🔴【第1話から読む】結婚・出産しても消えない。「信仰なき者は不幸」母の呪いが、私を蝕む理由
すべてを知った新平は、おびえるすみれを優しく包み込む。再びかかってきた母からの電話に、新平は毅然とした態度で対峙する。「信仰は自由だが、強要は支配だ」と言い放ち、絶縁覚悟で家族の境界線を宣告し…。
夫にすべてを打ち明ける
「……全部、話してごらん」
新平は、泣き止まない美鈴を優しく受け取り、私をソファーに座らせました。私はふるえる声で、これまでかくしていたすべてを打ち明けました。
母が幼少期から宗教にのめり込んでいたこと。
私が何度も拒絶してきたのに、折にふれて執拗な勧誘が続いていたこと…。そして、今日、美鈴を勝手に教団の会員に登録したと言われたこと。
「ごめんなさい……こんなこと、新平さんに言ったら、私たちの関係までこわれちゃうんじゃないかって…こわくて」
私がヒザの上で拳を握りしめていると、新平は大きな手でそれをそっと包み込んでくれました。
「愛」じゃなくて「支配」
「すみれ、何を言ってるんだ。一人でそんなに苦しんでいたのに、気づけなくてごめん」
新平のひとみには、軽蔑ではなく、深い悲しみと静かな怒りが宿っていました。
「お義母さんが何を信じるかは、お義母さんの自由だ。でも、それを、すみれや美鈴に強要するのは、絶対にまちがっている。それは愛じゃなくて、ただの支配だよ」
その言葉に、私の心がスッと軽くなるのを感じました。
支配…そう、私は母の信じる「正しさ」にずっと支配され、そこから逃げ出せずにいたのです。
母と対峙した夫
その時、私のスマートフォンが再びなりました。母からです。
「また、お母さんだ……!どうしよう、出たくない……」
おびえる私を見て、新平は静かに手を伸ばしました。
「俺が出るよ。いい?」
私はうなずきました。
新平はスピーカーモードにして、通話ボタンを押しました。
「もしもし、すみれ? さっきは……」
「お義母さん、新平です。今、すみれからすべて聞きました」
電話の向こうで、母が息をのむのが分かりました。
「あら…新平さん。すみれが何か言った?私はね、ただ、家族のしあわせを……」
「いいえ、お義母さん。すみれが話してくれたのは、彼女自身の『悲しみ』です。お義母さんが、彼女の意思をムシし、産まれたばかりの娘まで巻き込もうとしていることに、彼女は深く傷ついています」
「そんな……私は善意で……」
「善意なら、何をしてもいいわけじゃありませんよね。私たちは、お義母さんの信仰を否定はしません。でも、私たちの家族は全員、その宗教に入る気は一切ありません」
新平の声は低く、そしてゆるぎないものでした。
「もし、今後一度でも勧誘の話をされるなら、僕たちは『親戚』としてお付き合いを続けることはできません。美鈴にも、会わせるわけにはいきません。縁を切る覚悟で言っています」
「縁を切るなんて……そんなの、あんまりじゃない!」
母の取り乱した声がひびきます。しかし、新平はさらに言葉を続けました。
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あとがき:盾となる人の存在
新平さんの言葉が、暗闇にいたすみれさんに光を灯してくれました。
「それは、愛じゃなくて支配だよ」という一言は、彼女が長年自分に言い聞かせようとしてできなかった真実です。血のつながりがあるからこそ、言えないことを、家族を守るために代弁してくれるパートナーの存在は、どれほど心強かったことでしょう。
母の言葉に流されず、何が一番大切なのかを突きつける新平さんの、ゆるぎない決意に、一筋の希望が見えたエピソードでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










