🔴【第1話から読む】「温泉旅行、楽しみ!」→「え?」夫宛てのメッセージで裏切り発覚|夫の不倫旅行先に突撃訪問した話
さゆりは静香と共に正勝の旅館へ向かい、夕食時に呼び出す。不倫相手の女と現れた正勝に、さゆりは離婚届を突きつける。
決戦の準備は整った
静香の機転で、正勝が予約していた温泉旅館の情報はすぐ手に入った。義実家の旅行の際、静香のスマホから正勝のアカウントで旅行サイトにログインしたことがあったという。そのときの情報が残っていて、予約したホテルは丸わかりだった。予約は男性1・女性1だった。やはり不倫旅行だったのだ。
静香はネットで調べあげた慰謝料の合意書を自力で作成。離婚届けは駅に向かう途中に役所の出張所でもらうことにした。
子どもたちは、予定通り私の実家に預けることに。両親には「義姉と旅行がしたい」と告げたら「仲が良くていいわね」と穏やかに送り出してくれた。両親のこういう優しさにいつも救われている。
ついに直接対決
正勝たちがいる旅館に着いたのは、夕食が始まるころ。静香が旅館のロビーから正勝の部屋に連絡をします。
「正勝、私よ。静香。急だけど、大事な話があるの。ロビーまで降りてきて。あ、そこにいる女性もご一緒にね」
静香さんの声は静かでしたが、有無を言わせぬ迫力がありました。数分後、正勝は呆然とした顔で愛人と一緒にエレベーターから降りてきました。愛人は、若くて派手な服装の女性で、私の顔を見るなり、すぐに青ざめていました。
正勝は私が実家にいるはずだと思っていたのでしょう。
「な、なんだよ、2人ともどうして来たんだよ」
正勝は完全に混乱していました。私は一歩前に出ました。手に持っていたのは、静香がクリアファイルに入れてくれた離婚届と慰謝料請求書です。
「あなたとは離婚します。そして、あなたとそこにいる女性に慰謝料を請求します。金額はここにある通りです。すぐにサインしてね」
「宿帳を調べれば、愛人さんの情報も全部わかるんだからね?逃げられないよ」
私と静香は静かな声で、2人の逃げ道をふさいでいきます。
新しい家族の形での再出発
愛人の女性は「私は関係ないです」と狼狽しましたが、静香は冷たい目で一蹴しました。
「関係ないわけない。この人が既婚者だと知っていて店外で会ったなら不倫です。文句があるならこちらもお店に抗議するけど?」
愛人は静香の鋭い眼光に怯え、震えながらサインしました。正勝は最後まで「待ってくれ、話を聞いてほしい」とごねましたが、静香は許しません。
「うるさい。言っておくけどあんたの実家の人間はみんなさゆりちゃんの味方。もう2度と帰省なんかしてこないで」
実家からの絶縁宣言に正勝は観念し、慰謝料請求書と、離婚届の「夫」の欄にサインしました。
サインをもらえば、あとは手続きを済ませるだけ。私と静香はホテルをあとにします。正勝と愛人は、ロビーで醜い言い争いを始めていました。
「だから嫁にバレたから旅行は無理かもって言っただろ!?」
「え!ごまかせるから行けるって言ったじゃん!」
そんな2人を置いて、私と静香は意気揚々と帰路につきました。
「何かおいしいものでも食べて帰ろう!」
「そうですね!私がごちそうします」
私は家族を本当に大切にできる相手とだけ家族でいたい。泣き寝入りしなかった自分をほめてあげたいし、今後も絶対に後悔しない人生にしようと心に決めたできごとでした。
🔴【第1話から読む】「温泉旅行、楽しみ!」→「え?」夫宛てのメッセージで裏切り発覚|夫の不倫旅行先に突撃訪問した話
あとがき:愛の終わりと、新しい家族の始まり
最終話は、さゆりの「決意」が「実行」に移されるクライマックスです。最も屈辱的である不倫の現場を、さゆりは冷静な復讐の舞台に変えました。正勝と愛人がロビーに現れたときのさゆりの態度は、もはや情に訴えるものではなく、全てを終わらせるビジネスライクなものでした。静香さんのサポートは、感情的になりがちな状況を法と常識でねじ伏せる力となり、見事な幕引きとなりました。嵐の雨の中、旅館を後にしたさゆりの心は、悲しみよりも解放感に満ちていたでしょう。夫婦の愛は終わりましたが、さゆりと娘たち、そして静香さん・義両親との新しい家族の絆がここから始まります。










