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🔴【第1話から読む】「どうしてあんなことに」単身赴任中の夫にも言えない、息子の【万引き事件】|5歳息子が万引きをしました
週末、啓子は5歳の息子しゅんと100円ショップへ。ひなが欲しがらなかったキーホルダーを、しゅんが持ち帰ってしまいます。嘘をつく息子に万引きを確信した啓子は、言いようのない不安と悲しみに包まれるのでした。
100円ショップでの他愛もない出来事だった
「ねえ、ママ、お菓子買いたい!」
しゅんが、目をキラキラさせて私の服の裾を引っ張る。私たちは、週末の午後に近所の100円ショップに来ていた。「いいよ。でも、一人100円までね」と私は言って、二人にそれぞれ100円玉を渡した。しゅんは真剣な顔でお菓子コーナーを物色し、ひなは色とりどりの飴玉に目を奪われている。しばらくして、しゅんがひなに何かを手渡した。
「ひな、これにしたら? かわいいよ」それはキャラクターの小さなキーホルダーだった。しかし、ひなは首を振って「やだー、お菓子がいい!」としゅんの提案を受け入れない。
「そうか、じゃあ戻してきなさい。ひなは好きなの選びな」
私はしゅんにそう促した。しゅんは少し不満そうな顔をしながらも、キーホルダーを元の場所に戻しに行った。私はひなが選んだお菓子をレジに持っていこうとしていたので、しゅんがどこに戻したのか、正直その時は見ていなかった。
キーホルダーがなぜ、家に?
100円ショップを出て、私たちはランチを食べに近所のレストランへ向かった。しゅんは得意げに、自分が選んだお菓子をひなに自慢していた。何も違和感のない、いつも通りの穏やかな午後だった。
「ただいまー!」
家に帰ってきて、それぞれの荷物を片付け始めた時だった。しゅんが、突然私のもとへ駆け寄ってきた。
「ママ、見て! これ、家にあった!」
しゅんが手にしていたのは、キャラクターのキーホルダー。100円ショップで、ひなが選ばなかったあのキーホルダーだった。私の頭の中に、一瞬にして嫌な予感がよぎった。まさか、そんなはずはない。でも、どこから来たのだろう、これは。「これ、どこにあったの? しゅん、これどうしたの?」私は平静を装いながらも、内心は動揺していた。
「えっとね、家にあったの!」しゅんは満面の笑みで答える。
疑惑が確信に変わり始める
「しゅん、これ、どうしたの?」
私は探るように尋ねた。しゅんは、真顔で平然と答えた。
「うん! じいじがね、運動会のご褒美にね、買ってくれたの!」
しゅんの言葉に、私の心臓はさらに強く跳ねた。運動会? そんなこと、一度も聞いたことがない。それに、運動会はもう3か月ほど前…。そのキーホルダーが、なぜ今になって突然出てくるのか。
「じゃあ、そのスーパーに行けば、同じのがあるんだね?」
私は、しゅんの嘘を暴こうと、さらに畳みかけるように言った。しかし、しゅんは一瞬ためらったものの、すぐにまた作り笑いを浮かべた。
「うーん…もう、ないと思う…」
その言葉に、私の疑念は確信に変わった。しゅんは、嘘をついている。このキーホルダーは、間違いなくさっきの100円ショップで、しゅんが手にしていたものだ。私の胸は、言いようのない不安と悲しさでいっぱいになった。
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あとがき:小さな嘘と、母の予感
たった一つのキーホルダーが、母親である啓子の心に深い波紋を広げ、彼女がこれまで見てこなかった息子の心の奥底に目を向けるきっかけとなります。
明らかに万引きしてきた商品について「もらった」とかたくなにウソをつく5歳の息子。もしもあなたの子どもがこうした行動に出たら、親としてどうしますか?










