🔴【第1話から読む】夫が出社せず「行方不明」→警察からの電話で【地獄】に突き落とされた日|夫が痴漢で捕まりました
翌朝、義母の怒鳴り声と家への突撃に佳奈さんは追い詰められます。さらに夫の解雇も告げられて…。
義母の怒鳴り声で始まった朝
朝の光が、いつもより白く冷たく感じました。家じゅうが静まり返っています。やっぱりほとんど眠れないまま迎えた朝、私は冷めてしまったコーヒーを前にしてぼんやりしていました。
そんなときです。固定電話がけたたましく鳴りました。受話器を取ると、いきなり焦った義母の声が響きました。
「佳奈さん!ふみちゃんはどうしているの?2日間も連絡をよこさないなんて、おかしいわよね?」
義母のキンキン声に、胸が一気に締めつけられ、手のひらが汗ばみました。文也が毎朝送っているメールがこないことで、ついに何か起きていることに気づいてしまったようです。
「お義母さん…実は…」
言いたくはありませんでした。でも、もう隠すことはできません。
「文也さんは、おととい痴漢の容疑で捕まってしまって…」
一瞬の間のあと、受話器の向こうで空気が爆ぜるような音がしました。
「――はぁっ?痴漢?どういうことなの!?」
怒鳴り声は、受話器越しでも鼓膜を刺すほど鋭く、私は思わず肩をすくめました。
「お、お義母さん、私もまだ……」
「ちょっと待ってなさい、今すぐそっちに行く!」
一方的に電話は切れました。義母がわが家に突撃訪問してきます。私は慌てて、乱れた家の中を掃除しなければいけなくなりました。
玄関で浴びせられた理不尽な罵倒
しばらくすると義母の車が家の前に急停止し、ドアがバン、と乱暴に開きました。玄関の戸を開けると、義母は大声を出して詰め寄ってきます。
「どういうこと!ふみちゃんが痴漢なんてあり得ないでしょう?どうしてあなたが守ってやらないのよ!!!」
私は震えながら首を振りました。
「違うんです…文也さんが自分で容疑を認めていて…」
「そんなわけない!私が警察署に行くから!」
玄関先で踵を返す義母は、振り返って私にこう言いました。
「あなたは役所で離婚届を持ってきなさい。あなたみたいな女といるから、ふみちゃんがおかしくなったのよ」
そう吐き捨てるように言い、また車で去っていきました。あまりの剣幕に、私は足の力が抜けて座り込みました。佳文も涙ぐみ、「まぁま…」と私を見上げました。その小さな声だけが、私を現実に留める細い糸のようでした。
追い打ちの解雇通知と崩れ落ちる心
そのとき、また電話が鳴りました。嫌な予感がしながら震える手で受話器を取ると、文也の勤務先でした。
「弊社としては、ご主人の痴漢は重大な不祥事と判断し、本日付で解雇とさせていただきます。詳細につきましては書面を郵送いたしますので…」
世界から音が消えました。
「あの、待ってください!急すぎます!」
「大変心苦しいのですが、決定事項ですので…」
通話は無慈悲に切られました。受話器を置いた瞬間、私はその場に崩れ落ちました。
「どうしたら……どうしたらいいの……」
何もかも失っていくようで、涙が止まりませんでした。泣きじゃくる私の背中で、佳文が小さく動き、私の肩に頬を押し付けてきました。その温かさだけが、唯一の救いでした。
きっとこれからもっと深い苦しみが続くのだと分かっていても、私はただ、佳文を抱きしめるしかありませんでした―――。
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あとがき:怒涛の一日
義母からの厳しい言葉と、夫の解雇通知。佳奈さんは一日に二度も心の支えを失う状況に追い込まれました。理不尽な怒りをぶつけられ、生活の不安まで背負うことになり、精神的な負担は限界に近づいています。それでも、息子の存在だけが佳奈さんを現実につなぎとめています。彼女の物語は、さらに大きな試練へ向かっていきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










