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🔴【第1話から読む】「誰でも楽に稼げます!」家計の収入ダウンで悩む目に入った、副業広告|副業詐欺に騙された話#1
1人で抱え込むことをやめ、夫に詐欺被害の相談をした美穂。ようやく心の負担が減りました。そして翌日、消費生活センターへ行った帰りに、近所に住む母と出くわします。
実家で聞いた、母の意外な過去
消費生活センターから出たところを母に見られた私は、詳しく話をするために実家に一緒に向かった。父は仕事中でおらず、母にだけとりあえずネットで副業詐欺にあったことを報告する。情けない話なのでいたたまれなさを感じるが、母は静かに聞いてくれる。話し終えると、小さく言った。
「副業詐欺ね。楽して稼げるなんてうまい話は、やっぱりないわよね」
「ごもっともです」
耳が痛い。深く反省している私に、母はふっと優しい笑みを浮かべた。
「まあ、私も人のことは言えないからね。実はお母さんも昔、引っかかったことがあるのよ」
「え、お母さんも?」
「そう、その時は投資でね。預けるだけで利子が20パーセントもつきます!なんて謳い文句で、100万も損したのよ」
「ひゃ、100万!?」
私よりも桁違いな母の失敗に思わず大きな声をあげる。母は苦笑した。
「預けるだけで20パーセント…そんなうまい話ないわよねぇ」
「それ、お父さんは何て?」
「もちろん怒られたわよ。でも、私が育児する中で稼ぎたかった気持ちも汲んで許してくれたの。感謝してもしきれないわね」
育児中の主婦は詐欺に狙われやすい。でも…
似たような道を歩くとは、さすが親子だ。そして母は、おもちゃで遊んでいる2歳の孫娘に視線を送った。
「この物価高ですものね。あなたも育児中、少しでも稼ぎたくて動いたんでしょう」
「うん…」
「不安を感じて家族を助けたいと思った気持ちは、間違いじゃない。ダメだったのは、詐欺を見抜く力をきちんとつけていなかったこと。そしてそれは、これから学んでいけばいいのよ」
「お母さん…」
「…って、私も失敗したから言えるんだけどね」
ふと、消費生活センターの職員が言っていた「主婦は狙われやすい」という言葉がよみがえる。主婦が狙われやすいのは、世間と隔離されやすく、育児の合間でしか動けないので、詐欺相手にはうってつけだからなのかもしれない。
そして家族を助けたい、負担をかけたくないという意志があるからこそ…相談せずに泣き寝入りをしてしまう。だから、副業詐欺が多いのだ。母は穏やかに言う。
「今回のこと、教えてくれてよかった。あなたが詐欺被害の話をすることで、私も改めて引っかからないようにしなくちゃって思えたわ」
「そうなんだ」
「ええ。話すことによって、周囲への注意喚起にもなるのよ」
「…そっか」
その言葉に救われたような気がした。
大切なのは、防衛と対処
半年後、私は無事に2人目を出産し、育休の延長期間に入った。まだ仕事に戻れない焦燥感にたまに襲われてしまうけれど、もう焦って仕事をしようと思わない。今は子育てに集中し、まなぶと協力していこう。
詐欺にあわないために大事なのは、消費者側の防衛だと職員は言った。それに加え「知識」と「周りを頼る意識」も必要なのだと私は痛感した。正しい情報と、誤った時の素早い対処。それさえしっかりすれば、卑しい詐欺被害で泣く女性も、少なくなるだろう。
あとがき:詐欺に負けない心と知識を身につけて
母の思いがけぬ失敗談で、自分を見つめ直すことができた美穂。彼女が気づいたとおり、詐欺被害にあわないようにまず大切なのは防衛ですが、情報を学ぶことと素早い対処も大事です。そういった点では、嘘をつけずにすぐに周りに相談できた美穂は正しかったとも言えるでしょう。
また彼女の母が言ったとおり、失敗談を話すことで周りへの注意喚起にもなります。1番悪いのは詐欺を働くほうです。今回の話を機に、読者の中で少しでも被害がなくなればと願います。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










