🔴【第1話から読む】親友なのに「私が尽くしている?」車出しで感じる小さな違和感|友達を足に使う人
ガソリン代高騰を理由に車出しを渋ってみたあすか。サオリは電話をかけてきて、謝罪し「自力でお店に行く」と伝えた。彼女の配慮に喜んだあすかは、再び車出しを申し出る。しかし、洋二に「いいように使われているのでは?」と言われ、親友という関係のあり方を見つめ直す。
車出しが当たり前
しばらくして、またいつものように、サオリと会う約束の段取りをLINEで進めていた。お店の候補を出し合い、私が提案したお店に決まった。
「わあ、ここすごく行きたい!あすか、車出してくれるよね?」
彼女からの一言に、私は一瞬固まった。「車出して『くれるよね』?」――この当たり前のような言い方が、私の心にまた小さな棘を刺した。車は出すつもりだったけど、あまりにも当たり前のような言い方にモヤッとした。
「最近、ガソリン代がすごく高くてさ、車出しキツいんだよね」
そう遠回しに伝えた。車出しは当たり前じゃないんだよ、という気持ちをわかってほしかった。すると、サオリは平日の仕事中にもかかわらず、突然電話をかけてきた。
これで分かってくれた…?
「もしもし、あすか? ごめんね、仕事中なんだけど、ちょっと気になって電話しちゃった」
「サオリ、急にどうしたの?」
「LINE見たよ。なんか、あすかに車出してもらうのが当たり前になってたなって思って…。いつも本当にありがとう。やっぱり私、自力でお店まで行くね。電車で行ける場所だし、大丈夫だから」
電話口でそう言われ、私は正直うれしかった。やっと、私の気持ちを理解してくれたんだ、と。サオリの少し反省したような、申し訳なさそうな声を聞いて、これまでのモヤモヤがすっと消えていくのを感じた。
「気にしなくて大丈夫だよ。今回は車出すよ。ただ、いつも出せるわけじゃないからね〜」
「本当に?あすか、ありがとう。会えるの楽しみにしてるね!」
電話を切った後、私は安堵のため息をついた。これで、私たちの関係は健全になると思えてうれしかった。
親友だからって、甘えすぎてはいけない
夜、うれしくて夫の洋二にこのことを話した。
「サオリがさ、ガソリン代の話したら、わざわざ電話してきてくれたんだ。『自力で行く』って言ってくれて、うれしかった」
「へえ、それは良かったな。それでさ、俺ちょっと気になってたんだけど、今までガソリン代に対する謝礼とか、なんか気遣いがあったりした?」
洋二の言葉に、私は首を横に振った。
「一度も。ご飯代だって割り勘だし、お土産とかも特にない。まあ私たちの関係だし良いかなって思ってたんだけど」
洋二は少し眉をひそめて言った。
「うーん、それはちょっと、足に使われてる気がしちゃうよな。俺は相手が親友だとしてもガソリン代相当と簡単なお礼くらいはするけどな」
夫の言葉は、私の心をチクリと刺した。これまでずっと見て見ぬふりをしてきた違和感が、夫の言葉で明確な形になった気がした。これまでの私は、サオリの言いなりに近かったのかもしれない。でもガソリンの話ができた以上、きっと今後は変われるはず。そう思っていた。
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あとがき:届かない想い
サオリの「自力で行く」という言葉は、あすかの気持ちがやっと届いた証だと感じられました。しかし、洋二の冷静な分析は、あすかがこれまで見て見ぬふりをしてきた「甘え」を浮き彫りにします。親友だからこそ、お互いが対等な関係であるべき。そうでないなら、それは本当に「親友」と呼べるのだろうか。この問いは、あすかに新たな気づきを与え、今後の行動を決定づけることになります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










