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美月(31)は育休期間を終え、短時間勤務で職場復帰をしたばかり。久しぶりの会社と同僚たちの姿に、やる気と新鮮な気持ちが心を満たします。そんな彼女に対して、新人研修メンバーにならないかという話が舞い込んで…。
育休明けの職場復帰、新たなスタート
「佐藤さんに、ちょっと話があるんだけど」
上司の清水部長から声をかけられ、私は背すじを伸ばした。
私の名前は佐藤美月(みつき)。31歳で、この秋に育休期間を終えて職場復帰をしたばかり。短時間勤務で16時に上がる日々だが、周りのサポートもあって何とかこなしている。私も仕事を残さないようにと、毎日頑張りながら取り組んでいた。
そんな努力を見てくれたのか、清水部長から私に、新人研修の企画メンバーになってくれないかと相談された。
「新人研修を、秋にも改めて行おうと考えているんだ。今年の新卒の中に、ちょっと厄介な子がいてね…」
「…ああ、あの子ですね…?」
部長の言わんとすることを察して、私も今回の研修目的を理解する。今年の新卒で入ったメンバーの中に1人、強い個性を放つ子がいたのだ。
恋愛話ばかりする新人・野々花
嶋野々花さん、22歳。私と同じ商品企画部に配属された彼女は、職場で彼氏の話ばかりしている。
3歳年上の大手企業営業職。長男で頼りがいがあり、趣味はサーフィンと犬の散歩。この情報もすべて、野々花がペラペラ喋るおかげで知りたくもないのに知り得てしまった。彼女は彼氏のことを「ダーリン」を省略した「ダァ」と呼んでいる。
「今日はダァとデートなんです♡」
「ダァと結婚したら、仕事どうしようかな~。ダァは転勤もあるみたいで」
「あ、この商品ならダァも気に入りそう!きっと売れますよ」
企画会議でも、隙あらば彼語り。「恋愛脳のモンスター新人が入ってきた」と、部内どころか社内でも有名だった。
前向きに引き受けた“新人研修担当”
「彼女と君はよく話しているし、佐藤さんなら指導できそうだと思って。引き受けてくれるかな」
「わ、わかりました」
「ありがとう。助かるよ」
たしかに野々花は、私によく声をかけてくるし、懐いていたと思う。その話題はもっぱら「ダァ」のことではあるのだが…。
(新人研修か。大変そうだけど…やってみるか!)
職場復帰したばかりの私としては、新たな仕事を振ってもらえたのはうれしかった。新人教育は、きっとやりがいある仕事になるに違いない。
しかし、すぐに私は、安易に引き受けたことを後悔するのだった―――。
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あとがき:新たなスタートと、不穏な気配
職場復帰したばかりの美月は、新卒社員・野々花の様子に面食らいます。職場は仕事をする場所であるにもかかわらず、自分の彼氏の話ばかりする野々花は、プライベートと仕事の線引きができていないようです…。
そんな彼女を含めた新人研修を任された美月。やる気を出しているようですが、暗雲が早くも立ち込めそう。育休復帰して間もない仕事にしては、かなりハードルが高そうに思えますよね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










