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🔴【第1話から読む】「お兄ちゃん、友達のカードを盗んでる」平和な朝が揺らぐ衝撃の展開|息子が泥棒になりました
ユウの盗みとウソに深い衝撃を受けた里香は、親として謝罪の必要性を感じつつも、相手の親との関係や息子の将来への不安にさいなまれます。
わが子はなぜ盗んでしまったのか、もう2度としないために、どう教えれば伝わるのか…。親としての育て方に自信がなくなった里香は、自問自答を続けました。
「嘘」息子の言葉が重くのしかかる
ユウの「本当はウソ」という言葉が、私の耳に、そして心臓に、重くのしかかった。信じたくない、という気持ちと、ああ、やっぱり、という絶望的な気持ちが入り混じって、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
私が与えているお小遣いや、誕生日、クリスマス、そして普段のおねだりでも、欲しいものは買ってあげているつもりだった。モンスターカードだって、定期的に買ってあげているし、新しいパックが出るたびに、一緒に買いに行ったりもしていた。
それでも、彼は盗んだ。きっと、私にはわからない、特別なカードだったのだろうか。それとも、単に「見た目」で欲しくなってしまったのか。モンスターのことはあまり詳しくないけれど、レアカードの価値があるものもあると聞く。
「ママ、ごめんなさい……」
ユウは小さく呟き、顔を上げた。彼の大きな瞳からは、すでに大粒の涙が溢れ出していた。その涙を見ても、私はすぐに抱きしめてあげることができなかった。ショックが大きすぎて、体が固まってしまっていたのだ。
親としての責任を感じる
「ユウ……」
事情を聞くと、盗んだカードの持ち主はクラスメイトの子だった。相手のお母さんとも学校行事では挨拶をするような、顔見知り。すぐにでも電話をして謝らなければ。これは、親としての責任だ。しかし、なんて説明すればいいのだろう。悩んでいると、夫が見かねて声をかけてきた。
「もう登校しないと遅刻するよ。ユウは学校に行きなさい。学校から帰ってきたら、またママとちゃんと話しなさい。ユウの気持ちはわかったから」
もう登校時間はギリギリに迫っていた。それに、これ以上問い詰めても親子にとっていいことはない。帰ってきてから、落ち着いて話そうと思った。ユウを通学路まで見送ったけれど、ユウはすっかり憔悴していて、終始無言だった。
自宅に戻ると、和樹がリョウの幼稚園の準備を済ませてくれていた。
「今日は俺がバスまで送るから。里香は少し休んで」
和樹はきっと、私の精神的なダメージに気を遣ってくれたのだと思う。私は、ユウが帰宅したあとにすべきことを必死に整理していた。
まずは、ユウから、もう一度詳しく話を聞く必要がある。なぜ盗んでしまったのか。どうしてウソをついたのか。それがわからなければ、相手のママさんにも、きちんと説明できない。
「息子がモンスターカードを盗みました」なんて言ったら、相手のママはユウとは遊ばせたくないと思うだろう。その子とは放課後や休みのときもよく遊ぶ関係だったけれど、その関係が、この一件で壊れてしまうかも。そう思うと、胸が張り裂けそうだった。なんとか未然に防ぎたかったという気持ちで、心が支配されていた。
わが子は「いい子」だと思っていた
私の心は重かった。ユウが、まさかこんなことをするなんて。私は彼を、ずっと「良い子」だと思って育ててきたのに。
もの盗んでしまう子は、どうして盗んでしまうのだろう。わが家では、お金の大切さは教えてきたつもりだった。お小遣いだって、ただ与えるのではなく、お手伝いをしたらもらえる、という形で、働いてお金を得ることの尊さを伝えてきたつもりだった。でも、それだけでは足りなかったのだろうか。
わが子が人のものを盗ったという事実から、育て方を間違えたと、激しく後悔した。今まで頑張ってきたことが、すべてガラガラと音を立てて崩れていくようだった。
「ごめんね、ユウ」
私は、思わず呟いた。よい子だと思っていた息子が、こんなことをしたという事実は、私にとってあまりにも大きなショックだった。この先、どうすればいいのか、全く見当がつかなかった。
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あとがき:親としての深い問い
この第三話では、里香が息子の盗みという事実に直面し、親としての深い苦悩が描かれています。彼女の心の中には、友人関係の喪失への恐れ、そして「育て方を間違えたのではないか」という自責の念が渦巻きます。子どもにどう向き合い、真実を伝えるべきか、その葛藤を通して、子育ての普遍的な難しさと、親の深い愛情が伝われば幸いです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










