年末近くに、夫と子どもを連れて1人暮らしの祖母宅を訪れた美鈴。帰宅すると、祖母から電話がかかってきました。その内容は「金を盗んだだろう!」という予想外のもので…。
祖母から突然、泥棒疑いの電話が
「あんた、金を盗んだだろう!」
―――電話越しに聞こえた祖母の言葉が理解できなくて、しばらく間を置いた。
「…え?」
「珍しく顔を出したかと思えば、お金目当てかい?情けないね」
「ま、待ってよ、おばあちゃん。何を言っているの?」
落ち着いて話をしようにも、スマホの向こうの祖母は興奮していた。最後には「このことは光彦(みつひこ)にも言うから!」と、父の名前を出して通話を切られてしまう。呆然とした私の背中に、夫が声をかけてくる。
「どうした美鈴(みすず)?」
「そ、それが…」
どう説明していいのかわからない。祖母宅から消えたというのは「現金3万円」。その犯人扱いをされて、ただ途方に暮れていたのだ。
昔から苦手な祖母だった
私の名前は美鈴、年齢は30歳。3年前に結婚し、すぐに子どもを授かり出産した。夫ともうすぐ2歳になる娘と、一緒に暮らしている。現在は育休中だが、来年には職場復帰を考える時期になっていた。今は12月半ば。そんななか発生したのが、祖母からの【泥棒疑惑】だった。
昨日、早めの年末挨拶をしに夫と娘の3人で1人暮らし中の祖母宅へ訪問。その後に祖母は、タンスにしまっていたお年玉用のお金がなくなっていることに気がついた。3万円分の新札をポチ袋とともにクリップ留めしていたが、現金だけ消えたという。夫に相談すると、夫も困ったような顔をした。
「すぐに見つかるといいんだけどね」
「でも悲しいよね、私が疑われるなんて」
昔から父方の祖母は少し苦手だった。言い方がきつくて、幼いころはいとこ同士で比べられることもあった。鈍感な父は我が子をかばいもしない。母だけが「でも、美鈴はいい子ですからね」とフォローを入れてくれた。
父まで祖母の味方に
早く誤解が解けてほしい。そう願った私の元に、とどめを刺す出来事が起きる。翌日、父からも連絡が入ったのだ。おそらく宣言通り、祖母が告げ口をしたのだろう。詳細を聞いた父は、私の言い分なんてお構いなしで「金を返せ」と言う。
「だって、私は盗んでないよ」
「じゃあ、ばあちゃんが嘘をついてるっていうのか?タンスから金が勝手に出ていくわけないんだから」
「私は盗んでないってば…」
あろうことか、祖母だけでなく父まで私が犯人だと決めつけている。昔から祖母の肩ばかり持ち、母を困らせるような人だった。でも、親からも疑われるのは単純に傷つく。それに、父は重要な要素を見落としている。
「お父さん、言いにくいんだけど、おばあちゃん、認知症の検査とかしてる?」
祖母の話し方や内容に、ちょっと引っかかる部分はあった。だから思いきって切り出したのだが、これは父の逆鱗に触れてしまう。
「疑われたからって、ばあちゃんがボケてるって言いたいのか?お前、失礼にもほどがあるだろう!」
自分の母親がボケたなんて、認めたくない気持ちはわかる。でも、私はお金を盗っていないのに…。どうしたら信じてもらえるのか、私は途方に暮れていた。
🔴【続きを読む】祖母と父からの泥棒扱いに「私じゃない!」→母に相談したら…|お年玉を盗んだ犯人扱いされた話#2
あとがき:悲しい出来事から見える認知症の可能性
祖母への訪問をきっかけに、お年玉の泥棒扱いをされてしまった美鈴。悲しい出来事ですが、家族間での金銭を盗った盗られたという事案は、よくあります。けれども美鈴は無実であり、実の親にまで疑われたことがダメージとなっています。
そんな彼女は「祖母の認知症」つまり「物盗られ妄想」の可能性に気づき、父に助言します。しかしこれが、今回のトラブルをより複雑化する引き金になったようです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










