されて悔しいということ…。ユキさんは、うんうんと聞いてくれて、そしてはっきりと言いました。
「経験上ね、親が出ていかない方がいいこともあるよ。心配だけどね。優也くんを信じてやんなよ。あの子は意地悪するような子じゃないし、ちゃんと言えるよ。大丈夫だよ」
それにね、とユキさんは一呼吸置いて言いました。
「モンペじゃないか気にできるならモンペじゃないし、自分の子が大事なのは絶対だからさ。仁美ちゃんは優しいけど、もっと図太くならなきゃ!あたしみたいにね!」
と笑って言いました。言葉も出ませんでした。泣き笑いする私に、ユキさんも笑いながら言いました。
「見守る」だけじゃない親の役割
「とはいえ、先生に確認しておくことは大事だね。先生がどう捉えているかは知っておかないとね。」
私はハッとしました。2人から話を聞いている先生はどう見ているのだろう。私は電話をする決心を伝え、お礼をよく言って電話を切りました。
ここからだ、私は影から優也を守るんだ。先生に聞いてみるだけ。それなら大丈夫。自分に言い聞かせました。
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あとがき:あたたかい救いの手と私の決意
ひとりで抱え込むママに、差し伸べられた温かい手。
3話では、優也くんのことを思って悩み続けてきた仁美さんに、頼れる先輩ママ・ユキさんから心強いアドバイスが届きます。
「信じて見守ること」「必要なときに動くこと」――どちらも親にできる大切な選択。
ユキさんの言葉を受けて、仁美さんはついに先生への連絡を決意します。次回、優也くんの本当の気持ちがついに明らかに。
思わぬでき事に、家族の表情が凍りつく瞬間とは――?
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










