Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】「いつも1人で外にいる」気になる近所の6歳児、もしや放置子?|“お兄ちゃん”は放置子
ある日、健也君のひときわ寂しそうな姿を目の当たりにした春香と夫・悟は、学校に相談することを決意します。校長先生は親身に話を聞いてくれ、他にも彼を心配している人がいることを知ることができました。その後、学校はどう対応してくれるのでしょうか。
放置子をどうするべきか悩む
健也君が放置されているのは気になります。でも、だからといって近所に住んでいるというだけでいつも面倒を見られるわけではありません。そんなある日、家族で出かけた帰り道、自転車に乗った健也君がやってきました。その日は、陽太の誕生日プレゼントを買いに行った帰りでした。
「あ、お兄ちゃん!僕ね、今日今日お誕生日プレゼント買ってもらったんだ」
陽太はうれしくて、健也君に向かって興奮気味に話しかけました。
「これ見て!」
私が持っていたプレゼントの袋を指さして、陽太は満面の笑みです。健也君は、その袋をじっと見つめていました。彼の顔から、いつもの無邪気な笑顔が消えていました。
誕生日プレゼントへの複雑な眼差しに胸が痛む
「ふーん…よかったね…」
そう言って、彼は視線を足元に落とし、自転車のペダルをゆっくりと漕ぎ始めました。その背中は、いつも以上に小さく、寂しそうに見えました。彼の後ろ姿を見送ってから、陽太は「あれ?健也君、なんで怒ってるの?」と不思議そうに私に尋ねました。
「怒ってないよ。健也君も、欲しかったものが買ってもらえてよかったねって、思っていたと思うよ」
そう答えるのが精一杯でした。家に帰り、悟にこの話をしました。
「…健也君さ、ちょっと様子がおかしかったよね」
「そうだな、別に服装や持ち物が古すぎるわけでもないし、傷があるわけでもないけど…親とどう関わっているのか気になるな」
夫も健也君の様子が気にかかったようでした。
夫の提案
夫は真剣な顔で考え始めました。
「1つ、できることがあるかもしれない」
悟が提案したのは、健也君が通っている小学校に連絡してみること。健也君は6歳で小学1年生。何度か学校でのできごとを話してくれたことがあり、通っている小学校を知っていたのです。
「直接親に言うのは難しくても、学校なら状況を把握しているかもしれない。個人面談で親と話したこともあるだろうし」
確かに、学校なら健也君の普段の様子も知っていますし、親御さんの状況も何か知っているかもしれません。私はその日のうちに小学校に電話をかけました。事情を話すと、校長先生がとても親身に話を聞いてくださいました。
「実は同じ児童の件で以前から何件かご相談をいただいておりまして…私たちも気にしていました」
校長先生の言葉に、私は驚きと同時に安堵を覚えました。私たちだけが悩んでいたわけじゃない。他にも、健也君を心配している人たちがいる。それは、私たちにとって大きな勇気になりました。
後日、校長先生からその後について連絡があり、スクールカウンセラーも交えて、健也君の親御さんと面談をすることになったと教えてくれました。
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あとがき:「見えない手、繋がる心」
一人で悩みを抱え込まず、外部の機関に相談するという選択は、この物語の大きな転換点となりました。見知らぬ人たちが協力し合い、一人の子どもを気にかける様子は、社会の温かさを感じさせます。そして、その行動が健也君の未来を良い方向に変えるかもしれないという希望が、読者の心にも灯ります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










