先生の悪口のやり取りは一度きりでしたが、直美の不安は消えませんでした。彼女はまず、結衣にさりげなく「人の悪口を言わないこと」を釘刺しします。そんな中、結衣から直接、LINEの使い方に悩む友人の相談を受けます。その子はSNSを始めたばかりで、喜びのあまり、頻繁すぎる投稿と不適切な写真送信を繰り返していました。直美は、娘が抱えるリアルな人間関係の悩みに対し、どのように寄り添うべきか考えます。
🔴【第1話から読む】小5娘のLINEを覗き見た母の絶句。グループで飛び交う「きしょい」の連鎖
「わかってる」の重み。悪口問題に触れなかった母の葛藤
先生の愚痴の件は、それっきりグループLINEに浮上することはありませんでした。直美は、過剰に反応して結衣の心を閉ざさせてしまうことを恐れ、直接スマホのやり取りについては触れませんでした。
その代わりに、夕食の時、「結衣、最近LINEは楽しい?」と尋ねました。結衣が楽しそうに頷くと、直美はさりげなく言いました。
「誰かの悪口を言ったり、嫌な気持ちになるようなことは、文字でも言葉でも言っちゃだめ。わかってるよね?」
結衣は「わかってるよ」とあっさり答え、すぐに食事に戻りました。直美は、この「わかってる」が、どれほどの重みを持っているのか、不安に思いました。
「無理に付き合わなくていい」。スマホ時代の人間関係の距離の取り方
数日後、結衣が珍しく思いつめた様子で話しかけてきました。
「ねえママ、ちょっと困った子がいるの」
結衣の話では、新しくLINEを始めたばかりのAちゃんという子が、すごい頻度で写真を送りつけてくるというのです。AちゃんはSNSを始めたことが嬉しくて仕方がないようで、日常のすべてを共有しようとしているようでした。塾に行く道中の花や、空の写真などはまだいいのですが、問題は他人の家の敷地内にいる犬などを、勝手に撮影して送ってくることでした。
「知らない人の家の中を撮るのは、ダメだと思うんだ…」
と結衣は困惑していました。さらに、Aちゃんは反応がないと「みんな返信してくれない」と、大量のスタンプを打ってくるというのです。グループLINEはAちゃんの写真とスタンプで埋め尽くされ、他の子たちは皆、辟易している様子でした。
直美は、結衣の言葉に少し安堵しました。結衣は、他人の行動に違和感を抱き、良し悪しを判断できています。
「そういう子には、無理に返信しなくていいよ」
と直美はアドバイスしました。
「誰かを困らせるような写真を送ったり、しつこく返事を求めたりするのはよくないね。付き合わないで大丈夫。学校で少し話してみてもいいかもよ?」
直美は、親が介入しなくても、結衣自身が人間関係の中で、距離感やモラルを学んでいることに、成長を感じました。しかし、そのAちゃんの行動が、さらにエスカレートするとは、この時誰も予想していませんでした。
🔴【次の話を読む】恐怖の写真を送りつけてきた小5の友達。母が直視できなかったLINEの衝撃画像
あとがき:親子の成長の裏で…誰も予想しなかったAちゃんの次なる行動
この第2話では、デジタルコミュニケーションにおける**「距離感」と「モラル」**の難しさが描かれます。直美は、娘の自主性を尊重しつつ、間接的なアドバイスに留めています。一方、友人Aちゃんの「かまってちゃん」的な行動は、SNS初心者が陥りがちな「承認欲求」の暴走を象徴しています。
結衣はAちゃんの行動に「良くないこと」だと違和感を抱いており、親として介入すべきラインを明確に引くことができている様子が描かれています。










