🔴【第1話から読む】親友なのに「私が尽くしている?」車出しで感じる小さな違和感|友達を足に使う人
親友サオリとの関係に、あすかは少しの違和感を抱えていた。待ち合わせ場所に向かっているのに、わざわざ遠回りを要求されることが何度もあり、車出しを当たり前とする彼女の態度に、あすかの心には小さな棘が刺さっていく。
私の扱いが雑な友人
サオリとの関係で、私がモヤモヤしていたのが、彼女の車出しに対する少しばかりの扱いの雑さだった。それは、親友という関係だからこそ、見過ごしてしまっていた小さな「棘」のようなもの。
サオリと会う約束は、いつも事前にしっかりと決めるのに、サオリは時々、その常識を平気で覆してきた。
「あすか、今どこ?」
ある日のこと、待ち合わせ場所に向かって運転していると、サオリからLINEが入った。目的地まであと数分というところだった。
「ん? もうサオリの家の近くまで来てるよ。あとちょっとで着くよ」
信号で停車した私は、すぐに返信した。すると、彼女から信じられないようなメッセージが送られてきた。
「ごめん、急で申し訳ないんだけど、今駅前のカフェにいるから、こっちに迎えに来てもらってもいいかな?ちょっと、さっきまで別の用事があったのが長引いちゃって」
車を便利に使う親友にモヤっとする
彼女の家からカフェまでの距離なんて、せいぜい歩いて5分。それなのに、なぜか私にわざわざ遠回りさせてまで、そこに来てほしいと要求してくる。しかも、その用事の内容も詳細を話すことはない。ただ、漠然と「別の用事」とだけ告げられる。
「え、でも…」
と、一瞬、返事をためらった。なぜ私がわざわざ遠回りしなきゃいけないの?ふつふつと怒りが込み上げてくるけれど、それを口に出すことはできない。喧嘩になるのは嫌だし、親友との関係を壊したくなかった。
結局「わかった、向かうね」と短く返信した。
それが、一度や二度じゃない。毎回じゃないにしても、それが何度も続くうちに、私の心には小さな棘が刺さったような違和感が残った。親友なら、相手の気持ちを考えるべきなんじゃないか。車を出す側の負担を少しでも減らそうって、思わないものなのかな…。
夫の苦言に、グサッとくる
その日の夜、リビングで洋二に今日の出来事を話した。
「ちょっとびっくりしたよ。家から歩いて数分の場所なのに、わざわざ『迎えに来て』って言われて」
「気遣いがないよなあ。まあサオリちゃんのことだから、悪気はないんだろうけど」
洋二はコーヒーを飲みながら、静かに私の話を聞いてくれた。
「悪気がないなら、なおさらタチが悪いって言うか…。私の行動はサオリの都合で変えてもいいって思われてる気がして」
「んー、それはあるかもな。でもさ、もしかしたら、あすかは何でも受け入れるって甘えてるのかもな」
洋二の言葉は、私の心をチクリと刺した。確かに、私はサオリに信用されている。それはうれしいことだけど、甘えられているだけ、ではないだろうか。
「そっか…まあいいや、今回もお出かけは楽しかったし」
私は無理やり自分の違和感に蓋をしてしまった。
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あとがき:小さな棘
「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があるように、親しい関係だからこそ、相手への配慮は大切です。悪気がないからこそ、相手の気持ちを無視した行動が「普通」になってしまうことの怖さが描かれています。あすかの小さな不満は、やがて彼女自身の心の中を深く傷つけることになります。親友との関係を壊したくないという気持ちと、理不尽さへの怒り。この葛藤があすかを苦しめます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










