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挙式費用60万円を借りたのに?→「返したくない」嫁が手のひらを返した理由|お金を返さない弟夫婦

無事に結婚式を終え、晴れて夫婦となった健太と愛梨。ご祝儀の集計が終わり、返済にも余裕があると安心したのも束の間。愛梨は「両親からのお金は『祝い事だから返さなくてもいい』と言われた」と健太に告げる。さらには、姉夫婦から借りたお金も「別の形で返せばいい」と言い出し、健太の心は揺れ始め…。『お金を返さない弟夫婦』第3話をごらんください。

🔴【第1話から読む】「ご祝儀で返すから」弟夫婦への不安な貸し出し

健太の姉・美雪は結婚式費用の前払いのために60万円を貸した。しかし式後も返済の連絡がなく、確認したところ、義妹である愛梨が返済を渋っていることが判明。美雪への返済が暗雲に包まれる。

【健太視点】幸せの始まりと準備の現実

結婚式  PIXTA

「俺と……結婚してください!」
「ありがとう……よろしくお願いします!」

俺(健太)は今、幸せの絶頂にいる。長年の交際の末、恋人の愛梨と結婚することになった。特段、倦怠期や破局の危機もなく、危なげない交際が続いてはいたけれど、プロポーズは緊張した。でもその分、快諾してくれた彼女の笑顔が特別なものに見えた。

プロポーズを終えると、婚約の挨拶から婚姻届の提出までトントン拍子で進めることができた。「結婚を反対されないか」という不安もあったが、両家とも俺たちの結婚を歓迎してくれた。それに、両家顔合わせの席ではお互いの両親が意気投合していたのも安心した。

そんな環境にも恵まれ、俺と愛梨は遂に夫婦となった。そして、夫婦になって最初の一大イベントとして、楽しみにしていたのが結婚式だ。プロポーズが成功してから、2人で少しずつ話し合ってきた理想を形にして、一生に一度の大切な思い出にしようと胸は高鳴っていた。

結婚式の準備は式場探しから披露宴の余興の依頼、引き出物にまで2人のこだわりを詰め込んだ。費用は気になったが「一生に一度」という言葉で誤魔化して、思い思いの計画を立てた。そして式場側との最終打ち合わせ、様々な要望をしたから費用は大きいと覚悟はしていたものの「一部を後払い可能」と聞いていたため、そこまで不安視していなかった。

しかし、その考えの甘さを思い知らされることになる。前払い分の金額が自分たちの考えていた予算を大きく超えてしまったのだ。前払いとして全体の7〜8割の額が必要とのことだったのだが、その部分を夫婦で見過ごしてしまっていた。

ご祝儀払いができないか交渉したものの、特別扱いはできないということで、譲歩されることはなかった。なす術ない俺たち夫婦は一度見積もりを持ち帰り、親族から支援を得る道を模索することになった。

それからというもの、俺たちはそれぞれの親から支援を受けられないか、連絡を取った。愛梨の両親からは支援を受けられたのだが、俺の両親は最近手術などでお金がかかったばかりで支援は無理だった。俺はわらにもすがる思いで、姉に電話をかけた。

「その……結婚式の費用、貸してくれないかな?」
「え?」

電話越しに聞こえる姉の声には怒りや呆れを感じ、自分の情けなさや惨めさを痛感した。けれど、なりふり構ってられない状況にただ姉に頼るしかなかった。

最終的に、姉夫婦から必要な額の支援を受けることができ、何とか結婚式の前払い金を準備することができた。姉には感謝しかない。

結婚式の成功とご祝儀の余裕

ご祝儀 PIXTA

その後、無事に式を行うことができた。夫婦のこだわりが至る所に散りばめられ、たくさんのゲストに囲まれた式には、夫婦揃って大満足だった。

式を終えた2日後、俺たちはご祝儀の集計と名簿・お礼状作りを始めた。その日の昼過ぎ頃には集計と名簿作りは終わり、ご祝儀の総額が出た。そこから後払い分を差し引いても、返済には困らないほど余裕のある額だった。

「返さなくていい」という悪魔の囁き

大金 PIXTA

姉に借りたお金を返せそうな状況にホッとしていると、愛梨がそれとなく話し出した。

愛梨「あのさ、うちの親からお金借りたじゃん?」
健太「うん。すぐにお返ししないとね」
愛梨「うちの親はさ、これはお祝い費用だから返さなくていいよって言うの。だから、お言葉に甘えてもいいのかなぁ、って」

それは耳を疑うような提案だった。いくら義両親の祝意があったとしても、返さないと気が引けるような大金を借りていたからだ。

「え……でも、なかなかの大金だし、流石に返した方がいいんじゃない?」
「でも~、新婚旅行もあるし、新生活の費用もかかるじゃん?いずれ子育ての資金にしてもいいわけだから、感謝していただいておこうかなって…」

そんな愛梨の意見に密かに揺らぐ、自分の心を俺は感じていた。そして愛梨は、思いがけないことを言い出した。

「お義姉さん夫婦からもお金借りたもんね。そっちは返さないとダメなの?ご両親から返してもらって、こっちの分はお祝いに…とかさ?」

愛梨からの提案にびっくりした。あまりにも厚かましいし、うちの両親から返させるというのも同意できない。

「ちょっと待って。姉ちゃんだって余裕があるわけじゃないから、返さないなんてできないよ」
「そう?でもさ、両家の支援額は同額の方が、あとあと面倒なことにはならないと思うんだけどな~」

愛梨からの提案がズレたものと感じつつ、愛梨の話に少し納得してしまっている自分を感じていた。そんな状況もあり、姉にすぐにお金を返すことができなかったのだ―――。

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あとがき:幸せの影で芽生えた小さな悪意

誰もが羨むような幸せな門出。その裏で、小さなズルが始まりつつあったようです。「祝い事だから返さなくていい」という甘い言葉に、常識が少しずつ麻痺していく様子が描かれます。最初は抵抗があっても、理由をつければ自分を正当化できてしまいますね。

愛梨の提案に半ば流される形で、その選択が“家族の信頼”を揺るがせることになるとも知らずに。幸せのはずの未来へ向けて走りだした2人は、静かに大きな落とし穴へ近づいていくのでした。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

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