35歳の奈津子と静江は、近所に住み毎日LINEを欠かさない無二の親友。しかし、失恋直後の静江とは対照的に、奈津子に運命の出会いが訪れる。婚約と引越しを報告した際、静江が見せた一瞬の硬い表情に、奈津子は胸騒ぎを覚える。
一生の親友だと信じていた
「奈津子と私は、一生こうして笑って過ごすんだよね」
そう言って、ジョッキを合わせた親友の静江(しずえ)。大学時代からの付き合いで、今年で35歳。社会人になってからも、彼女は「奈津子の近くに住みたい」と言って、私の家の近所に越してきてくれました。
私たちは本当に、絵に描いたような「親友」でした。LINEは毎日。週に2〜3回はどちらかの家で宅飲み。
「ねえ、次どこのお店行く?」「あ、あそこのイタリアン良さそう!」
独身生活をこれでもかと謳歌して、お互いの恋愛事情も筒抜け。
「早くいい人見つけて結婚したいね」
そんな、たわいもない夢を語り合う夜が永遠に続くのだと信じて疑いませんでした。
親友は破局、私は婚約
しかし、運命の歯車は昨年の春から急激に回り始めました。静江は、4月に大好きだった彼氏と別れたばかり。
「もう立ち直れない……。あんなに好きだったのに」
そう言って泣く彼女を、私は精一杯励ましてきました。
一方、私には俊平さんという素敵な出会いがあったのです。彼との時間は驚くほど穏やかで、トントン拍子に話が進みました。6月には婚約と同棲が決まり、私は彼女の住む近所から少し離れた場所へ引っ越すことになりました。
「静江、私、俊平さんと婚約したの」
報告した時、静江は一瞬だけ目を見開きました。
「……えっ、すごい! おめでとう、奈津子」
その笑顔は、どこか無理に作ったような、硬いものに見えたのは気のせいだったのでしょうか。私の幸せが加速すればするほど、彼女の心に影を落としていることに、当時の私はまだ気づいていませんでした。
少しずつ広がる溝
7月。12月に結婚式を挙げることが決まりました。
「静江、12月に式を挙げることになったよ。絶対に来てほしいな」
「……おめでとう。うん、なるべく空けとくね」
「なるべく空けとく」。 その言葉の響きに、私は少しだけ胸がざわつきました。
かつての彼女なら「絶対に一番前で見るから!」とはしゃいでくれたはずなのに。 幸せの絶頂にいる私と、失恋の傷が癒えない彼女。私たちの間に、目に見えない薄い膜が張り始めたような、そんな予感がしていました。
🔴【続きを読む】「私の精神状態では無理」結婚式のスピーチを断られ→親友が冷たくなった理由|人の幸せを妬む友人
あとがき:友情の「永遠」という幻想
大学時代からの絆を信じ、「ずっと一緒」だと疑わない時期は誰にでもあります。しかし、35歳という年齢は、結婚やキャリアなど人生の分岐点が剥き出しになる年齢でもあります。奈津子の幸せが、図らずも静江の孤独を際立たせてしまった残酷なコントラスト。どちらが悪いわけでもないからこそ、静江の引きつった笑顔に、読者の多くは「身に覚えのある痛み」を感じるのではないでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










