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親友なのに「私が尽くしている?」車出しで感じる小さな違和感|友達を足に使う人

親友だから、当たり前だと思ってた。穏やかで幸せな日常。優しい夫に支えられ、何でも話せる親友がいた。でも、その完璧な日常に、小さな車が運ぶ「違和感」が隠れていた。親友のためと信じていたささやかな親切は、いつしか心を蝕む棘になっていく。「親友だから」そう思う人こそ、大切しようと思える物語です。『友達を足に使う人』をごらんください。

🔴【全話読む】友達を足に使う人

会社員のあすかは、優しく理解のある夫、洋二と穏やかな日々を送っている。7年前に買った愛車は、親友サオリとの付き合いには欠かせない存在。しかし、ペーパードライバーのサオリをいつも迎えに行くことが当たり前になり、洋二の「負担になっていないか?」という言葉に、あすかはかすかな違和感を覚える。

夫との穏やかな朝

朝 PIXTA

私はあすか、31歳。ごく普通の会社員。隣で眠る夫、洋二は32歳。結婚して6年になるけれど、相変わらず優しくて、私の最大の理解者だ。穏やかな朝を迎え、今日もまた日常が始まる。

「んー……、もう朝か。おはよう、あすか」

うっすらと目を開けた洋二が、寝ぼけた声で私に話しかけてきた。

「おはよう。まだ眠そうじゃない」
「だって、まだ早いだろ。休みなのに、あすかは早起きだな」
「今日もサオリと会うの。久しぶりだから楽しみ」
「ああ、そうか。今回も車出すの?」
「そう。サオリはペーパードライバーだから。私が迎えに行くのがお決まりで」
「休日まで負担じゃないの?あすかの運転が当たり前みたいになってる気がするけど」

洋二の言葉に、一瞬、心がチクリとした。

(別に、負担じゃないよ…ね?)

私は心の中でそう思った。

優しい夫に感謝

朝 PIXTA

「まあ、運転するのは確かだけど親友と会えるからいいの」
「まぁ、あすかがそう言うならいいけど、無理するなよ」

夫の温かい言葉に、心がじんわりと温かくなる。

朝食を済ませ、車を少し片づける。7年前に免許を取ってすぐに買った、小さな愛車だ。この車があるおかげで、親友のサオリとの外出は車中心になっていた。

今日は親友と会う日

車 女性 PIXTA

サオリとは頻繁に会うわけじゃない。だいたい2〜3か月に1回くらいのペース。その度に、私がサオリを迎えに行き、遊びに行き、そして家まで送っていく。それが私たちの中での暗黙のルールだった。別に、嫌だと思ったことはなかった。サオリとの時間が何より楽しかったから。

ただ、時々、ふと考えることがあった。親友は対等な関係のはずだけど、私が彼女に尽くしているような気がしてしまう瞬間があった。例えば、買い物帰りでお互いに疲れている中、助手席のサオリが車に乗ってすぐに爆睡し始めたときとか…。

でも、それはあくまでサオリが親友である私に心を許しているからだし、私が腹を立てることじゃないと思うようにしていた。しかし、こうした小さなモヤモヤは、付き合いを進めるごとにどんどん大きくなってしまうことがあることを、私はまだ知らなかった。

🔴【続きを読む】徒歩5分のカフェに「車で迎えに来て」親友からの扱いに小さなトゲを感じる|友達を足に使う人

あとがき:穏やかな日常

親友のために車を出すのは当たり前。そう思って過ごしてきたあすかの日常に、夫の言葉は小さな波紋を広げました。当たり前だと思っていたことが、実はそうではないかもしれない。この小さな違和感が、これからの物語を動かしていく静かな始まりとなりました。本当に親しい関係だからこそ、見過ごしてしまいがちな「当たり前」の裏側にある、それぞれの価値観が問われます。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

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