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一度は平穏を取り戻したものの、再びスマホにのめり込むひより。親友の家で男と通話していたことが発覚し、大学生から届いた歪んだメッセージに母は震え上がる。
戻らぬ平穏
あの日から、数日が過ぎ、ひよりは以前より落ち着き、食卓でも笑顔を見せるようになっていました。スマホを触る時間も、以前のように長くはありません。やっぱり、いっときの気まぐれよね。10歳も上の人なんて、中学生にとっても「合う」わけないんだから。そう思っていました。
しかし、その平穏はあっけなく破られました。
またひよりがスマホを手放さなくなったのです。しかも、今まではニヤニヤ画面を見つめていたのに、今度は一心不乱に文字を入力してたかと思えば,不安そうな顔で画面を見つめています。
スマホをいじっていない時はぼーっとベッドに横になっているだけ。私はおかしいと思いました。今までとは何かが違います。この間あんなことがあったばかりなのに、どうして?
夜、私はキッチンの片付けをしながらひよりのことを考えていました。普通の親から生まれた、何もかも普通の女の子。明るく元気などこにでもいるフツーの子、だと思っていたけど、違うのかな。
それともこういうトラブルも込みで、普通の子なのかな。考えても考えてもわかりません。ふと、壁時計に目をやると、ひよりがお風呂に入ってから1時間以上も経っていました。
長風呂は危険だからと30分以内にしているのに、上がった様子がありません。まさか、事故?急いで浴室の扉を開けると、食品用の保存袋に入ったスマホを凝視するひよりの姿がありました。無事だった…。安心してすぐ言いました。
「…お風呂ではダメって、言ってあるよね」ひよりは一瞬固まり、「ちょっと調べ物してただけ」と言い訳をしましたが。私の目を見て観念したのか、スマホを差し出しました。
「中は見ないけど、これは預かるね」
本当はすぐにでも中を確認したかったのですが、この場で見ることは彼女を刺激すると思ったのと、信じたい気持ちがそれを止めてくれました。
「ちゃんと守ってくれれば、また返すから」そう言って浴室を出ました。その甘さが、のちに私を苦しめることになったのです。
衝撃の通報
翌日。学校帰りのひよりは、「めいの家で勉強してくる」と言って出かけました。めいちゃんはひよりの小学校からの親友で、彼女のお母さんの順子さんとも仲がよく、私たちも頻繁に会ったり連絡したりする仲です。
夕方、夕食の準備をしていると。スマホが鳴りました。画面には「順子さん」の名前。この時間に電話なんて珍しい、と思った瞬間、ひよりだと直感しました。すぐに出ると、
「真紀子さん、今日、ひよりちゃんうちに来たんだけど…」順子さんの声は低く、ためらいが見られました。
やっぱりと思う間もなく「めいの部屋で、男の人と電話してたの。部屋の前で聞こえちゃってね。たくみさんって呼んでたの」と順子さんに言われました。
「え…?」
背中に冷たいものが走ります。順子さんは続けました。「それでね、ひよりちゃん、その人に住所と真紀子さんの電話番号を教えたかもしれないのよ」
…絶句しました。
「お母さんから電話が来るかもって。相手の住所も控えてたみたい。A県だって。ひよりちゃんはめいに誰にも言わないでって。パパとママには絶対言わないでって。でも、そんなわけいかないでしょ?」
通話を切ると、私は引き出しから没収していたスマホを取り出しました。私たち公認のパスコードを入れ、トーク一覧を開きます。
歪んだ言葉と決断
そこにあった「たくみ」の名前。最新のメッセージが目に飛び込んできました。それはあまりにもショッキングな言葉でした。
「俺の心と体をあげるよ。素敵な奥さんになれるからね」
浮かれた顔の絵文字と、ハートマークの乱舞しているものでした。視界が暗くなり、膝が笑い、嫌な汗が出ます。
他にも「会える日まで指折り数えてるよ」「俺だけ見ててね」吐き気と寒気が同時に込み上げ、手が震えて止まりません。
何この気持ち悪いLINEは…?ひよりを、中学生をそういう対象に見ているこの大学生が、心底気持ち悪くなりスマホを投げてしまいました。ひより、なんでこんな人に?本当にこんな人が素敵な小説を書くの?信じられない…。しかも、A県ならこちらまでどの交通手段でも3時間くらいです。来ようと思えば、来られる…。もう限界でした。
私は夫に電話をかけ、警察に行くことを伝えました。夫はちょうど帰宅中で、合流することになりました。するとそこに、ひよりが帰宅しました。
ひよりに「警察に行くよ、車に乗って」と促しました。駅に夫を迎えに行き、事情を話しました。
「男ってのはそういう生き物なんだよ!パパは違うけどさ!」と、動揺して意味のないことを言う夫と、俯いて胸で手を固く握りしめるひより。どうか夢であって欲しかったのですが、私たちを待ち受けていたのは、夢は夢でも悪夢でした。
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あとがき:母を震わせた、愛の言葉
再びスマホにのめり込むひよりの様子から、母の不安が現実へと変わっていきました。親友の母からの通報、そしてスマホに残された大学生の歪んだメッセージ。愛の言葉を装いながらも、そこには中学生を標的にする危うさと悪意が透けて見えます。母は嫌悪と恐怖に震えながらも、娘を守るための行動を選びました。家庭の中だけでは抱えきれない現実に直面し、ついに外の世界――警察へと助けを求める一歩を踏み出したのです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










