🔴【第1話から読む】結婚・出産しても消えない。「信仰なき者は不幸」母の呪いが、私を蝕む理由
母から届いたビデオ通話で、母が美鈴を勝手に教団の「準会員」に登録したことが発覚する。激昂する すみれに対し、母は赤ん坊の泣き声さえも、「信仰心の欠如」だと責め立てる。ついに、限界が訪れた すみれは…。
母の「おばあちゃんの顔」にホッとしたけど…
それから数日間、母からの連絡は途絶えました。少しは察してくれたのかと、あわい期待を抱いていましたが、それは、"嵐の前の静けさ"に過ぎませんでした。
ある日の午後、美鈴を抱っこしてあやしていると、母から不意にビデオ通話がかかってきました。
「すみれ、美鈴ちゃんの顔を見せて。あぁ、なんてかわいいの。あなたの赤ちゃんのころにそっくりね」
画面越しの母は、おだやかで優しい「おばあちゃん」の顔をしていました。
母は、本当に私を愛してくれているように見えます。
「そうでしょ。最近、よく笑うようになったんだよ」
束の間のおだやかな会話…。しかし、そんなおだやかな時間は長くは続きませんでした。
わが子を勝手に宗教に登録させられた
「ねえ、すみれ。実はね、美鈴ちゃんのことで相談があるの」
「……何?」
「美鈴ちゃんを、正式に教団の『準会員』として登録しておいたわ。名前と生年月日があればできるから。でもね、一生の守護を得るためには、やっぱり1歳になる前に、『正会員』の手続きをしてあげたいの」
頭が真っ白になりました。
「え……勝手に登録したの? 準会員って何?」
「名前をリストにのせてもらうだけよ。でも、正会員になれば、毎月のお布施で、常に徳が回るようになるの。すみれもこの機会に一緒に入りましょう?親子三代で入会すれば、これ以上の功徳はないわ」
心臓の鼓動が早くなるのが分かります。怒りと、悲しさと、そして、何より「この人は本当に私の話を聞いていない」のだという、絶望感…。
「お母さん、何度も言ったよね? 私は入らないし、美鈴のことも勝手に決めないでって…」
「すみれ、どうしてそんなに頑ななの? 私はあなたのしあわせを、美鈴ちゃんのしあわせを願ってるだけなのよ」
「私のしあわせは、私が決めるの! お母さんに決められることじゃない!」
思わず声をあらげてしまいました。その拍子に、抱いていた美鈴がおどろいて、火がついたように泣き出しました。
止まらない涙…
「あぁ、美鈴ちゃんが泣いちゃったじゃない。これは、あなたの心が乱れている証拠よ。今すぐ、お経を唱えて心をしずめなさい」
「いい加減にして!」
私は通話を切りました。美鈴をあやしながら、涙が止まりません。
母は、この小さな…まだ、自分の意思も持たない赤ん坊までも、自分の信仰に取り込もうとしている。
その時、リビングのドアが開きました。
「すみれ? すごい声がしたけど、どうしたんだ?」
仕事から帰宅した新平が、おどろいた表情で立っていました。
私は涙を拭うこともできず、美鈴を抱きしめたまま、ぼう然と立ち尽くしていました。
もう限界でした。かくし通すエネルギーは、どこにも残っていませんでした。
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あとがき:守るべきものの優先順位
ついに、実母はすみれさんの許容できない、一線を越えてしまいました。
美鈴ちゃんの泣き声は、言葉にできないすみれさんの悲鳴そのものだったように感じます。自分の親を否定したくはない、でも、娘だけは守らなければならない…。その板挟みで、ふるえる彼女の前に、新平さんが現れた瞬間、読者である私たちも、思わず息をのんだはずです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










